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2020年3月15日 (日)

伝書鳩からレース鳩に

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伝書鳩からレース鳩に

- 一日で千kmを飛んで帰巣!? -

 

2020年3月11日、WHO(世界保健機関)は
新型コロナウイルス感染拡大を
「パンデミック(世界的な大流行)」に
相当すると表明。

3月12日には、
古代オリンピック発祥の地
ギリシャ・オリンピア遺跡のヘラ神殿前で
聖火採火式行われたようだが、
先が読めない中、東京2020オリンピックも
黄色信号といったところだろうか。

ところで、オリンピックと言えば、
56年前の東京オリンピックの開会式で
多くの鳩が一斉に飛び立ったシーンは
リアルタイムでは見ていないものの
のちの映像では何度も目にしており、
なかなか印象的だ。
8千羽も放たれたらしい。

JOCのオリンピック憲章のページでは
過去からのオリンピック憲章を
見ることができるが、試しに

オリンピック憲章 
Olympic Charter 2000年版・英和対訳
(1999年12月12日から有効)

を見てみると、94ページには

1.11
オリンピック聖火が走者達の
リレーによって
スタジアムに運び込まれる。
最後の走者がトラックを一周し、
オリンピック聖火に点火する。

聖火は
オリンピック競技大会の閉会式まで
消されてはならない。
聖火への点火に続いて、
平和を象徴する鳩が解き放たれる

とあり、開会式での鳩を使った演出が、
なんと明文化されている。
(2004年版以降
 この記述はなくなっているようだが)

当時、鳩は、平和の象徴として、だけでなく
伝書鳩(でんしょばと)としても
新聞社等で実際に使われていたらしい。

気になってちょっと調べてみたら
こんな記事が見つかった。

「3割が帰らないナゾ」
を見出しとしていた
2007年5月13日朝日新聞の記事
(以下水色部記事からの引用)

伝書鳩は、
エジプトから中国などにかけて分布する
カワラバトの仲間だ。

縄元前3千年ごろから、
帰巣能力を買われ、
通信用に飼いならされるようになった。
ハトと人とのつきあいは長い。
旧約聖書の「ノアの洪水」のくだりに、
箱船から放たれたハトが
オリーブの小枝を持ち帰った
との記述がある。
このときから、平和の象徴にもなった。

紀元前3千年ということは
なんと5千年もの歴史があるわけだ。

新聞社でも使われていた。

帰巣能力を買われて、かつては
通信機器」として活躍した。

第2次大戦までは、
軍用の機密も伝書鳩が運んだ。
もちろん、わが朝日新聞社でも
記事や写真の送稿に
欠かせない存在だった。

社史によると、1895年、
「朝鮮から井上馨公使帰国」
のニュースを伝えたのが最初。

電話やファクスの普及につれて、
わが社でも1966年までに、
全本社の通信鳩係が廃止された。

1966年に廃止されたとはいえ、
約70年も新聞社で使われていたわけだ。

「伝書鳩」としての役目を終えた鳩は、
現在は「レース鳩」と呼称を変え、
速さを競うレースが、
その晴れ舞台として残っている。

100kmから1000kmを越えるコースまで
各種レースがあるようだが、
そのレースでの帰還率が
近年大幅に落ちて来ているらしい。

全滅が続いて、
中止に追い込まれた伝統レースもある

とのこと。

記事の見出し
「3割が帰らないナゾ」は
この帰還率のことを指している。

その理由については

「携帯電話の普及で電磁波の影響を受ける」
「異常気象のせい」
「短距離レースに力を入れる人が増えた」
「健康管理や訓練が雑になった」…。

会場で、いろいろな声が聞かれた。
だが、猛禽類が増えているのを、
理由にあげる人が圧倒的に多い

タカが保護されて増えたから、
というわけか。

 

保護が進んだ結果、都内でも
オオタカやハヤブサが観察される。

「レース中に食べられたり、
 襲われてショックで方向を
 見失ったりしているのでしょう」

とは、日本伝書鳩協会会長の
屋内一郎さんの言葉。

それにしても
条件さえ良ければ千kmという距離を
1日で帰るというハト。

いったいどうやって帰路を掴むのであろう。

ハトが帰巣に使っているのは、
まず地形などの視覚情報

見覚えのある場所で放せば
一直線に家に帰る
鉄道を見つけると線路沿いに飛ぶ。

そして、方角。これは、
太陽の位置と体内時計を
組み合わせて判断
しているらしい。

人工照明によって体内時計を
6時間ずらしてやると、
ハトは鳩舎から90度ずれた方向を
目さして飛んでいく。

地形や太陽との角度のほか
地磁気を感じていることも
確かめられているようだ。

地磁気を感じることも、
実験で確かめられている。
ただし、手術で磁気を
感じられなくしたハトもちゃんと
帰巣することが多いところからすると、
どの程度頼りにしているかは、
はっきりしない。

ほかにも、
遠近両用眼鏡のような視力、
紫外線も見える視覚、
低音波も聞こえる聴覚、
千枚もの写真を覚えられる記憶力、
などなど、個々のすぐれた能力の
調査は進んでいるようだが、
帰巣のメカニズム自体が
明確になっているわけではないようだ。

飼育は、1964年の東京オリンピックのころが
ピークだったらしい。

そうそう、こんな記述もあった。

公園などで見かけるドバトは、
伝書鳩が逃げ出して
半野生化したものといわれる。

あの、
のんきそうにしている公園のハトにも
1000kmを飛んで巣に帰る能力が
備わっているのかもしれない、と思うと
ちょっと見直してしまう。

 

 

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