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2017年9月 3日 (日)

オーストリア旅行記 (2) ザルツブルク到着

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オーストリア旅行記 (2) ザルツブルク到着

- ホームは番線だけでなく -

 

ウィーン国際空港(VIE)に到着。

ドバイからウィーンへの路線には、
ムスリムの女性も数多く搭乗していた。

ヒジャブと呼ばれる黒い布で
頭を覆うだけでなく、
ニカーブと呼ばれる布で顔も隠して
目だけを出している女性も多い。

こうなると、身体のうち
人の目に触れるのは、
わずかに目の周り数cmだけ、
ということになる。

そのせいか、目の周りだけ
かなり凝った化粧をしている人もいる。
さすがに「写真を撮らせて下さい」とは
とても頼めないが。

何かを食べるときは、ニカーブの下に
食べ物を差し入れてモグモグしている。
あれでは味も
よくわからないのではないだろうか?

ちなみにオーストリア入国の際、
パスポートコントロールでは
いったいどうするのだろう?と
ちょっと興味を持って見ていた。

目だけでは
顔の照合もなにもできないではないか。

見ていると、検査官に向けては、
ニカーブをはずして顔を見せていた。

ニカーブ部分を
片開きのドアのように開けることは
けっこう簡単にできる構造に
なっているようだ。

 

ドバイからの(総2階建て)エアバスA380は、
ほぼ満席だったので、
全部で600人くらいは
乗っていたのではないだろうか。

パスポートコントロール通過後の
荷物を受け取るターンテーブルの周りは
何重にも人が取り囲み
大集団となっていた。

前回書いた通り、
ちょっと無理はしたものの、我々夫婦は
全荷物を機内持込みにしていたので、
ターンテーブルの前で
荷物を待つ必要は一切ない。

まだ、テーブルが回りだしてさえいない
大集団の横を「するり」と通り抜け、
あっという間に
到着口に出てきた。

さぁ、まずは駅を目指そう。

 

最初の宿泊地ザルツブルクまでは
オーストリア連邦鉄道ÖBBの
「レイルジェット」という
高速長距離特急列車で約3時間。

今回は、乗り降り自由の
ユーレイルパスを買っていたので、
まずは使えるように
有効化(validation)
してもらうために、
ÖBBのチケットオフィスに寄った。

P7107628sa

 

ある程度は並ぶことを覚悟していたのに、
行ってみたら
タイミングがよかったのかガラガラ。

レイルパス購入時の手引には、
切符のカバーの所定欄に、
事前に乗る区間を書き込むように
書かれていたが、
validationするときに聞いてみたら、
「日付さえちゃんと書いてあればOK」
とのこと。

指定日乗り降り自由の切符なのに、
いちいち区間を書くのは面倒、
というよりナンセンスだ、
と思っていたので、
この回答には妙にスッキリ。

パスポート番号を記入してもらい、
日付を記入して、スタンプをもらい
いよいよ切符として使えることになった。

「ザルツブルクに行きたいのだけれど」
と時間を聞いたら、
「14:03には乗れるよ」とのこと。

事前に調べたときは、
飛行機到着が13:00頃なので、入国や
チケットのvalildationの手続きを考えると
15:03発の電車に乗れたらいいほうかも、
と思っていたのだが、
それよりも1時間も早い電車に
乗れることになった。

ずいぶん得した気分。

ホームを確認すると「1D-F」とある。
1番線?

P7107634s

駅の表示を注意してみると
「1」は番線で、
「D-F」はホームでの区画、
つまり前の方とか、真ん中あたりとか、
ホームで電車が停まる位置を
示しているようだ。
(首都圏の鉄道で言う、
 乗車口番号のXX番からYY番に
 相当する感じか)

P7107631s

場所まで丁寧に教える必要があるのか?
という気がするが、
コレを見てある失敗を思い出していた。

もし、あのとき、この指定があれば、
あの失敗は避けられたはずだ。

 

場所はイタリア北部、Chivassoという駅。
仕事で出張中だった私は、
同行者とふたりで
(「荒川静香さんが金メダル」の
2006年冬季オリンピックが開催された)
トリノ(Trino)を目指していた。

電車の時刻表を見ると2番線。
定刻の少し前にホームに行くと
電車がちょうど停まっていた。
迷わず乗車、まもなく電車は
時刻表通りの時間に発車した。

「うまく乗換えられたね」と
ホッとしたのもつかの間、
窓から見える夕日の向きを考えると
どうも走っている方向が
180度違う気がする。

そんなバカな。
「これからループ状に
 大きく回ってから行くんだよ。きっと」
などと呑気に構えていたのだが、
もちろんそんな大きな方向転換はない。

イヤな予感は的中しており、実際には
完全に逆方向の電車に乗ってしまっていた。

やむをえず途中で再乗換えしてUターン。
仕事のほうは事なきを得たが、
ふたりともこの間違いについては
どうしても納得がいかない。

なぜ違う電車に乗ってしまったのか?

偶然にも翌日またChivasso駅で
乗換えることになった。
我々は前日の謎を解明すべく、
ふたりで再度時刻表を見に行った。

そして、ある事実を知ってビックリした。

同じ番線に、短い電車が2本停まっており、
全く同じ時刻に、同じ番線から
東西両方向に向けて
2本の電車が発車する
のだ。
西方向がTrino行きで、
東方向がNovara行き。

つまり、同じ2番線の電車でも、
西側に停まっている電車に乗れば
西向きに出発し、
東側に停まっている電車に乗れば
東向きに出発する。

こんなにわかりにくいことがあるだろうか。
西に行きたかったのに、
同じ番線の東側の電車に乗って
発車を待っていたということなのだろう。

みんな間違えないの?

この経験以来、番線だけを信じちゃダメ、
と思うようになったので、
今回のウィーンのような
ホームのエリア表示は
丁寧だな、とは思いこそすれ
余計なお世話、という感じはしない。

 

閑話休題

空港下の駅はホームもきれいで気持ちいい。

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待っていた電車が来た。

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いわゆる二等自由席だが、
天井からの液晶パネルで
行き先と到着時刻の確認ができる。

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発車。
車両の構造のせいだろうか
びっくりするくらい音が静かで、
滑るよう動きだした。揺れも少ない。

車両の清潔感といい、案内表示といい、
ガイドブックが広げやすい
コンパクトなテーブルといい、
車内はじつに快適。

WiFi(ネット)も面倒なユーザ登録等なしで、
サクサクと繋がる。

それにしてもオーストリア連邦鉄道ÖBBを
代表する高速長距離特急列車の名前が
レイルジェット」。
速い感じは伝わるが、
遊園地の子どもの乗り物名みたいで
個人的な言葉感覚ながら
どうも実際のイメージと合わない。

 

出発後、
大都市ウィーンの南側をかすめたあとは、
あっという間に、
豊かでゆったりとした田園風景となった。

P7107646s

黄色いところは「麦」で、
緑の部分は「とうもろこし」
と思われる車窓の景色が延々と続く。

P7107643s


小さな集落にも
雰囲気のある教会が真ん中にあったりして
初めての国の景色はちっとも飽きない。

P7107649s

P7107645s

 

予定通り3時間ほどでザルツブルクに到着。

P7107652s

あとで名前を知ることになる
ザルツブルクから見える代表的な山、
ウンタースベルク(Untersberg)山や
自転車でそのまま乗車しようとする客など
特徴的なものが後方に写っているが、
この時は全く気づいていない。

P7107653s


「ザルツブルク」と聞いて
理由(わけ)もなく古めかしい駅を
想像していたのだが、
これまた近代的できれいな駅だった。

Img_9939s

駅から歩いて7,8分のところにある
予約していたホテルにチェックイン。
まだ、午後5時半。
荷物を置いて身軽になったので、
早速下調べに出かけることにした。

まず出かけたのは、
駅構内にある観光客向けの
インフォメーションセンタ

目的は4つ。
(1) 観光地図をもらう。
(2) 映画
  「サウンド・オブ・ミュージック」の
  ツアー内容を確認する。
(3) 滞在中に予定されている
  コンサート情報を得る。
(4) ザルツブルクカードを購入する。
  
(2)と(3)については
希望に合う内容であれば予約する。

行ってみると、
駅構内にあるせいか、混乱しないよう
「電車の情報はないよ」
「電車のチケットはないよ」
との注書きあり。
「観光情報」だけの案内所だ。

P7117656s

まずは、観光地図をもらう。
観光スポットだけでなく、
細かなバス路線の記載もある。

世界中どの街に行っても、
地元の地図を見るのは大好きだ。

記載するものの優先順位、
記載方法の違い、配色の違い、
地図に描き込むための
様々な工夫を見ているだけで楽しい。

ところで、もらった地図にあった
この細かなバスの路線情報が
数時間後の予想外の事態に対して、
大きく役立つことになるのだが、
この時点では、もちろん
そんなことになるとは夢にも思っていない。

 

映画「サウンド・オブ・ミュージック」の
ツアー
は、
ふたりともこの映画が大好きだったので、
以前から少し興味があった。
いわゆるロケ地巡りだ。

ただ、市内の歩ける範囲に
多くのロケ地があることは
わかっていたので、
それらを回るだけなら
自力で回ればいいと思っていた。

ところが聞いてみると
郊外のロケ地がメインになっているようだ。

もちろんそれらだって、
バスを乗り継いで行けないことはないが、
点在しているため、
自力で回るときわめて効率が悪い。

というわけで、
訪問内容が希望に叶っていたこともあって
ツアーに申込むことにした。

その場でツアー会社に電話し、
予約してくれたうえ、
チケットも発券してくれた。
翌朝9時出発の4時間のツアー。
どんな時間になるのか、
たのしみ、たのしみ。

 

コンサート情報もいくつか得られた。
ちょうどザルツブルク音楽祭という
大きな音楽祭の直前で、
シーズンでないことはよくわかっていたが、
せっかくモーツァルト生誕の地に
2泊することだし、この乾いた空気の中で、
音の響きをたのしみたいと思っていた。

まだ、
街の規模も様子も全くわからないので、
コンサートについては
場所と時間と内容だけを教えてもらい、
もう少し検討することにした。

「予約やチケットの発行も
 ここでできるから、
 決めたらまた来て」

 

ザルツブルクカードは、一度購入すれば
市内の主な観光スポットと交通機関が
有効な時間内、
無料になる観光客向けのカード。

Salzcard

日付指定ではなく、
最初に使った瞬間からの時間数。
なので上記サウンド・オブ・ミュージックの
ツアーの後、
つまり翌日午後から使い始めれば
めいっぱいフル活用できそうなので
24時間有効なカードを27ユーロで購入した。

 

インフォメーションセンタでは
ずいぶん丁寧に対応してもらえた。
十分な基礎情報が得られたうえ、
準備もできたので、いよいよ観光開始だ。

 

ちなみに、
インフォメーションセンタもある
ザルツブルク中央駅の
駅舎正面はこんな感じ。

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市内を走るトロリーバスの架線が
ごちゃごちゃとしている。

 

駅の裏側は対照的にこんな感じ。
屋根の曲線が美しい。
屋根の下にビッシリ並んだ自転車にご注目。

P7117661s

今後よくみかけることになるが、
オーストリアでは、
自転車の利用、活用が
社会インフラの一部として
ほんとうによく考慮されている。
ここは駅直結の自転車置場。
整然と置かれている。

P7117662s

 

飛行機の中で寝たとは言え、
日本を出発してからすでに25時間くらい
経っている。

「今日はもう夕方だし、
 長時間フライトで疲れているし、
 サクッと街の規模と様子を掴んだら、
 夕食だけ食べてホテルに戻ろう」

そんなことを言い合いながら、
まさに軽装で歩き出した。

「夕食を食べてホテルに帰る」
そんな簡単なことなのに
まぁ、旅にはいろいろなことがある。

なかなか思った通りにはいかない。

 

 

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