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2024年12月15日 (日)

内発性を引き出してこそ

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内発性を引き出してこそ

- 感動的なものができるとき -

 

いわゆる街の本屋さんはまさに減る一方だが
けっこう大きな書店でも
縮小したり閉店したりするところが多く
いまや「大きな書店」は
貴重な存在になってしまった。

そんな書店のひとつに立ち寄ったところ
カウンタのそばに
Take Free (ご自由にどうぞ) と
こんな小冊子が置いてあった。
さすがにこれはAmazonでは入手できない。
100demeichotekefrees
NHK Eテレの番組「100分de名著」に
指南役で登場した各専門家による
名著にまつわるエッセイをまとめたもの。

その中から、いくつか印象的な言葉を
紹介したい。
(以下、水色部は小冊子からの引用)

最初は、

秋満吉彦
 (NHK100分de名著プロデューサー)
いつも原点を思い出させてくれる名著


から。

考えもしなかった
感動的なものができるのは、
メンバーそれぞれの内発的なものが
引き出されたとき
ではないか……
ということに深く気づかされた本が、
レヴィ=ストロース
『構造・神話・労働』
だ。

「人間にとって労働とは何なのか」を
研究していたレヴィ=ストロースは、
世界中をフィールドワーク。
日本も訪問し、
日本の職人の働き方を
徹底的に観察した、という。

その時、彼が気づいたのは、
西洋人の「鋤く」と日本人の「働く」は
違うということ。
さて、どう違うというのだろう。

西洋人の労鋤というのは、
自分の頭にあるブランを
対象とか自然にあてはめる


たとえばコンクリートで
何かをつくるとしたら、
材料をペースト状にして、
自分が想像した設計図に
完璧にあてはめてつくる。

一方、日本人はどう映ったのか。

たとえば石垣。
自然の石をどう組み合わせたら
石垣になるかを考える。

陶器をつくる人は
「この土がなりたがっている形を
 引き出す」と言ったりもする。

日本の職人は何かを
支配しようとするのではなくで、
素材そのものが持っている素晴らしさ、
潜在力を引き出そうとする

そういえば、以前
編集者松岡正剛さんも花伝書を引いて
「才能とか能力とは、アタマやカラダや
 知能にそなわっているものではなく、
 素材や道具にそなわっているものを
 引き出せる仕業
のこと」
と言っていた。

あらゆるものを開発して
消費しつくしてしまう
先がないような
文明の作り方ではなくて、
日本人の、受動的に何かを
引き出そうさする働き方こそが、
労勘に豊かさを取り戻す方法だ
というのだ。

この本に出合って、秋満さん、
プロデューサーとしての
仕事のやり方が激変したという。

支配せずに受け身になり、
一緒に働いている人の豊かな能力、
内発性を引き出すやり方

「土がなりたがっている形を引き出す」は、
土や石といった素材だけでなく、
それは働いている「人」に対してだって
あてはまる考え方だ。

 

 

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