黒目川 (3) 遡行
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黒目川 (3) 遡行
- 旧川越街道と市境 -
国土地理院のページの
「好きな色で標高を色分けした地図が作れる」
の機能をフル活用し、
低いところに集中してみようと
標高0mから5mおきに60mまで色を変えて
高低差地図を作ってみたら
こんな感じになった。
この図で、埼玉県と東京都の境、
埼玉県の新座市、朝霞市あたりに注目すると
大きく削られた二本のノの字が見える。
左側が柳瀬川で、右側が黒目川によるもの。
黒目川の方を
新河岸川との合流地点から
遡行してみよう、と
その様子を
(1) 赤矢印から茶矢印
(2) 茶矢印から紫矢印
に書いて来た。
3回目の今日は、紫矢印
埼玉県 朝霞市 膝折(ひざおり)町
あたりから始めたい。
(ちなみに、黒目川全体の始点終点を示すと
最上流:水源「さいかち窪」 :黄矢印
最下流:新河岸川との合流地点:赤矢印
となり、全長で約17kmとなる)
これまで、
まさに黒目川に沿って遡行してきたわけだが、
ここでちょっと黒目川を離れ
旧川越街道沿いを歩いてみよう、と
いうことになった。
川沿いから旧街道沿いに、の
浮気(?) のきっかけはこの本。
昭文社 旅行ガイドブック
編集部 (編集), 吉村 忠 (監修)
埼玉スリバチの達人
(高低差散策を楽しむバイブル)
昭文社
(書名または表紙画像をクリックすると
別タブでAmazon該当ページに。
以下、水色部は本からの引用)
NHKの番組「ブラタモリ」の影響か
本屋では高低差をネタにした本を
よく見かけるようになった。
これもその一冊。
まずはこの膝折(ひざおり)という
名前の由来から教えてもらおう。
「小栗小次郎なる者が
名馬鬼鹿毛で逃げてきたが、
この地で膝を折って死んだ」
という話による。
膝が折れたのは人でなく馬だ。
東武東上線の朝霞駅は
かつて膝折駅だったが
1932年に改称されている。
14世紀、南北朝時代の戦乱で
高麗から来た5人の家臣が落人として
この地にたどりつき、原野を切り開いた、
との伝承が近くの一乗院にはあるらしい。
室町時代には記録もあるとのことだが、
いずれにせよ、江戸時代よりも
ずっと前から開けた場所だったようだ。
【高麗家(こまけ)住宅 膝折宿 脇本陣】

旅寵の建築様式を残す建物は
18世紀末のものと考えられているが、
内部は公開されていない。
【膝折宿 本陣牛山家があった場所】

大名や天皇の勅使などが宿泊する
本陣と脇本陣がある。
本陣は土地の名主が務め、
膝折宿は牛山家。
明治以降は政府に協力して建物が
郵便局になっているケースが多い。
写真を撮ったのは2024年10月27日。
確かに郵便局の面影はあるが、
「局舎の老朽化に伴い
2024年10月26日から閉鎖」
の張り紙があり、まさに閉鎖された直後。
元・膝折郵便局と呼ぶのが正確か。
ちなみに、左隣の門の表札には
しっかり「牛山」とある。
ところで上記の本の他に、
立教大学と武蔵野銀行が
産学連携により制作した
「ぶらって朝霞 朝霞の坂」まち歩きMAP
という小冊子も2024年10月に完成している。

表紙には
「本紙の情報は
学生の取材や主観に基づくもので、
必ずしも正確ではありません」
とあるが、
学生さんの主観も一緒に楽しみながら
いくつか坂を見てみよう。
(以下緑色部は冊子からの引用)
【かせぎ坂】

駄賃を稼いだといわれるほどの急坂。
現在は急勾配がわかるのは
坂の上あたりのみになっている。
横から見ることができる坂はレア!
分度器で測ってみてはいかが?
この部分だけでも確かに急坂で
荷車の後ろを押して駄賃を稼いだ、は
容易に想像できる。
坂の上には
「膝折不動尊」が祀られている。

【卵塔(ラントゥ) 坂】

禅僧に多く用いられた墓石のこと
よみがえる青春の記憶と
この先にある青春の予感。
みんなの青春を重ねていこう!
確かに青春と坂道はなぜか絵になる。
坂の下には一乗院という寺院と墓所がある。
さてさて、坂道も堪能できたので、
旧川越街道への寄り道から
黒目川の遡行に戻ろう。
国道254号線と交わるあたりから、
上流を見るとこんな感じ。
蛇籠による護岸部分もある。
相変わらず流れは速く、
サギの仲間か白い鳥もいる。
樋管も多く、
あちこちから流れ込んでいる。
水門がないと逆流も心配だが。
【複雑な市の境界線】
ところで、このあたりは、
新座市と朝霞市の市境となる。
Mapionの地図で境界線を見てみよう。
中央縦の緑帯が黒目川。
赤い線が市の境界線。
(左が新座市、右が朝霞市)
いったいどうしてこんな複雑な曲線と
なってしまったのだろう。
川越街道やら坂道やらに寄り道しながら
紫矢印から深緑矢印まで歩いてきた3回目。
黒目川歩きの見どころのひとつ、
妙音沢までもう少しだ。
黒目川遡行、次回も続けたい。
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