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2014年5月 3日 (土)

日英混在でも本の向きはそのままだったり、秘密の日記だったり

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日英混在でも本の向きはそのままだったり、秘密の日記だったり

- 英国の景色を眺めて -

 

4月上旬、出張でドイツとイギリスを回ってきた。

今回、ドイツ・デュッセルドルフからロンドン・ヒースロー空港へのフライトは、
午後のまだ明るい時間帯だったため窓側の席にしたのだが、
これは大当たりだった。

ヒースロー空港着陸直前、ロンドン中心部上空を大きく旋回するコースを取ってくれたのだ。
おかげで街の景色をおおいに楽しむことができた。

上空からの景色は「行ったことのある人向け」ではあるが、しばしお許しを。

(一度でも地上での観光経験のある街だと、上空からの景色もすごく楽しめるのに、
 未経験だと多少地理に詳しくても、ぼーっと眺めるだけになってしまうのは
 なぜなのだろう。

 実際に行った場所を上空からなんとか探しだそうとする集中力は、
 同時に別な楽しみをも運んできてくれるような気がする)

 

ロンドンが近くなってきた。
大きく旋回して、最初に見えてきたのはタワー・ブリッジだった。

ロンドン中心部(INNER LONDON)
中央がテムズ川、中央一番下に見える橋がタワー・ブリッジ。

Img_8244s

この橋は、ロンドンの観光用ポスターによく使われている。
そのせいか、この橋を「ロンドン橋」だと思っている人が多いが、
これは「タワー・ブリッジ」で「ロンドン橋」ではない。
ロンドン橋はタワー・ブリッジのお隣り、この写真で言うとひとつ上の橋になる。

ローカルな橋にもかかわらず「ロンドン橋」の名をだれもが知っているのは、
子どものころに歌った歌「ロンドン橋落ちた」が記憶の片隅にあるからだろう。

「ロンドン橋落ちた」は、イギリスの伝承童謡「マザーグース」のひとつ。

意味を考えながら読むと奇妙な歌の多いマザーグースだが、
それについて詳しく知りたければ、
平野敬一著「マザー・グースの唄 -イギリスの伝承童謡-」中公新書がお薦めだ。


40年以上も前に発刊された本なのに、いまだに版を重ねていることが
まさにその質の高さを証明しているとも言えるが、
この本、編集というかレイアウトの点でもほんとうにすばらしい。

参考までに「ロンドン橋落ちた」を含む2ページを選んでみた。
英文がでてくるページはすべてがこんな感じのレイアウトになっている。

_80s    _94s

縦書の日本語の本文に、横書きの英語の原文が混在しているのに、
本の向きを変えることなくスラスラと読むことができる。

本作りのことはよくわからないが、このように組むことはきっとむつかしいのであろう。
本を縦にしたり横にしたりしながら読まずにすむ
こういったレイアウトには、ほとんどお目にかかったことがない。

内容の充実度だけでなく、英文混在での読みやすさ、自然さという点でも
ぜひ見習ってもらいたい良書だと思う。

 

「タワー・ブリッジ」に続いて見えてきたのはセントポール大聖堂。

ロンドン中心部(INNER LONDON)
中央小さな白いドームがセントポール大聖堂。CITYと呼ばれる金融街。

Img_8249s


真ん中に架かるウエストミンスター橋の左上がビッグベンのある国会議事堂。
左上に見える緑の中にバッキンガム宮殿。

Img_8246s


左側グリーン・パークと右側セント・ジェームズ・パーク、
そして中央にバッキンガム宮殿。

Img_8251s

2012年ロンドンオリンピックでのマラソンのゴール地点。
ちょうど真ん中にバッキンガム宮殿前のロータリーが見える。

セント・ジェームズ・パークと言えば、17世紀のイギリスの官僚ピープス氏は
この公園のことを「驚くほど色々な鳥のいる公園」と日記に記している。

サミュエル・ピープス(Samuel Pepys, 1633-1703)
ご存知だろうか? 彼は暗号を使って日記をつけていた。
それが後に解読され、本になって出版までされている。

臼田昭著 「ピープス氏の秘められた日記 17世紀イギリス紳士の生活」 岩波新書

「だれにも読まれない」を前提にしたら、人はいったい何を日記に書くのだろうか。
どんな経緯があるにせよ、それを本人の死後、解読して読もうというのだから、
決して趣味がいいとは言えないが、
飾らずに正直に書かれた日記というのは、めっぽうおもしろい。

ピープス氏は、一平民からイギリス海軍の統括責任者にまでのぼりつめた官僚で、
王立協会の会長まで務めたような人物だが、
日記に登場するご本人は、じつに人間味に溢れている。

ペストの流行やロンドン大火についてのリアルタイムでの記述は、
史料としての側面においても大きな価値があるが、
宮廷や上流社会を厳しい目で見つめる一方、芝居や酒の誘惑に弱く、
妻の目を恐れながらも自身の女性関係を赤裸々に、となると、
覗き見趣味的ゴシップとしても、おおいに楽しめる。

というわけで、たいへんおもしろい本なのに、こちらは残念ながらすでに絶版。
ご興味があれば、下のリンク先の中古か図書館でどうぞ。

 

ロンドン中心部を東から西へと飛んできたことになる。

ハイド・パーク

Img_8250s

私が地理的に追えるのはこのあたりがもう限界。
ハイドパーク手前、ロイヤル・アルバート・ホールが見えないか探してしまった。
近くで見るとあんなに大きいのに、さすがに上空からでは確認できなかった。

 

このあと飛行機はまっすぐヒースロー空港へ。
空港からは訪問先であるChertseyという街へ寄り道せずに向かったので、
今回、ロンドン中心部は「上空からの景色だけ」になってしまった。

ちなみに「ヒースロー空港」「Chertsey」「ロンドン」はこんな位置関係になる。
時間に余裕のない出張の中、この位置関係では「ついでにロンドンに寄る」というわけにもいかない。

1404ukmap

今日はロンドンの景色を見て思い出した、二冊の古い本の紹介まで。

と、終わりにしようと思ったのだが、
せっかくイギリスに上陸(!?)したので、
初めて訪問したChertseyという小さな街の様子を、少しだけ添えておきたいと思う。
観光地ではないため、観光のガイドブック等にもおそらく出ていないと思われるので。

 

【イギリスの街:Chertsey】

Chertseyの町並み 小さな商店が多い。

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住宅にもホテルにも、歴史を感じさせる建物が多い。

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今回利用したChertseyのホテル

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メインの通りから一本入ると、
正真正銘の「イングリッシュガーデン」と一般住宅が。

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町外れには、緑の美しいサッカーグラウンド
ほんとうにサッカーがよく似合う。

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Img_8301s


そんな中、ちょっと気になった景色は・・・

【ちょっと気になった景色:1】

Img_8304s

これらは煙突だろうか? 注意して見ると多くの建物の上に並んでいる。


【ちょっと気になった景色:2】

Img_8296s

セブン-イレブンのような日米で見るコンビニはないが、こんなお店があった。
Chertseyのコンビニか。定休日なし、毎日朝6時から夜10時まで営業。


【ちょっと気になった景色:3】

Img_8279s

コンビニ、マクドナルドに代表されるファストフード、日本車、などなど
「あっ、日本と同じ!」というものは驚くほど目にしない。
KFCもスターバックスコーヒーもない。(もちろんその方がいいのだけれど)

そんな中、唯一目にした同一チェーン店。
右端の看板「Curves」。
日本でも「女性だけの30分健康体操教室」として、
最近あちこちでよく見かけるようになった。
それにしても、「色を含めたロゴ」のインパクトは大きいものだ。
紫色かつあの字体でなければ気がつかなかっただろう。


【ちょっと気になった景色:4】

Img_8308s

住宅街の入り口の車幅制限。
ただ、この写真でも感じられると思うが、
その先の住宅街の道は道幅も広く、結構ゆったりしている。
駐車場を含む広場もある。
車幅を制限するのには、幅以外の理由があるのかもしれない。


以上 Chertseyのスナップのオマケでした。

 

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