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2014年4月20日 (日)

ポトマック河畔の桜

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ポトマック河畔の桜

- 「送った人」と「受け入れた人」 -

 

(オリコン1位の曲の話は、再再度延期)

出張中の新聞を流し読みしていたら、
4月15日の朝日新聞夕刊に「米ワシントンのポトマック河畔で桜が満開」の記事があった。

A140415er_

記事には

 「この桜並木は1912年、当時の尾崎行雄・東京市長が苗木3千本を贈ったもので、
  ワシントンの春の風物詩になっている」

との一文がある。

 

この桜について、以前、甲南大学の田中修先生がラジオで話をしていたことがある。
(2013年6月2日放送、NHKラジオの録音の一部)
今日はそれを紹介したい。

まずは「さくらの日」の話から。

「さくらの日」はいつですか、お考え下さい。

「さくら咲く」って考えていただくと「3月39日」が桜の日になります。
でも3月39日っていうのはありませんので、日本さくらの会が一捻りしまして、
「さんく27」として、3月27日を「さくらの日」と定めています。

で、この桜がワシントンDCのポトマック河畔に送られて
ちょうど昨年百周年を迎えました。

送られた最初の苗木が植樹されたのが、
偶然かどうかわかりませんが3月27日と言われています。

送った人は有名で、東京市長・尾崎行雄 氏が送られたんです。

で、その時、非常に慎重に桜の接木苗、いうのが作られました。
台木が伊丹市、で育てられたもの、
そしてその上に接ぎ木されたのが東京荒川の五色桜、 
そして、その接ぎ木は静岡県の園芸試験場で行われました。

ていうのはこの送る数年前に、桜がやっぱり送られたんですが、
病気だらけで港でたちまち焼却処分にあったという経過があるんで、
このとき非常に慎重に進められた、ということです。

で、その中にはソメイヨシノも1800本含まれていた、と言われています。

「さくらの日」も「焼却処分の話」もぜんぜん知らなかった。

 

そしてこの話に繋がっていく。

こういうたくさんの桜を送る、ということはいいんですが、
向うに、受け入れに努力しれくれる人がいないと、これはとっても送れません

送った人は有名なんですが、尾崎市長、
受け入れに尽力してくれた人の名前は、ほとんど知られていません。

アメリカに桜を植えよう、という運動をして下さったのは、
高峰譲吉という化学者です。

この人はタカジアスターゼという消化薬の製造に成功して
三共胃腸薬の初代社長さん、なんです。

ほかの業績はアドレナリンというのを牛から抽出して、止血剤として用いられたので、
手術が非常にしやすくなった、と言われています。

この業績は世界で初めてのホルモン抽出であったとされています。

高校生物の教科書の裏なんかには、
「世界の生物学の発展に貢献した人」というリストがズラ~っと並んでいます。
日本人、たいへん少ないんですが、
この中にちゃんと「アドレナリンの抽出に成功・高峰譲吉」という
この方の名前は残されています。

 

言うまでもないことだが、贈り物は「送った人」と「受け取った人」の組で初めて成立する。
「送った人」にばかり光が当たることが多いが、特に大きな贈り物の場合、
最終的な成功は、むしろ「受け取った人」の努力と工夫に支えられていることが多い。

「送った」の話を聞いたら、「受け入れはどうなっていたのだろう」とちょっと考えてみるだけで、
世界はぐっと広くなる。

ちなみに、この高峰譲吉さんは、
最近 目にすることが多い「理研(理化学研究所)」の設立者のひとりでもある。

 

 

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