芸能・アイドル

2022年1月 2日 (日)

CD売上げ1/3でも著作権料総額は増加

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CD売上げ1/3でも著作権料総額は増加

- 音楽需要の変化はどこに -

 

明けましておめでとうございます。

備忘録を兼ねた
まさに気ままなブログではありますが、
今年もボチボチ続けていこうと
思っていますので
今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

昨年末2021年12月18日の朝日新聞beに
「進化続けるルパンサウンド」
の見出しで、
アニメ「ルパン三世」の音楽を
作曲、編曲している大野雄二さんの
話が出ていた。

記事ではその件には触れられていないが
大野さんの名前を見て
あるトピックスを思い出したので
今年はその話から始めたい。

驚きのトピックスが載っていたのは

 烏賀陽弘道 (著)
 「Jポップ」は死んだ
 扶桑社新書

(以下水色部、本からの引用)

この本の中に、
日本音楽著作権協会(JASRAC)が
毎年度発表している
著作権使用料の分配金額ベスト3
の話が出てくる。

著作権使用料を稼ぎ出している曲
というわけだ。

実は大野さんが作曲した
「ルパン三世のテーマ'78」は
2015年のなんと3位に位置している

77年に作曲された曲が
38年後の2015年に
著作権使用料で第3位とは!

もちろん曲は
アニメを見ないような人でも知っている
よく知られた名曲だが、
それにしても数ある曲の中で第3位とは。
ちなみに2015年の第1位はAKB48の
「恋するフォーチュンクッキー」だ。

著作権使用料、
どうも単なるヒットチャートだけでは
説明できないようだ。

というわけで、
まずは、前提となる音楽市場の動向から
見ていきたい。

 

CDを中心としたディスク市場は
ここ20年で大きく変化した。

日本のオーディオレコード
(CDなど音楽を記録したディスク、
 テープなどの総称)市場の縮小は
深刻である。

過去最高を記録した
1998年には6075億円あった。

それがほほ毎年減り続け、
2016年には3分の1を切る1777億円である
(日本レコード協会)。

20年足らずで
市場の3分の2が消えてしまった

上記引用を含め、
本には数字がいくつも出てくるので、
本の数字を元に簡単な表とグラフを作成、
それらを挟みながら話を進めたい。
(元となる数字も用語も本からの引用)

  <表1 オーディオレコード市場>

Jpop1a

グラフにすると

Jpop1ga

1/3以下になってしまった
CD関連の減り具合はたしかに凄まじいが、
ネット配信等は増えているので
当然ながらこの数字の変化が、
直接音楽産業の衰退を
意味しているわけではない。

こういうとき、私が調べるのは
日本音楽著作権協会(JASRAC)の
統計
である。

同協会はテレビやCM、コンサート、
カラオケ、細かいところでは、
カフェや美容室のBGMで音楽を流せば、
その著作権使用料を徴収する。

そしてそのお金を著作権保持者
(作詞・作曲家だけではなく企業が
 著作権を持っていることもある)
に支払う。

そのための組織である。
その執行が厳格なことで知られる。

その「著作権使用料徴収額」の総額を
同じ1998年と2016年の比較で見てみよう。

  <表2 著作権使用料徴収額>

Jpop2a
Jpop2ga

グラフを見るとわかる通り
オーディオレコード市場に連動して
オーディオレコードの著作権使用料も
ほぼ1/3に減っている。

ところが、総額はむしろ増えているのだ。

何が増えているのだろう?

1998年当時はなかった
インタラクティブ配信、
つまりインターネット配信による
著作権使用料の約100億円は
もちろん今後も伸びるであろうが、
全体の伸びはこれだけでは説明できない。

JASRACの統計から、
1998年-2016年の期間に
2~3倍の伸びを示している項目を
書き出してみた。

テレビ、ラジオなど「放送等」やCATV、
「有線放送」あるいは「映画上映」などは
2.5~2.9倍の増加を示しているが、
これは需要が伸びたからというより
「料率を値上げしたから」というのが
同協会の説明である。

需要の伸び、で気になるのは
表2にある
「通信カラオケ」と「ビデオグラム」
である。

カラオケって増えているの?
ビデオグラムって何?

どちらについても
私の全く知らない事実が背景にあった。

到達できなかった大野さんの
「ルパン三世のテーマ'78」の話も含めて
次回、そのあたりについて紹介したい。

 

 

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2019年2月17日 (日)

2050年の紅白歌合戦

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2050年の紅白歌合戦

- 初出場とトリ -

 

前回
季節外れの紅白歌合戦ネタを書いたが、
書きながら思い出したことがあるので、
もうひとつ紅白ネタで続けたい。
(歌手名は敬称略で失礼します)

更に振り返って、
去年ではなく、2015年末のこと。

その年、
2015年 第66回NHK紅白歌合戦
のプログラムは、

レベッカが初出場で「フレンズ」を歌い、
紅組のトリが
松田聖子「赤いスイートピー」
白組のトリが
近藤真彦「ギンギラギンにさりげなく」

というものだった。

3曲とも確かに大ヒットした曲だが、
流行っていた時代をリアルで知っている
昭和のオヤジとしては、
別な意味でかなりびっくりした。

発表年を2015年から見ても
「フレンズ」      1985年=30年前
「赤いスイートピー」  1982年=33年前
「ギンギラギンに・・・」1981年=34年前
ということになる。
初出場のレベッカは1984年(31年前)の
デビューだ。

1985年の年末に
30年後、つまり2015年の紅白はねぇ
 レベッカがようやく初出場となり、
 聖子ちゃんとマッチが
 それぞれトリをとるンだよ。
 しかも歌は、
 『赤いスイートピー』と
 『ギンギラギンにさりげなく』。

 レベッカのNOKKOは52歳、
 聖子ちゃんは53歳、
 マッチは51歳だけどね。」

なる予言をしても、
おそらく誰一人信じてくれなかったであろう。

当時、53歳で歌う松田聖子なんて
想像すらできなかったし。

なのに事実は想像の世界を超えてくる。

 

というわけで(?)
その不思議さを実感するため、
(2050年まで紅白が続いているとは
 思えないし、正確には31年後だが)
ここで大胆に予言してしまおう。

30年後、2050年の紅白はねぇ、
 家入レオがようやく初出場となり、
 AKB48とEXILE(エグザイル)が
 それぞれトリをとるンだよ。

 家入レオは56歳。
 ABK48には、
 59歳の前田敦子と62歳の大島優子も
 合流して、
 EXILEでは
 70歳のATSUSHIと66歳のTAKAHIRO
 がボーカルをとるらしいよ」

笑うがいい。
1985年の人も同じように笑ったはずだ。

 

 

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2019年2月10日 (日)

勝手にシンドバッド

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勝手にシンドバッド

- 『今何時?』の意味 -

 

もう2月も半ばになってしまったけれど、
今日は紅白歌合戦について少し書きたい。
(歌手名は敬称略で失礼します)

昨年の大晦日は
いろいろな条件が重なったこともあって、
ウン十年ぶりに
NHK紅白歌合戦を最初から最後まで観た。

世代や性別ごちゃまぜで
複数の人がテレビの前に集まって
あれやこれや
好き勝手なことを言いながら観る、
というのが、やはりあの番組の
一番の楽しみ方なんだなぁ、を
改めて再認識した夜だった。

最後、
「勝手にシンドバッド」で
桑田佳祐やユーミンが
北島三郎までを巻き込んで
大暴れしたのは、
昭和世代の私にとっては
おおいにお祭り気分に浸れた瞬間だったが、
考えてみると(好き嫌いはともかく)

 浜崎あゆみ  も
 安室奈美恵  も
 倖田來未   も
 Kinkikids   も
 SMAP      も
 モーニング娘。も

そこにはいなかった。

椎名林檎も米津玄師もよかったが、
平成最後の大晦日に
盛り上がって目立っていたのは
昭和の歌手ばかりだったのは、
なんとも感慨深い。

さて、
「勝手にシンドバッド」で
まさに勝手に思い出したものが
いくつかあるので、
今日はそれを紹介したい。

 

(AA) ドラマ
  「歌謡曲の王様伝説  阿久悠を殺す」

一色伸幸さん脚本の
「歌謡曲の王様伝説  阿久悠を殺す」
という刺激的なタイトルのドラマのことは
ここに少し書いた。
ドラマの中にこんなセリフがある。

青年:
  『勝手にしやがれ』と
  『渚のシンドバッド』、
  阿久悠の代表作だ。

  ふたつまとめて蹴飛ばしてる。
  『勝手にシンドバッド』!

 

なぜか忘れられないセリフのひとつだ。
リンク先にある通り
オリコンチャートの1位獲得曲
108曲目と109曲目には
沢田研二の『勝手にしやがれ』
ピンク・レディーの『渚のシンドバッド』
並んでいる。

 

 

 

(BB) 嘉門達夫「勝手にシンドバッド」
替え唄の名作が多い嘉門達夫にあって、
その中でもピカイチだと思っているのだが、
残念ながらこの曲の知名度は低いようだ。

カラオケにも
「替え唄メドレー」などは必ずあるのに、
この曲はないことが多い。

♪今何時? そうねだいたいね

♪今何時? 僧はボンサンね
と歌っているのを聞いて
思わず引き込まれてしまった。

♪胸さわぎの腰つき

♪このお鍋はフタつき

♪部屋探しの風呂つき
と歌うセンス。

1990年、シングルとして発表されたあと

アルバム
(1) リゾート計画
(2) THE BEST OF KAMON TATSUO

 

(3) ゴールデン☆ベスト
  ~BEST OF 替え唄&ヒットソングス
   1989-1996 ~
(4) 嘉門達夫BOX 
  怒濤のビクター・シングルス

にも収録されている。

ちょっとだけ聞いてみよう。

♪胸さわぎの腰つき
♪バカ騒ぎのモチつき
♪部屋探しのフロつき

 

(CC) 『今何時?』の意味
ツイッターのTL(タイムライン)には、
この曲を「初めて聞いた」という若い方の
「なんで何度も『今何時?』って聞くの?」
「時計がないってこと?」
なる疑問が流れていた。

それに対して、実にスマートに
解説しているつぶやきがあった。

リツイートの繰り返しゆえ
出処がわからないのだが、
内容に敬意を表して
ここに記載させていただきたい。

「今何時?」は
デート中に女性が男性に
問いかける言葉で、

 [1] 門限なので帰る。
 [2] 退屈ですよ。
 [3] 何で誘わないの?

の3つの意味があります。

男性側は、
 ♪だいたいね
 ♪ちょっと待ってて
 ♪まだ早い
などと返事をしながら
どの意味なのか探っている、
というわけか。

うまいことを言うものだ。

 

40年経っても古さを感じさせない名曲は
喚起させるものも多い。

 

 

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2016年12月11日 (日)

読書の3R

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読書の3R

- きよはる、あきみ、きんのすけ -

 

本屋の立ち読みでの記憶なので、
雑誌名もコメントした方の名前も
思い出せないのだが、
雑誌の「読書」特集の記事の中で、

「読む本はどうやって選ぶのですか?」

の質問に、

「読書は3Rです」


と答えていた方がいた。

3Rとは、
 Recommend (推薦)
 Respect (敬意)
 Risk (リスク)


自分にとって信頼できる、ウマが合う、
そういう方の「推薦」図書を素直に聞く。

どんな本であれ、著者には
本を書きたいほどの衝動、熱意があったはず。
その思いに対しては常に「敬意」を払って読む。

どんなに人がおもしろい、すばらしい、と言っても
自分にとっては全く響かない本もある。
ハズレはあってあたりまえ。
「当たり」とは限らない「リスク」を
いちいち気にしない。

うまいことを言うなぁ、と感心したので、
3Rだけは今でも忘れずにいる。

なぜ、こんなことを急に書いているのか。

ここここ
井上陽水さん自身の言葉を続けて書いたが、
陽水さんで、もうひとつ思い出したのが、
この本だったからだ。

小林聡美著「読まされ図書室」
宝島社文庫


すごい題名。「読まされ」って。

著名人の推薦図書を小林さんに無理やり読ませ、
感想を聞いちゃおう、
というちょっと変わった本。
3RのRecommendだけで突っ走っている。

まぁ、でも、確かに小林さんなら何を読んでも、
ちょっとおもしろい感想を言ってくれそうではある。
不得意な分野であってもRespectを忘れていないし。

で、この本に、推薦者として井上陽水さんが登場する。
陽水さんは
松本清張の短編時代小説「白梅の香」を推薦。

さて、小林さんはどう読むか?

不得意領域への警戒感いっぱいに感想は始まる。
(以下水色部本からの引用)

井上陽水さんが懸念するように、
私のこれまでの人生において、
松本清張はあまりにもなじみのない世界だ。

そもそも、
ごくごく一般的なイメージの松本清張の世界は、
私が一番苦手とする領域である。
推理小説。サスペンス。

ただでさえ心配事や不安の多い日常の生活の中で、
なぜにわざわざまた違った不安や緊張感を
味わいたいのか、まずその心理が理解できない

なるべく頭を悩まさずに、ぼーっと、
ひたすらぼーっと暮らしたい私には、
そういう趣味はまったく理解できないのである。

「なぜにわざわざまた・・」
なんとも小林さんらしいコメントだ。

『白梅の香』は推理小説やサスペンスではなく
時代小説なのだが、そちらも苦手だったようだ。

それでも、ある方法により楽しんでしまうあたり、
さすが小林さん。

 と、いままで休止状態だった脳の部分を
フル活動させて、初めて読んだ松本清張
偉そうなことは何ひとつ言えないが、
時代小説を楽しめたのは大いなる進歩である。

どんな方法をとったのかは本に譲るが、
最後、こんな小ネタが披露される。

 北九州が誇る松本清張と井上陽水
二人に共通することは、
作品におけるそのクールなテンションと
本名が訓読み(きよはる・あきみ)であることも
興味深い発見
であった。

松本清張の本も、
井上陽水の音楽も、どちらも好きで
かなり読んだり聴いたりして来たが、
本名のことはどちらも知らなかった。

ただ、「きよはる」「あきみ」では、
あの小説も、あの音楽も、
書けなかったような気がしてしまうのは
なぜなのだろう?

そういえば、夏目漱石の本名
夏目金之助(きんのすけ)を知った時も
同じような感覚に襲われた。

「せいちょう」「ようすい」「そうせき」
これらの音は、それくらい強く、
彼らの作品のテイストの一部になっている気がする。

 

 

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2016年12月 4日 (日)

ただあなたにGood-Bye

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ただあなたにGood-Bye

- ラジオは言葉を探す間(ま)も -

 

前回に引き続き、

2016年11月23日放送の
井上陽水の歌の世界を読み解く特別番組

『ミュージック ドキュメント 
 井上陽水×ロバート キャンベル
 「言の葉の海に漕ぎ出して」』


というTOKYO FMのラジオ番組から
陽水さんの言葉を紹介したい。

 

まずは、テレビのニュース番組の
エンディングでも使われていた
「最後のニュース」を。

最後の、
 ♪ただあなたにGood-Bye
の歌詞を意識してお聞きあれ。

最後のニュース
   作詞・作曲 井上陽水


闇に沈む月の裏の顔をあばき
青い砂や石をどこへ運び去ったの
忘れられぬ人が銃で撃たれ倒れ
みんな泣いたあとで誰を忘れ去ったの

飛行船が赤く空に燃え上がって
のどかだった空はあれが最後だったの
地球上に人があふれだして
海の先の先へこぼれ落ちてしまうの

今 あなたにGood-Night
ただあなたにGood-Bye

ある映画の最後にこの曲が使われ、
その部分の英語字幕を頼まれたキャンベルさん。
一度訳して、陽水さんに送るのだが、
最後の♪ただあなたにGood-Bye
の部分で、ダメ出しを食らってしまう。


キャンベル:
 ぼくはね、無意識にですね
 ただあなたにgood-bye
 というのは、
 あなたに向けてgood-bye
 というふうに思って、
 just for you good-bye
 just for you だと。

陽水:
 あなた、そうか
 あなただけに。

キャンベル:
 あなたに向けて。

陽水:
 じゃないんじゃない
 ていうこと言ったのかな。

キャンベル:
 うん、そういうふうに言われて
 ハッとしたんですね。
 ぜんぜんそのことに気がつかなかった。

陽水:
 ただ、あなたに、
 ちょっと違うかもね。

さて、陽水さん、
「just for you」が、
どう違うと言いたかったのだろう?

キャンベルさんが
「どんなふうに?」と再度問う。

ラジオは、
言葉を探す、迷う間(ま)も伝わる
からいい。

キャンベル:
 えっと、どんなふうに?

陽水:
 うーん、
 たくさんいるけれど、
 ただあなたに、ではなくて、
 なんかいろいろかける言葉も
 いろいろあるかもしれないけど、
 まぁ、good-bye 
 ただこの言葉ぐらいかな

 みたいなニュアンスですかね。

キャンベル:
 そうか、そうか。

多くの人の中の「あなた」ではなく、
多くの言葉の中の「good-bye」。


キャンベル:
 just for you good-bye
 ではなくて
 ぼくはそれを書き換えて
 また送り返したのですけれども
 simply to you good-bye
 というふうにさせてもらったんですね。

 たぶんそれはそのまま映画のエンドロールの
 字幕になってたと思うんですけれど

 simplyですね。

 いろんな人がいる中でひとりじゃなくて
 いろんなことが、ここでほんとは言えるし、
 言わないといけないかもしれないンだけど、
 でも、いまそっとgood-bye
 そっちだな、という。

陽水:
 まぁ、いろいろ言葉もあるけれど

キャンベル:
 すごく、
 今日のニュースにもいろいろなことがあり、
 この歌の中に歌われている
 いろんな環境の問題であったり、
 暴力、戦争、いろんなことがあるけれど、
 あなたにGood-ByeというGood-Night

いろいろ言葉もあるけれど、
ただgood-bye。

どこをどう切っても、
陽水さんらしさが溢れている。

 

 

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2016年11月27日 (日)

44年目の「傘がない」

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44年目の「傘がない」

- 君に逢いたい切なさではなく -

 

2016年11月23日、
井上陽水の歌の世界を読み解く特別番組

『ミュージック ドキュメント 
 井上陽水×ロバート キャンベル
 「言の葉の海に漕ぎ出して」』


というラジオ番組をTOKYO FMで聴いた。

 

名曲「少年時代」の冒頭の歌詞

少年時代 
     作詞 井上陽水

夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれにさまよう
青空に残された私の心は夏模様
・・・

陽水さんは

「『風あざみ』ってあるのかなぁ、と思ったけれど、
 『オニアザミ』があるから
 『風あざみ』くらいあるだろう、と。

 まぁ、でも、もし なくたっていいや

そんな自覚まではあって、
この詩を作ったことを告白。

ところが、キャンベルさんがこの詩で指摘したのは

あざみは
 秋の季語ではなく、春の季語

の部分だったとか。

そんな二人のやりとりで番組は始まった。

 

療養期間がきっかけで、キャンベルさんは、
昔から聞いていた陽水さんの詩の英訳にトライ。
その際、気になった部分を
ご本人に確認してみようという、
訳者からすると贅沢な番組だ。

とは言え、
陽水さんの曲をご存知の方はよくわかると思うが、
彼の詩は、日本語でも意味不明な部分が多い。
簡単に英語にできるとは思えない。

しかも、英語にしようとすると、
主語や人称や時制がずいぶん気になるようだ。

質問するほうも、答えるほうも
「無粋(ぶすい)」という言葉を繰り返していたし、
明言を避けていたのはさすがだと思うが、
不明な部分は不明のまま、
たとえ間違っていても勝手に味わえばいい気がする。

 

そんな中、言葉の問題ではなく、
歌う際の感情移入に関して、陽水さんが
ちょっと興味深いことを言っていたので、
その部分だけ紹介したい。

まずは、1972年、今から44年前のヒット曲
「傘がない」をちょっと聴いてみよう。

傘がない 
     作詞・作曲 井上陽水


都会では自殺する若者が増えている
今朝来た新聞の片隅に書いていた
だけども問題は今日の雨 傘がない

行かなくちゃ君に逢いにいかなくちゃ
君の町に行かなくちゃ雨にぬれ
・・・

(声が若い! はともかく)
このあと曲の中では、
「行かなくちゃ君に逢いにいかなくちゃ」が
何度も何度も繰り返される。

さて、ご本人、この曲を
どんな思いで歌っているのだろう。

「逢いたい」ことへの強烈な思い。そして
それがすぐには実現できないことのもどかしさ?

ちょっと違うようだ。

 

いちばんね、歌ってて
自分で感情移入しやすい感じっていうのは、
その「傘がない」で言えば、
君に逢いたいンだ、逢いたいンだ、っていう
切なさよりも、
もうちょっとこう、そういう具体的な
「恋い焦がれて」
とかいうようなことではなくて

もうちょっと、
「いやぁ、人間として生まれるとこうなの?」
っていう大きな感じのほうが
感情移入しやすいンですよね。

うーーん、さすが陽水さん。
そんな思いを「傘がない」で表現していたなんて。
でも、言われてみるとわかる気もする。

「何を言いたいのかはわからないけれど、
 伝えたいことは伝わってくる」

古くから繰り返し聞いている曲と共に
そんな不思議な感じに包まれた瞬間だった。

 

 

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2016年2月14日 (日)

NODA・MAP 第20回公演「逆鱗」

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NODA・MAP 第20回公演「逆鱗」

- 作品の予習ってなんだ -

 

NODA・MAP 第20回公演「逆鱗」
を観てきた。

Gekirin1

主演松たか子さんは、
09年の「パイパー」以来7年ぶり。

瑛太さん、井上真央さんは
13年の「MIWA」以来3年ぶり。

そして、そして
04年の「透明人間の蒸気」で
宮沢りえさんとともに
圧倒的な存在感を放っていた阿部サダヲさんが、
12年ぶりにNODA・MAPに帰ってきた。

Gekirin2

それに、池田成志さん、
満島真之介さん、銀粉蝶さん、らも加わり、
まさに贅沢なキャスティング。

3年ぶりの新作に
期待が高まらないわけはない。

 

物語は、
NINGYO役の松たか子さんの
こんな美しいセリフから始まる。

NINGYO:
・・・
  それがたぶん、あなた方にとって
  「泣く」ということだ。

  鳥も鳴く。
  虫も鳴く。
  でも魚は泣けない。

  泣くためには空気がいる。

  あなたたちが
  生きるために空気が必要なように、
  泣こうと思った人魚は気がついた。

  海面に顔を出して
  初めて泣き声を出すことができる。

  けれども海の底から、
  海の面(おもて)までは、
  塩で柱ができるくらい遠かった。

  だからやっと海面(うみづら)に出て、
  泣き声を出せたその時は、
  嬉しさのあまり、
  人魚の泣き声は甘く清(さや)かな
  歌声に変わった。

・・・

  なんで私は歌っていたの?
  なんで私は泣こうとしたの?

この最初のモノローグに、
物語のすべてが詰まっている。

主な舞台は、水族館と海底。
人魚ショー実現にむけた
やり取りから始まった話は、
後半、
思いもしなかった方向に展開していく。

とはいえ、前半は例によって
言葉遊びも健在で、
チクリとした皮肉とともに、
笑えるシーンも多い。

サキモリ:
  はい。

  「人魚ショー」でも
  「イルカショー」でもない、
  それでいて人魚は実在するのか、
  その根源を問う
  「人魚はいるか?ショー」というのは。

イルカ君:
  なんですかそれ。

サキモリ:
  だからイルカ君、
  いきなりイルカショーをなくすわけじゃない。

  むしろ、あれ?
  人魚はいるか?ショーって、
  人魚はいるの?
  それとも本当はイルカショーなの?
  どっちなのって、

  もやもやっとしているうちに
  人魚ショーに変わっていく。

  きわめて日本的でしょう?

で、このあと話は・・・
と書こうとしていたところ、

2016年2月11日
TBS系「NEWS23」で、
作者の野田秀樹さんが
膳場貴子さんのインタビューに応じている、
という情報が入ってきたので
ちょっと見てみた。

ついていたタイトルは
「説明過多」な時代に…

下記HTML5のaudioタグによるMP3 Player
(ブラウザによって表示形式は違うようです)

野田秀樹:
  説明してもらわないとつらい、とか
  いうことになってきて、

  まぁ、特に今度の芝居なんかも、
  わざと内容を伏せていたンですね。

  観に来た人が何の話が始まるのか、
  全くわからない。

  その衝撃って、やっぱりぜんぜん違って。

  やはり、作るっていうのは、
  それを観た人との
  瞬間の出会いのはずなんで。

  よく、お客さんの中で、
  今回、予習をしないで来てしまいました、
  みたいな言葉を言う人がいるのね。

  予習ってなんだよ。

  作品の予習ってなんだ

  今、これから見せるのに、
  とか思うんですよね。

膳場貴子:
  あ、でも言っちゃうかもしれない。

野田秀樹:
  多いですよね。

膳場貴子:
  もう、そういう姿勢に
  なっているかもしれないですね。

野田秀樹:
  ものを先にガードしておかないと
  怖いみたいな。

なるほど。

もともと野田さんは、
ここでも紹介した通り、

観た時には完璧に理解されず、
 『あれはなんだったんだろう』
 ということがあっても、
 それをため込んで
 持っていてくれればいい


と言っているくらいで、
自分の作品をわかりやすく解説する
なんてことはしないけれど、
今回、
事前情報が少なかったのも、
まさに、意図的だったということか。

というわけで、作者の意図を尊重し、
まだ公演中ということもあり、
これ以上、
物語の内容について書くことは
控えておこうと思う。

興味のある方は、ぜひ劇場で体験下さい。
劇場のみでのトリップ感、お薦めです。
まさに、一席の空きもない、
超満員状態でしたが、
全公演、当日券があるのも
NODA・MAPのありがたいところですので。

 

最後に、当日券、
または何らかの方法で、
これからチケットを
ゲットしようとしている方に
ひとつだけアドバイスを。

メインキャストだけでなく、
アンサンブルがすばらしいのも
NODA・MAPの魅力のひとつですが、
今回も期待を裏切りません。

ただ、演出の関係もあって、
できるだけセンタ、
つまり正面で観たほうが、
その効果がわかりやすいかも。

舞台から遠くても、
中心に近い方を優先、
をお薦めします。

 

 

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2016年1月 3日 (日)

噺家の顔が消える

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噺家の顔が消える

- 消えたあとに見えてきたもの -

 

関東地方は天気にも恵まれ、
おだやかな正月三が日になった。

「はまのおと」
本年もよろしくお願いします。

 

年末の夜は、大晦日と言えば、の定番「芝浜」を
志ん朝のCDで聴き直したりしていたが、
初笑にももちろん落語は欠かせない。

たったひとりの噺家による落語の世界。
志ん朝の名人芸に浸っていたら、
ふと、ある言葉を思い出した。

スクラップブックをめくって
正確に確認しておきたい。

「真打ち昇進を一度拒否した真打ち 
 柳家禽太夫(やなぎや きんだゆう)」

 以下水色部分は、
 2001年11月11日朝日新聞の記事から。

A011111s

二つ目時代、
お客さんを笑わせるぞ、と
奮闘していた禽太夫さん。

「二つ目時代の高座は汗だくでした。
 笑わしてやるぞと肩に力が入るばかりで、
 奇声を発したり、大げさな表情をしたり。
 お客さんは気を使って笑ってくれるんです。

 一生懸命、笑いを押しつけていました」

2008年
禽太夫さんは、真打ち昇進を
「下手だから」と自ら断っている。

「オレの力でおもしろくできるんだ」
のオレ流に悩みだしたころ、
師匠の柳家小三治さんはこんな言葉を
禽太夫さんにかける。

「お前が押しかけるんじゃなくて、
 お客さんに自分が話す世界を
 のぞき込んでもらうんだ

さすが師匠!
まさにそれこそが落語の、
いや、舞台芸術すべてに通じる
ほんとうの魅力だ。

記事は、その世界を
こんな言葉で表現している。

しゃべっている噺家の顔が高座から消える。

客の頭の中で八つぁん、熊さん、
ご隠居たちが自由に動き回り、
彼らの表情や、
周囲の状況が目に浮かぶ。

落語の世界はおもしろい。

最初はのぞき込んでいたはずなのに、
気がつくと、中に入り、
その先の広い世界に自分が遊んでいる。

登場人物には表情があり、
場合によっては
匂いや日差しや風まで感じられる。

描かれてもいないのに、振り返れば
その方向の景色さえ見える気がする。

最新の3DやARなんて
それに比べればずいぶん表面的なものだ。

うまい落語は噺家の顔が消える!

消えたあとに見えてきたものの魅力は
見たことのある人だけの、
ある意味「宝」だ。

芸には、それを与えうる力がある。

今年はどんな「宝」に出逢えることだろう。

 

 

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2014年6月21日 (土)

マドンナの追悼スピーチ

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マドンナの追悼スピーチ

- スーパースターにしかわからない孤独 -

 

ル・マンもツール・ド・フランスも集団的自衛権も、
サッカーの記事のためにスペースを譲っている一ヶ月ではあるが、
今日は、6月と聞くと思い出す、亡くなってからまもなく5年になる
マイケル・ジャクソンについての話をひとつ紹介したい。

彼の急逝は2009年6月25日のこと。
7月からは、50回にも渡る「THIS IS IT」公演が
ロンドンで予定されていて、まさにその直前でのことだった。

歌だけでなく、圧倒的なダンスパフォーマンスで
数々の映像作品を残しているマイケル・ジャクソンだが、やはり
初めて「スリラー」のミュージック・ビデオを観た時の衝撃は
忘れられない。もう30年以上も前の話だ。

YouTubeでもすでに1億8千万回以上も再生されている。
(「なつかしいので、もう一度観たい」という方は、下の写真
 またはここをクリックするとYouTubeに移って再生されます)

Thriller

 

キレのある踊りで観客を魅了する一方、
ブカレスト公演のオープニングのように、
ただ、じっと立っているだけで観客を絶叫させ、熱狂させる
絶頂期のあのオーラは、
まさにスーパースターと呼ぶにふさわしいものだったと思う。

(よく語られるブカレスト公演、登場直後の
 約2分間の完全静止の動画はコレ
 下の写真をクリックしてもYouTubeに移って再生されます)

Bucharest

(話が横道にそれてしまうが、
 私はコレを見ると、落語家の古今亭志ん生が
 「うーー」とか「えーー」とかしか言っていないのに、
 もうそれだけで、観客が笑い転げている
 あの様子がどうしても浮かんでしまう。)

 

さて、そのマイケル・ジャクソン。

亡くなったあと多くの方がいろいろなコメントを寄せていた。
プライベートなエピソードを赤裸々に語った
ブルック・シールズのスピーチのように
彼の才能への単なる賛辞だけではない印象深い話はいくつかあるが、
個人的に、圧倒的に強く印象に残っているのはなんと言っても
「マドンナの追悼スピーチ」だ。

スーパースターにしかわからない孤独、
スーパースターへの敬意、
スーパースターの力を、
スーパースター自身が、
だれにでも共感できる言葉で語っている。
皆に静かに省みる態度を促しながら、決して説教臭くはない。
ほんとうにすばらしいスピーチだと思う。

約6分間、日本語字幕もついているので、
間やイントネーションが持つ「声」の力を感じながら、
ゆっくりお聞き下さい。

(下の写真またはここをクリックすると
 MTVサイトに移って再生されます)

Photo

 

この動画を友人に紹介したところ、こんな感想を返してくれた。

一般のファンなら、賞賛するほうに心が行き、
身内なら、そのつらい人生に思いをはせるのでしょうが、
突然の死という大事件のさなかに、
スーパースターとしてのマイケルと、
一人の人間としてのマイケルを合わせて見ることができた人は、
世界中さがしても、何人もいなかったでしょう。

私達がその目を持てたのは、マドンナのおかげ。

でも、そのことでマドンナに感謝した次の瞬間には、
マドンナ自身の孤独が胸に迫り、
それが、また、マイケルの大きさを照らしだす、
・・そんな印象です。

 

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2014年5月31日 (土)

替えればすべてうまくいく?

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替えればすべてうまくいく?

- 原因はどこ? -

 

森繁久彌さんが、
三浦友和さん・山口百恵さんの結婚式でした素敵なスピーチについて、
前回書いた。

 

結婚式のスピーチと言えば、もうひとつ思い出すものがある。
落語家・立川志の輔さんが、自分が出た披露宴でこんなスピーチがあった、と
落語のマクラで紹介していたものだ。

「スカートとスピーチは短いほどいい」なんて言葉をよく耳にするが、
このスピーチはほんとに短い。

志の輔さんの再現で、わずか1分10秒!
創作落語の傑作「はんどたおる」の頭の部分。CDにもなっている。

 

新郎新婦、おめでとう。
ご両家のご両親様、まことに本日はおめでとうございます。

私、今、司会者の方にご紹介いただきました
新郎が勤務しております会社の社長をやっております。

私、新郎新婦に申し上げたいことは多々あるのでございますが、

あのぉ、
私事で恐縮でございますが、三ヶ月前に再婚をいたしまして、
まぁ、会社に行きますと、この歳をして
「新婚」「新婚」と冷やかされている毎日なのでございます。


まぁ、私、今、正直に思っていることを申し上げますと、その
「替えてみてもあまり変わりはなかった」と。


まぁ、新郎新婦もこれから山あり谷あり
いろいろなつらいことがあるとは思われますが
そのときには私の言葉を思い出していただきまして、
「替えてみても大差はないぞ」と言うことでございます。

簡単ではございますが...

 

結婚相手は替えたことがないのでわからないが、
これ、結婚相手だけの話ではないかも、とよく思う。

「コレさえ替えれば」と決めつけることで、
問題の原因がわかったような気になっている、ということはないだろうか。

   「コレのせいでちっともうまくいかない」

   「コレのせいなのだから、コレをアレに替えてみよう。
    そうすればガラリと変わってうまくいくはずだ」

もし、そう思うことがあるなら、
その時は替えてみる前にこの話を思い出してみよう。

 

替えてみればほんとに変わるの?

 

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