これからの長い人生において、もし立ち止まる時が来ても、
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これからの長い人生において、もし立ち止まる時が来ても、
- 指揮者・佐渡裕さんの言葉 -
オリコン1位の曲について書いている途中だが、
ひとつトピックスを割り込ませたい。
「オリコン1位 251曲目から」の話は次回に。
NHKのニュース番組「news Watch9」の大越キャスターが
同い年の指揮者・佐渡裕さんを取材、
その様子が3月24日、番組の一コーナで放送されていた。
全部見ても10分程度。
今(3月30日現在)なら、
番組のホームページで放送されたままの動画を再度観ることができる。
(放送された動画はここ)
リンク先の動画は、おそらく近いうちに消えてしまうと思うので、
観られるうちに、と今日はこのインタビューについて書いておきたい。
(大越さんのために演奏された曲目「リバーダンス」についても
書きたいことがいろいろあるのだが、
これは今日の本題ではないので、また別な機会に)
番組のホームページに
子どもたちに「伝えたいことがある」という佐渡さんですが、
伝えるだけではなく、ご自身が得ることもまた、多いようです。
とあるように、
「鏡のように自分の姿がはっきり映し出される」という佐渡さんの言葉を紹介しながら、
指揮者からオーケストラへの一方的な指導ではない、双方向の関係を意識した編集になっている。
ただ、この短いコーナで私の印象に一番強く残ったのは、次の言葉だった。
佐渡さん(言葉のまま)
僕はまぁ、ずっと
スーパーキッズというのは、
優秀な音楽家を育てる団体ではない、
そんなことは勝手になったらいいことであって。
そうではなくて、やっぱり
それぞれの人生の中で、
すごく、自分はあのころの自分でいつまでもありたいと、
子どものときに憧れたものを思い出す感覚に
自分のあの14歳の夏、15歳の夏、
みんなともう、もうほんとに無我夢中で作った
音を作ったあの夏を忘れたくない
そういうものであってほしいというのが、
僕のスーパーキッズ・オーケストラに対する思いのような気がするンですね。
この思いは短いメールとなって、メンバに届けられる。
(ナレーション)
昨日のコンサート、佐渡さんは直前にメンバ全員にメールを送っていました。
「これからの長い人生において、もし立ち止まる時が来ても、
『全力で音楽に立ち向かった自分がいたなぁ』と思い出してくれたら、
僕からのプレゼントは、その時本当にみんなに届くのだと思っている」
いい言葉だ。
もちろんそれは音楽に限らない。
学生時代でも、あるいは社会人になってからでも、
「全力で**に立ち向かった自分がいたなぁ」
と思えるものを持っていると、ほんとうに強くなれる。
目をつぶるといつでも鮮明に思い出せる実体験。
「全力で**に立ち向かった自分がいたなぁ」
数多く、の必要はない。たったひとつでも、
自分自身が「心からそう思える」というものを持っていれば、
それはまさに基盤となって、「もし立ち止まる時が来ても」
それを乗り越えてゆく知恵と勇気を与えてくれる。
「全力で**に立ち向かった自分がいたなぁ」
思い出として懐かしく振り返るためだけのものではない。
これから先も、長く静かに、そしてしなやかに人生を支え続けてくれる
誰にも奪われることのない貴重な財産なのだ。
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コメント
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はま様、有難うございます。早速、ご紹介の動画を見させて貰いました。「本当だよな」って同感致しました。一生懸命やっていた経験は将来の自分の財産となりますね。
私の病院には小・中・高校生の職場体験から、看護学校の実習や保健学部や医学部の学生さんが見学に訪れる事が多くあります。その時は出来るだけ時間をつくってお話をするようにしています。なぜ医療に興味があるのか、なぜこの世界に入ろうとしているのかを質問しながら、夢や理想それを成し遂げるために何が必要かを話をしています。 夢や理想を捨てないで持ち続けることが、壁にぶつかって折れそうになった時に支えてくれるのではないかと思い、私なりに理想を熱く語るようにしています。
子供達に夢を伝えることが、実は自分が夢を捨てないための原動力になっている気がします。輝いた目をした若い方々に感謝です。
投稿: omoromachi | 2014年3月30日 (日) 01時31分
omoromachiさん、
早速の丁寧なコメントをありがとうございます。
>壁にぶつかって折れそうになった時に支えてくれる
そういうものを持てることこそが、生きていく力になるンだよなぁ、と
佐渡さんの言葉を聞いて改めて思いました。
>子供達に夢を伝えることが、実は自分が夢を捨てないための原動力になっている気がします。
>輝いた目をした若い方々に感謝です。
ほんとうにその通りですね。
世代を越えたコミュニケーションのもつ相互作用と大きな循環。
それにしても、omoromachiさんと若い方々との繋がり、
なんてすばらしい日々なのでしょう。
投稿: はま | 2014年3月30日 (日) 12時21分
「全力で**に立ち向かった自分がいたなぁ」という感慨は、欠けがいのないものだと思います。はまさんがお書きになっているように、人生を過ごしていく上での原動力になりますね。
ちょっと後ろ向きかも知れないけれど、全力で立ち向かった友や同僚との良い思い出にもなります。
人生を終えるときが来て、そんな事々を思い巡らせることが出来たら、素晴らしいですね。
不肖私にも、そんな経験が幾つかはあります。いつか自らのブログの材になるかも知れません。
岡村孝子の曲『天晴な青空』に
一途に 走って走った
あの日の ひたむきさを
今でも忘れない
という詞がありますが、そんな人生であれと思います。
投稿: Ossan-taka | 2014年4月 3日 (木) 18時24分
Ossan-takaさん、コメントをありがとうございます。
「短期間でReturnの得られることを要領よくこなす」
そういった視野の狭い投資対効果のみによる評価が
あらゆる分野に蔓延してしまっていると思っています。
でもそこには、仮にうまくいったとしても、
表面的な一瞬の快感があるだけで、それ以外なにもない。
「全力で立ち向かう」という経験が運んでくれるものは
一時的なReturnなんていうつまらないものではなく、
もっともっと豊かに自分を支えてくれるものだ、と思っています。
>岡村孝子の曲『天晴な青空』に
『天晴な』という言葉は岡村孝子さんのイメージとちょっと合わないような気がしているのですが、
歌はほんとうにいい歌ですよね。
投稿: はま | 2014年4月 4日 (金) 00時20分