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2019年6月23日 (日)

鳥取県の民藝めぐり(2)

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鳥取県の民藝めぐり(2)

- 陶芸家・山本教行さんの言葉 -

 

前回、山陰の民芸における
吉田璋也の貢献について書いたが、
彼の影響を受けた人の作品も含めて
鳥取県内でもう二箇所、
民芸関連の場所を訪問したので
今日はそこを紹介したい。

 

【岩井窯】
鳥取市内から車で30分ほど離れた
緑豊かな山の中にある。

Img_4076s

(写真はすべてiPadで撮影)

作品展示室のほか、
岩井窯の器や土鍋で
お茶や食事ができる喫茶室、
創作資料のために自ら蒐集した
国内外の手工芸品を展示する
参考館も併設されている。

Img_4072s

作品展示室のものは
購入もできる。

Img_4070s

気に入ったものがあったので
「サイズ」や「枚数」等、
在庫についていくつか聞いてみたが、
残念ながら連休の前半で
ずいぶん売れてしまったようだ。

象嵌(ぞうがん)技法の結び模様や、
人気の高い掻き落としの牡丹柄等、
特徴のある作品が並ぶ。

Img_4071s

この窯の当主、山本教行さんと
吉田璋也との出会いについては
この本から一部引用したい。

鞍田崇 他著
私の好きな民藝

NHK出版

(書名または表紙画像をクリックすると
 別タブでAmazon該当ページに。
 以下、水色部は本からの引用)

クラフト館岩井窯と名づけられた
この工房の当主、山本教行さんも、
吉田璋也の薫陶を受けた一人。

16歳のときに埠也に出会い、
よく自宅に遊びに行ったり、
美術館の展示替えを
手伝ったりしたそうです。

「そこでもの作りに対する以上に、
 吉田先生の
 生活スタイルに憧れました

と山本さん。

璋也自身のデザインによる
家具や器に囲まれた
美しい暮らしに感動、

陶芸家になりたいというより前に、
 こういう暮らしがしたいと
 強く思わされました
」。

そのときの思いの延長線上にあるのが、
こちらの工房です。

 

工房が紹介された多くの本や雑誌、
作品展のちらし等も並んでいたが、
窯紹介のパンフレットを見ていたら
山本教行さんが、
こんな素敵な言葉を載せていた。

日常生活の中であたりまえすぎて
それほど気にならないのに
それでいて
常に大切に思えるものがある。
そういう物が焼けないかと思う。

私が作ったというより
生まれてきたと思えるものが
焼けないかと念じてやまない。

「生まれてきたと思えるもの」か。

そんな精神が反映されたような
素敵な皿に出会えたので
2枚購入。

お手洗いの
「手洗い器」にも作品を使っている
気の遣いよう。おしゃれだ。

Img_4074s

外には大量の薪が積んである。
その前で眠っている犬も
じつに気持ちよさそうで
なんとも穏やかな空気感がいい。

Img_4073s

 

【倉吉】
鳥取市内から車で約1時間。
国の重要伝統的建造物群保存地区
に選定された
玉川周辺の白壁土蔵群が有名な倉吉。

Img_4098s

多くの観光客が訪れている。

江戸後期から昭和初期の建物が多い街並みも

Img_4112s

歩いていて楽しいが、
地図好きの私は、
街のど真ん中でこんなものを見つけて
ちょっと興奮してしまった。

Img_4099s

一等水準点。
一等水準点自体が珍しいわけではないが
街中でここまで大きく明示してあるものは
見た記憶がない。水準点は
国土地理院の地図には明記してあるので
場所はすぐにわかるのだが、行ってみると
忘れ去られたような標石が
寂しくしていることが多い。
ここの標石は幸せ者(?)だ。

Img_4101s

 

さて、この街並みの中にある
【COCOROSTORE】
民芸品を集めた素敵な店だ。

福光(ふくみつ)焼
国造(こくぞう)焼
上神(かづわ)焼といった
地元・倉吉の陶器のほか、
大塚刃物鍛冶(かじ)の包丁など
鳥取の手仕事を揃えている。

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古い建物をリノベーション

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目立つ看板は出ていないが
立ち寄る人は絶えない。

Img_4110s

自然栽培のごまや、
無農薬大豆で作るみそなど、
地元産の食材も扱っている。

ここでは、無地茶色の
国造(こくぞう)焼の皿を1枚購入した。

今回、時間的に町の散策は
ほとんどできなかったのだが、
ちょっと時間をとってぶらぶらしてみたい
そう思わせる小さな、素敵な町だった。

 

 

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