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2025年1月 5日 (日)

どんな読み方も黙って受け入れる

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どんな読み方も黙って受け入れる

- 読み手を否定しない -

 

いまや貴重な存在になってしまった
「大きな書店」のカウンタ横にあった
小冊子
100demeichotekefrees
の中から、最後にもうひとつ、

小川洋子(小説家)
人生の豊かさを示す秤


にある言葉を紹介したい。
(以下、水色部は小冊子からの引用)

本の再読に関して、
小川さんはこう書いている。

本そのものは一字も変わっていない
同じ姿でそこにあり続ける。
にもかかわらず、
読み手の心持ちの違いによって、
いかようにも変化してゆく。

見えなかった風景が浮かび上がり、
記憶から消えていた登場人物に
親愛の情がわき、
小さなシーンが持つ特別な意味に
気づかされる。

本当に同じ本だろうか、
と信じられない思いにとらわれる。
神秘的な体験ですらある。

ほんとうに神秘的で不思議な体験だ。
中身はよくわかっているつもりだし、
相手(本)は何一つ変わっていないのに
好きな本を読み返すと
いつも新しい発見があり、
新鮮な気持ちになる。  

読み方の変化は、自分自身の
人間性の変化につながっている。

自分の人生がどういう場所に
向かおうとしているのか、
本が教えてくれる。

そして本は決して、
読み手を否定しない。

どんな読み方をされても、
黙って受けとめる


移り変わってゆく読み手に、
辛抱強く寄り添ってくれる。

「一文字も変わっていない」
「決して否定しない」
「黙って受け止める」
うまい表現だし、本が人なら
これこそがまさに圧倒的な性格と
言えると思うが、
いい本に出会うと、なぜかその本と
対話できるような気がするのはなぜだろう。

こちらの問いかけに、実際には
本は何も返してくれてはいないのに。

 

 

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