CD売上げ1/3でも著作権料総額は増加
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CD売上げ1/3でも著作権料総額は増加
- 音楽需要の変化はどこに -
明けましておめでとうございます。
備忘録を兼ねた
まさに気ままなブログではありますが、
今年もボチボチ続けていこうと
思っていますので
今後ともどうぞよろしくお願いします。
昨年末2021年12月18日の朝日新聞beに
「進化続けるルパンサウンド」
の見出しで、
アニメ「ルパン三世」の音楽を
作曲、編曲している大野雄二さんの
話が出ていた。
記事ではその件には触れられていないが
大野さんの名前を見て
あるトピックスを思い出したので
今年はその話から始めたい。
驚きのトピックスが載っていたのは
烏賀陽弘道 (著)
「Jポップ」は死んだ
扶桑社新書
(書名または表紙画像をクリックすると
別タブでAmazon該当ページに。
以下、水色部は本からの引用)
この本の中に、
日本音楽著作権協会(JASRAC)が
毎年度発表している
著作権使用料の分配金額ベスト3
の話が出てくる。
著作権使用料を稼ぎ出している曲
というわけだ。
実は大野さんが作曲した
「ルパン三世のテーマ'78」は
2015年のなんと3位に位置している。
77年に作曲された曲が
38年後の2015年に
著作権使用料で第3位とは!
もちろん曲は
アニメを見ないような人でも知っている
よく知られた名曲だが、
それにしても数ある曲の中で第3位とは。
ちなみに2015年の第1位はAKB48の
「恋するフォーチュンクッキー」だ。
著作権使用料、
どうも単なるヒットチャートだけでは
説明できないようだ。
というわけで、
まずは、前提となる音楽市場の動向から
見ていきたい。
CDを中心としたディスク市場は
ここ20年で大きく変化した。
(CDなど音楽を記録したディスク、
テープなどの総称)市場の縮小は
深刻である。
過去最高を記録した
1998年には6075億円あった。
それがほほ毎年減り続け、
2016年には3分の1を切る1777億円である
(日本レコード協会)。
20年足らずで
市場の3分の2が消えてしまった。
上記引用を含め、
本には数字がいくつも出てくるので、
本の数字を元に簡単な表とグラフを作成、
それらを挟みながら話を進めたい。
(元となる数字も用語も本からの引用)
<表1 オーディオレコード市場>
グラフにすると
1/3以下になってしまった
CD関連の減り具合はたしかに凄まじいが、
ネット配信等は増えているので
当然ながらこの数字の変化が、
直接音楽産業の衰退を
意味しているわけではない。
日本音楽著作権協会(JASRAC)の
統計である。
同協会はテレビやCM、コンサート、
カラオケ、細かいところでは、
カフェや美容室のBGMで音楽を流せば、
その著作権使用料を徴収する。
そしてそのお金を著作権保持者
(作詞・作曲家だけではなく企業が
著作権を持っていることもある)
に支払う。
そのための組織である。
その執行が厳格なことで知られる。
その「著作権使用料徴収額」の総額を
同じ1998年と2016年の比較で見てみよう。
<表2 著作権使用料徴収額>
グラフを見るとわかる通り
オーディオレコード市場に連動して
オーディオレコードの著作権使用料も
ほぼ1/3に減っている。
ところが、総額はむしろ増えているのだ。
何が増えているのだろう?
1998年当時はなかった
インタラクティブ配信、
つまりインターネット配信による
著作権使用料の約100億円は
もちろん今後も伸びるであろうが、
全体の伸びはこれだけでは説明できない。
1998年-2016年の期間に
2~3倍の伸びを示している項目を
書き出してみた。
テレビ、ラジオなど「放送等」やCATV、
「有線放送」あるいは「映画上映」などは
2.5~2.9倍の増加を示しているが、
これは需要が伸びたからというより
「料率を値上げしたから」というのが
同協会の説明である。
需要の伸び、で気になるのは
表2にある
「通信カラオケ」と「ビデオグラム」
である。
カラオケって増えているの?
ビデオグラムって何?
どちらについても
私の全く知らない事実が背景にあった。
到達できなかった大野さんの
「ルパン三世のテーマ'78」の話も含めて
次回、そのあたりについて紹介したい。
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