映画・テレビ

2017年11月 6日 (月)

オーストリア旅行記 (11) サウンド・オブ・ミュージック(その7)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (11) サウンド・オブ・ミュージック(その7)

- どこからどこへの山越え? -

 

オーストリアのザルツブルクを、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」を
キーに巡っていく報告も
今回で一旦、ひと区切りとしたい。

内容のほうは、これまで同様、
『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密
瀬川裕司 (著)
平凡社新書
(以降水色部は本からの引用)

と 映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
進めていきたいと思う。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【馬の水飲み場】
祝祭劇場のすぐ隣(となり)にあるのが、
この「馬の水飲み場」。

場所といい、その装飾といい、
ちょっと唐突な感じがするが、
前回書いた通り、
お隣、祝祭劇場は、
元は大司教の厩舎だった。
ここは、そこで飼われていた
「馬のための水飲み場」として
作られたものらしい。
馬は一時、130頭もいたという。

P7117919s

現在の姿になったのは1732年。
中央に馬の調教場面の像が立ち、
壁には馬の美しいフレスコ画が並んでいる。

P7117916s

ただ、実際に行ってみると、
画よりも、そのすぐ後ろに迫った
ざっくり削られた岩山に驚く。

しかも横にはトンネルまで。

P7117920s

トンネルの通りを挟んで、
すぐ左側はもう祝祭劇場だ。

映画「サウンド・オブ・ミュージック」
の中では、マリアと子どもたちが
ピクニックに行く時に前を通っている。

Sm05024

一瞬映るだけなので、知らなければ
もちろん何かはわからないし、
映画の中で説明も一切ないが、
この美しい施設が、
まさか「馬の水飲み場」だったとは。

 

【ザンクト・ペーター教会の墓地】
ここでも少し触れたが、
ザンクト・ペーター教会の
鉄柵で区切られた墓地は、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」
の終盤で、
トラップ一家がナチスに追われて
墓石の裏に隠れるシーンの
モデルになっている。

区画ごとに違う鉄柵の文様は、
この墓地の特徴のひとつ。

P7117996s

モデルにしただけで、
撮影はセットで行われたため、
直接ここがロケ地というわけではない。

暗い画になってしまうが、
映画のシーンも貼っておこう。

ナチスに見つかってしまうのではないか、
というヒヤヒヤ、ドキドキのシーンだ。

Sm24607
Sm24633

 

【山越え】
そして映画の最後、
ナチスの追跡をかわしたトラップ一家は、
国境線が封鎖されているため、
徒歩で山を越えて
逃亡先のスイスへと向かう。

Sm25217

山越えのロケ地は、
ロスフェルト(Rossfeld)。

雄大な山並みが美しい
このシーンについては、
ロケ地ツアーのときも
ガイドさんから説明があった。

Sm25313

この撮影現場は、
ザルツブルクのすぐ南方向の山で、
バスの中からも指差しながら、
「あの山の尾根が
 国境越えの最後のシーンのロケ地なんです」
と紹介していた。

ただ、次の言葉に
バスの中は笑いに包まれた。
「あのあたりはドイツとの国境なんです」
「スイスとの国境なんて、
 ザルツブルクからはものすごく遠くて、
 とても歩いてなんかいけないわけで」

物理的な位置関係をちょっと確認しておこう。

Amapbr1

青がオーストリア、
黄がドイツ、
緑がスイス。
★印がザルツブルクの位置で、
◎印が山越えの撮影現場。

なるほど、ザルツブルクから
歩いてスイスとの国境を越えるのは、
7人の子ども連れには厳しそうだ。

また、ナチスから逃げている一家が、
ドイツとの国境に
わざわざ向かっているというのも
笑える。

上に挙げた瀬川さんの著書でも

このあたりもドイツとオーストリアが
国境を接している地域だ。

映像を見るかぎり、
一家はドイツ側から
わざわざオーストリアに
戻ろうとしていることになる

(ケールシュタインハウスはドイツ、
 ロスフェルトは
 ほぼ国境線上に位置する)。

最後に、
はるか遠方に街のようなものが
うっすら見えるが、
それはザルツブルクだ。

この映像だけを情報源とするなら、
トラップ一家はドイツへの遠足から、
いま帰宅中であるように
思えてしまうわけである。

と書かれている。
映画のストーリとのギャップが楽しい
裏話のひとつ
だ。

ところで、先にも書いた通り、
サウンド・オブ・ミュージックは
実話に基づく話だ。

映画ではない、
実話のほうはどうなっていたのだろう?

<実話>では、
コンクールでの優勝後、
一家はヨーロッパ各地で
コンサート活動を展開する


つまり
『サウンド・オプ・ミュージック』
とは異なって、
彼らはナチによる<併合>の前から、
プロとして活動していたわけである。

そして一家は国外に逃亡する。
<実話>としては、
屋敷のすぐ裏のアイゲン駅から
鉄道に乗ってイタリアに行き、
1938年10月にロンドンから
アメリカ行きの船に乗った。

つまり、トラップ一家は
<山越え>などしていない


そして39年1月、米国で末子の
ヨハンネス・ゲオルクが生まれる。
同年3月、滞在許可の期限が切れたために
一家はいったんヨーロッパに戻り、
主に北欧諸国でコンサート活動をおこなう。

そして10月、
米国での居住許可を得た彼らは、
あらためて
「ザ・トラップ・ファミリー・シンガーズ」
として全米を股にかけての
コンサート活動を展開する。

合唱団としての活動と
ヴァーモント州ストウの
「トラップ・ファミリー・ロッジ」
の経営によって、一家の名前は
広く知れ渡るところとなった。

 

7回に分けて
「サウンド・オブ・ミュージック」関連で
繋いできたザルツブルク旅行記だが
映画関連ネタは一旦これで終了としたい。

ロケ地巡りが楽しめる町の魅力を
瀬川さんはこんな言葉でまとめている。

(ロケ地を巡る)
このような現象が起こるのは、
『サウンド・オブ・ミュージック』が
人気作品であるからだけでなく、
ザルツブルクに
<そのままの風景>が残っているから
だ。

撮影から50年近くが経っているのに、
そこへ行きさえすれば、
記憶にある風景が肉眼で見られるのである。

たとえば50年前の邦画を好きな外国人の
映画ファンがわが国に来たとしても、
めったに(そのままの風景)には会えまい。

そこには、いうまでもなく
歴史的建造物等を大切にする
ヨーロッパの伝統があるわけだが、
ザルツブルクでいえば、
狭い旧市街にロケ地が集中しているので、
二時間ぐらい歩けばほとんどのポイントは
押さえられてしまう。

まるでザルツブルクが
『サウンド・オブ・ミュージック』の
テーマパーク
であるかのようなのだ。

 

次回からは、
「サウンド・オブ・ミュージック」
からは離れて、
ザルツブルクの町の魅力を紹介したい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月29日 (日)

オーストリア旅行記 (10) サウンド・オブ・ミュージック(その6)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (10) サウンド・オブ・ミュージック(その6)

- 岸壁馬術学校 -

 

オーストリアのザルツブルクを、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」を
キーに巡っていく六回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【祝祭劇場】
世界的な音楽祭のひとつとして
知られている「ザルツブルク音楽祭」
メイン会場となっているのが
この祝祭劇場。

P7128087s

ご覧の通り
大きなというか「長い」建物だが、
その起源はなんと
1607年に建てられた
大司教の「厩舎」だとか。
つまり馬小屋。

岩山に沿う細長い形状をしており、
その長さは225mにもなる。

現在、「祝祭劇場」には
大小2つのホールと、
岩山を削ってつくられた
「フェルゼンライトシューレ」の
合計3つの劇場がある。

訪問したときは
音楽祭のちょうど10日前だったので、
スケジュールが大きく張り出されていたが、
まさに3つの劇場フル回転のプロブラムが
組まれていた。

道を挟んだ対面に、
同じように「長く」広がっているのは
大学の図書館だ。

P7128090s


正面入口前に広がる
マックス・ラインハルト広場と呼ばれる
広場からは、
左手にフランティスカーナ教会
右手にザンクト・ペーター教会
の塔が見える。

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ザンクト・ペーター教会の塔の後ろには、
ホーエンザルツブルク城塞が。
城塞の威容もかなり見慣れてきた。

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さて、この祝祭劇場。
内部を案内してくれる
ガイドツアーがあるという。

ツアーの時間がわからなかったので、
ツアーオフィスを兼ねた
劇場のギフトショップに行って
事前に時間を尋ねてみた。

ザルツブルク音楽祭が
10日後に迫っていたので、
公開エリアに制限があるようだったが、
まぁ、準備の様子も含めて、
雰囲気が感じられればそれもうれしい。

妻と相談のうえ、
翌朝9時のツアーに参加することにした。

「予約はできないので、
 予定時間の15分前に来て下さい」

 

翌朝、集合場所に行くと、
12人が集まっていた。

ガイドさんは、

*ザルツブルク音楽祭が
 10日後に迫っているので、
 劇場内では様々な準備が進められており、
 いつもは案内している大ホールに
 今日は案内できないこと。

*小ホールである
 モーツァルトホールは案内できるが、
 こちらも今日はリハーサル中ゆえ、
 ホール内での写真は禁止されていること。

などなど、丁寧に音楽祭前の
特殊な状況を説明し、
理解と了解を求めていた。

 

【フェルゼンライトシューレ】
ガイドツアーで最初に案内されたのは、
最も見たかった
「フェルゼンライトシューレ」だった。

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「サウンド・オブ・ミュージック」の終盤、
一家がコンクールで歌声を披露する、
実に印象的な劇場だ。

岩山の山肌を掘った岩むき出しの面が、
そのまま劇場の奥の壁となっている。

つまり、岩山に張り付くように
劇場が作られている。

フェルゼンライトシューレの意味は
 Felsen(岩壁)、
 Reitschule(馬術学校)


1693年、
ヨハン・エルンスト・フォン・トゥン大司教
(Johann Ernst von Thun)は、
大聖堂建築のための採石場跡に、
馬術学校を設立
した。

そこでは、乗馬のトーナメントも
行われていたという。

舞台を取り囲んでいる三層に重なった
96のアーチからなる岩盤は、
馬術学校当時の観客席
である。

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ガイドツアーの説明は
「ドイツ語」と「英語」で進んでいく。
二人のガイドさんがいるわけではなく、
ひとりで二言語を担当。

ちなみに、その時の我々12人のグループは
8人がドイツ語、4人が英語、を希望。

ドイツ語での説明の後、
英語組4人が集められて英語で説明を聞く、
を繰り返す感じでツアーが続く。

ただ、ドイツ語がわからないので
これは単なる想像だが、
明らかにドイツ語の説明の方が
詳しいことまで触れている気がする。

もちろん、説明というのは
ただ詳しければいいというわけではなく、
こちらの英語力からすると
要点のみの短い説明の方が
かえって親切、とも言えなくはないが、
長いドイツ語の説明のあと、
英語の説明が妙に短かったりすると
ソフィア・コッポラ監督の映画
「ロスト・イン・トランスレーション」

を思い出してしまう。

(ソフィア・コッポラ監督の
 東京を舞台にしたこの映画、
 好き嫌いの別れる映画のひとつだが、
 私は大好きだ。踏み込むと
 話がどんどん横道に逸れそうなので
 この映画の話はまた改めて)
題名の[lost in translation]とは
あえて訳せばまさに
「翻訳で失われるもの」という感じだ。

閑話休題

音楽祭が近いので、舞台上では
人と物が慌ただしく動いており、
リハーサルというかテストが続いていた。

P7128103s


映画ではこんなふうに使われている。
全体がよく見える
コンクールに向けての昼間の練習風景から。

Sm21833

空が見えていることにご注目。

50年以上も前のロケ時点では、
このようなオープンエアの
構造だったようだが、
現在は、開閉式の屋根がついている。

映画でのコンクールの本番は「夜」で
スポットライトが当たってこんな感じ。

Sm23503

それにしても、馬術学校の観客席を
逆に舞台にしてしまおうという発想には
ほんとうに驚かされる。

ちなみに、岩山そのままが
舞台となっているため、
「舞台裏」というものがない。
なので上演にあたっては大道具を含め
いろいろな工夫が必要だ、と説明していた。

劇場としていろいろ不自由な部分が
あるにも関わらず、
フルトヴェングラーやカラヤンといった
往年の名指揮者が、今も語り継がれる
伝説的なオペラを残した舞台でもある。

 

個人的には
「ここさえちゃんと見られれば」の
フェルゼンライトシューレが見られたので
それだけで大満足だったが、
フェルゼンライトシューレを出たあとは
モーツァルトホールに案内された。

ただ、最初に言われた通り、
こちらの撮影は許可されていなかったので、
残念ながら写真はなし。

公開のオペラに向けて、大道具も含め
舞台上の準備はかなり進んでいた。

モーツァルトホールを出たところには
横板の隙間の先に、こんなオブジェも。

P7128106s

小さな白い光の列はすべてビーズ。
地元オーストリアに本社がある、
ビーズで有名な
スワロフスキー社が作成したもの。

「モーツァルトの髪型」を表現したもの、
と言われているようだが、
オブジェ前の空間が狭く、物理的に
遠くに離れて見ることができないので、
ガイドさん自身も「確認のしようがない」
と説明して笑いをとっていた。

なお、劇場は幕間を過ごすロビーも
一見の価値がある。

P7128108s

広さや床の美しさにも目を惹かれるが、
他にはない大きな特徴が2点ある。

ひとつは、岩山の山肌が岩盤むき出しで
直接奥の壁となっている点。
フェルゼンライトシューレと同様、
ロビーは岩山に直接張り付いており、
奥の壁は、岩山の岩盤そのままだ。

P7128115s

近くに寄ってみると、
粗い岩肌の感じがよくわかる。

P7128120s


もうひとつの特徴は、
『テュルケンシュテッヘン』
(Türkenstechen)
と呼ばれる
天井の巨大なフレスコ画。

P7128110s

しかもこのフレスコ画、
この大きさを活かした
トリックアートまで仕込まれている。

P7128116s

ちょうど岩盤ギリギリの
一番奥の部分。
見上げながら寄っていくと
描かれた柱がグゥーっと空に向かって
立ち上がっていく。

P7128117s


全体はまさに馬を中心に描かれた
巨大なものだが、

P7128119s

奥の一角だけ
仕掛けで遊んでいる感じ。

 

なお、入ってすぐのロビーは、
テュルケンシュテッヘンとは全く違う
こんな雰囲気の画で囲まれているが、
これは第二次世界大戦の時に焼けてしまい、
その後以前のように修復されたもので
特に古いものというわけではないようだ。

P7128129s

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映画のほうも
「コーラスコンクール」まで来た(?)ので、
サウンド・オブ・ミュージック関連の
ネタは、
あともう一回書いて一区切りとしたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月22日 (日)

オーストリア旅行記 (9) サウンド・オブ・ミュージック(その5)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (9) サウンド・オブ・ミュージック(その5)

- 大司教の宮殿レジデンツ -

 

オーストリアのザルツブルクを、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」を
キーに巡っていく五回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【レジデンツ広場】
映画の後半ナチスが進軍してくるシーン

Sm21735

が撮影されたのが、レジデンツ広場。
背景の建物はレジデンツ

外見は地味だが、これこそが
ザルツブルクの領主である大司教が
居住し執務していた町の宮殿である。

16世紀末、
この町を「北のローマ」にしようと試みた
大司教ヴォルフ・ディートリヒの時代に
現在のような姿の宮殿の建築が始まった。

町の象徴のように何度も登場している、
山の上の「ホーエンザルツブルク城塞」は
戦争や動乱に備えた城で、
平時は大司教もこのレジデンツに居た。

今は内部も公開されており、
日本語もあるオーディオガイドで
説明を聞きながら
ゆっくり見学することができるのだが、
残念ながら写真撮影が許可されていない

6歳のモーツァルトが大司教の前で演奏した
「会議の間」


ゴブラン織のタペストリーが飾られ、
緻密な寄木細工の床が美しい
「謁見の間」、

若き日のモーツァルトも演奏した
250人を収容できる「騎士の間」、

謁見を立ったまま待たされた「控えの間」、
などなど部屋数は全部で
180にもなる


どの部屋も、繊細な装飾や調度品で彩られ、
権力を誇示した大司教の
贅沢な暮らしぶりがうかがえる。

各部屋の他、歴代大司教が集めた
絵画などのコレクションも、
レジデンツギャラリーとして
一緒に公開されている。

室内の写真は撮れなかったが、
レジデンツの窓から見える
レジデンツ広場は、
写真が撮れたので、一枚。

P7128156s


写真を撮るとき、偶然、すぐ下では
学生か、4人のサックスアンサンブルが
演奏を披露していたのだが、
これがかなりのハイレベルな演奏で、
思わず宮殿を抜け出して、
そばに行きたくなってしまったほど。

P7128154s


広場の真ん中には、
大理石の彫刻で飾られた
アトラス神の大噴水がある。

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噴水の向こう側の白い建物は
「新レジデンツ」。


大噴水は、
マリアがトラップ家に向かうシーンにも

Sm01820

まさにレジデンツを背景にして
登場している。

近くに寄るとこんな感じだ。

P7117939s

 

【カピテル広場】
ホーエンザルツブルク城塞を見上げる
カピテル広場は、
大聖堂のすぐ横に広がっている。

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映画の中、トラップ家に向かうマリアが
ギターを持って歩いているのもここ。

Sm01842

上に書いた通り、
「ホーエンザルツブルク城塞」は
戦争や動乱に備えた城だったわけだが、
旧市街のどこからでも見えるあの威容は、
やはりある種の圧力を感じる。

P7117961s

なお、広場から
ザンクト・ペーター教会の方を見ると、
こんな感じで鐘塔が見える。

P7117960s

ところで広場にあった大きな金の玉は
いったいナンだったのだろう?

 

サウンド・オブ・ミュージック関連の
場所で繋いでいくザルツブルク旅行記、
もう少し続けたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月15日 (日)

オーストリア旅行記 (8) サウンド・オブ・ミュージック(その4)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (8) サウンド・オブ・ミュージック(その4)

- パノラマ写真の出番 -

 

オーストリアのザルツブルクを、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」を
キーに巡っていく四回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【近代美術館のテラスからの眺め】
山から帰ってきた子どもたちが
歌いながら歩くシーン。

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Sm05541

まさに旧市街全体が見下ろせる
絶好のViewポイントがここ。

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映画のロケ地かどうかは関係なく
純粋に市街の景色を楽しむことができる。

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もちろん映画と比べれば、
50年前の映画の背景のまま、を
再確認することもできる。

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旧市街だけでなく、
ザルツァッハ川の向こうには、
新市街も見える。

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右手に見えるマカルト橋を渡った先、
左側にある川沿いの白い大きな建物が、
指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの
生家
だ。

こここそパノラマ写真の出番だろう。
広角で大きく繋げるとこんな感じになる。
川の向こう左手が新市街、
川の手前右手が旧市街。
(下の写真だけは、クリックすると
 通常より大きく
 横1280ピクセルの幅で表示されます)

Img_1448s

 

岩山の上に位置している
この絶景ポイントへは
「メンヒスベルクのエレベーター」
を使うと簡単に行くことができる。
通常は有料、
ザルツブルクカードがあれば無料。

このエレベーター、三機あって、
行き先ボタンと上下表示は
こんな感じになっている。

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見たことがない表示板、はいいとしても
肝心な意味がよくわからない。
「上」を押したはいいが、
いったいどの箱の前で待てばいいのだろう?

 

【青空マーケット】
旧市街の大学広場(Universitaetsplatz)で
青空市場グリューンマルクト(Gruenmarkt)
が開かれているというので行ってみた。

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野菜や果物は
とにかく色と種類が豊富で
見ているだけでワクワクする。

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そういえば、映画の中でマリアも
子どもたちを連れて来ていた。

Sm05030


チーズもこの迫力。

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パンもどれもおいしそうだ。

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ちなみに、マーケットのある
大学広場のすぐ横には、
コレーギエン教会がある。

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大学付属の教会のようだが、
真っ白な外観はかなり目を引く。

P7128089s

 

 

【モーツァルト橋】
ザルツァッハ川に架かる
歩行者専用の小さな橋。
「サウンド・オブ・ミュージック」では、
ピクニックに行く途中のマリアと子供たちが
歌いながらかけ抜けている。

Sm04958

今回は正面までは行けなかったので、
となりのシュターツ橋からの眺め

P7128068s

と、ホーエンザルツブルク城塞から
見下ろした橋の様子のみ。

P7117991s

手前が旧市街となるが、川の向こう、
川沿いは大きなお屋敷が並んでいる。

P7117976s

 

サウンド・オブ・ミュージック関連の話
もう少し続けたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月 8日 (日)

オーストリア旅行記 (7) サウンド・オブ・ミュージック(その3)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (7) サウンド・オブ・ミュージック(その3)

- 踊る人、ポーズをとる人 -

 

オーストリアのザルツブルク発、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の
ロケ地ツアーの三回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

バスの中での大合唱
盛り上がっているうちに、
バスはモントゼー(月の湖)の湖畔にある
小さな町に到着した。

 

【モントゼー教区教会】
トラップ大佐とマリアが
結婚式をあげるシーンに使われた教会。

ここの内部はまさに映画のまま。

P7117805s

 

Sm21557


多くの祭壇に取り囲まれている
特徴的な教会内部だが、やはり正面、
主祭壇の豪華さには目を奪われる。

P7117798s


映画にもアップで登場している。
もちろんここは映画のままだ。

P7117797s

Sm21655


教会は、黄色が美しいこんな建物で、
充分画になると思うのだが、
なぜかこの外観は映画には出てこない。

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結婚式場の鐘塔を思わせる
この映像が一瞬映るものの、
よく見ると、
屋根も窓も時計も違っていて、
この教会の映像ではないようだ。

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教会のあるモントゼーは湖畔の小さな町で、
通り沿いには土産物屋や飲食店が多い。
カラフルなファサード(建物の正面)には
思わずカメラを向けたくなる。

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きれいな配色ではあるものの
人工的な色が並ぶ町並みとは対照的に
周囲はほんとうに美しい緑と
山々の景色に囲まれている。

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ザルツブルク新市街に戻ってきた。

バスによる見学はここで終了。
ここからはバスを降りてすこしだけ歩く。

降車の際には、車内、
この曲がエンドレスに繰り返された。

「さようなら,ごきげんよう
 (So Long, Farewell)」

映画にならって、歌いながら、
ひとりずつバスから降りて消えてゆく。

バスの中での大合唱で盛り上がった仲間たち。
映画をよく知った人ならではの
ノリノリのアクションに、
ただ単にバスを降りるだけなのに
ここでも笑い声と拍手が続く。

 

【ミラベル庭園】
バスを降りて向かったのは、
新市街のミラベル庭園。

映画の中では「ドレミの歌」を歌いながら
マリアと子どもたちが元気に駆け抜けていく。

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右側に写っている
ペガサスの像のある噴水は、
映画では上から撮影されている。

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マリアが歌った緑のトンネル

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では、思わず同じように
踊りだしてしまう人たちも。

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庭園入口もこんな感じで
当時のまま。

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庭園内の「妖精の庭」にも

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映画と同じ像がそのまま残っている。

Img_9975s

妖精の像はほかにもいろいろ並んでおり、
陽気な女性たちは、像の回りで踊り、
ポーズを取り合っては、はしゃいでいる。

楽しそうな雰囲気に思わず
「写真を撮ってもいいですか?」
と聞いたら、"if you want!"

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今見ても、あの時の明るい笑い声が
聞こえてくるようだ。

 

ドレミの歌のクライマックス、
歌の最後は庭園のここ。
後ろにホーエンザルツブルク城塞が見える。

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最後にまとめて見てみよう。
【ドレミの歌】のミラベル庭園部分。

 

 

この庭園で4時間のツアーは終了。

饒舌なだけでなく、
いつのまにか皆の気持ちを引きつけていた
人柄のいいガイドさんにお礼を言いながら、
ツアー仲間は庭園内に散っていった。

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我々夫婦は、
バス内での大合唱の余韻に浸りながら
計画もはっきり立てないまま
気ままな市内観光に繰り出したのだが、
ザルツブルク市内は
映画のロケ地で溢れているため、
あとから映画を見返すと、
「あっ、ここも!」がいっぱい。

というわけで、
ツアーは終わってしまったものの、
旅行記のほうは
サウンド・オブ・ミュージック関連で
繋ぎながら、もう少し続けてみたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月 1日 (日)

オーストリア旅行記 (6) サウンド・オブ・ミュージック(その2)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (6) サウンド・オブ・ミュージック(その2)

- バスの中の大合唱 -

 

オーストリアのザルツブルク発、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の
ロケ地ツアーの二回目。

前回同様、
『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密
瀬川裕司 (著)
平凡社新書
(以降水色部は本からの引用)

と 映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【ヘルブルン宮殿-ガラスの部屋】
ヘルブルン宮殿の美しい庭の片隅にある
「ガラスの部屋」。

P7117761s

長女リーズルと恋人ロルフが踊り、
マリアと大佐が愛を語り合った
ガラスの部屋。

Sm03817r

撮影のロケ地だ、と思ってみると
ヘンなところがいろいろある。

 

まず場所。
周辺は緑豊かで美しいが、
実際に建っている場所が
庭の片隅という感じで、
塀がすぐそばに迫っている。
なので
映画で観た「広い庭の中」
という感じがしない。

そもそも全体的に小さくないか?

実は、実際の撮影は
ハリウッドのセットで行われており、
ここにあるのは、
湖畔での撮影時に
背景に映るものとして制作されたものを
観光用に移築しただけのもの。
つまりは
ロケ地でもロケ・セットでもない
ということのようだ。

それでも、外は雨の中、若い二人が
「もうすぐ17歳」を歌いながら踊る
印象的なシーンに登場する
ガラスの部屋ゆえ、
前で記念撮影する人は多い。

P7117765s

ちなみに、ヘルブルン宮殿の庭は
ほんとうに美しい。
映画のことを一切忘れても、
庭だけを楽しむことができる。

P7117766s

 

【ヘルブルン宮殿 裏-小道】
この直線の小道のずーっと先、
距離で言うと約1.5km先で、
マリアがトラップ家を
初めて訪問するところが撮影された。

P7117773s

トラップ家の屋敷の外観として
ロケに使われた「フローンブルク宮殿」が
そこにある。
ちなみに、屋敷内部の撮影には、
ハリウッドのセットを使ったらしい。

いずれにせよ、
撮影地は「ずーっと先」なので、
これまたここがロケ地というわけではない。

なのに、皆、妙に盛り上がっている。

P7117771s

映画ではどんな道だったか、
ちょっと覗いてみよう。

Sm01948

この先にありそう、が
十分感じられる程度には
同一の道の雰囲気が伝わってくる。

Sm02001

 

その後、トラップ家の屋敷の外観
フローンブルク宮殿」をバスから眺め、

ホーエンザルツブルク城塞(左)
マリアがいたノンベルク尼僧院(右)
両方が見える場所

P7117775s

に寄ったりしながら、
バスはザルツブルクを離れ、
ザルツカンマーグート(「塩の宝庫」の意)
と呼ばれる、山と湖のきれいな
山岳方面に入っていった。

とにかく山の景色が美しい。

Img_9972s

途中寄ったのは・・・

【ザンクト・ギルゲン】
モーツァルトのお母さんの出身地だという。
さすが、あのレベルになると
母親の出身地すら
観光資源の一部になってしまうンだ。

P7117780r

映画のほうでは、一番最初、
空撮の映像のひとつとして出てくる。
見比べてみよう。
カメラの高度は違うものの、
もちろん山並みはそのままだ。

Sm00144

ちなみに広がる湖はヴォルフガング湖。
母親の出身地なら
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart)の
Wolfgangと関係があるに違いないと思い
少し調べてみたのだが、
関係性についてはよくわからなかった。
関連があるのかないのかも含めて、
なにかご存知の方、
いらっしゃいましたら教えて下さい。

 

【バスの中の大合唱】
この後バスは、マリアと大佐が
結婚式を挙げた教会を目指したのだが、
少しまとまった移動時間の間、
ガイドさんは、
「みんなで歌おう!
 sing-alongだ!」
と言って、映画のサントラ盤を
車内で流し始めた。

もちろん最初は皆
戸惑っている感じだったが、
ガイドさんの盛り上げ方もうまく、
だんだん歌声が大きくなってくる。

バスの中で、皆で歌を歌うなんて、
小学校の遠足以来かも?

ひとりひとりの声が出始めると
まさに相乗効果、
どんどんノリノリになってくる。

Img_9970s


歌詞カードを配ったわけでもないのに、
まったく問題ない。
このツアーに来る以上、
歌えるくらいは常識ってこと?

しかも皆、歌がうまい!

最初は歌いやすいように、
サントラ盤の音を
わりと大きめにかけてくれていたのだが、
歌がのってくると
途中でサントラ盤の音をキュッと絞って、
車内の大合唱だけが聞こえるようにする。

その瞬間の、ゾクッと感が
伝わるかどうかわからないが、
その時の録音の一部を
貼っておきたい。
少しでもバスの雰囲気に近づけるべく、
可能なら、大きめのボリュームで再生を。

まずはこの歌。

These are a few of my favorite things.
の部分をバスの中の声だけにしている。

【私のお気に入り(My Favorite Things)】

繰り返しながらどんどんノってくる。
3回目のあと、ここは大合唱。
When the dog bites
When the bee stings
When I'm feeling sad
I simply remember my favorite things
And then I don't feel so bad


P7117818s

車窓を楽しみながら、
映画の中の名曲を
もう待ちきれない、という感じで
まさに次から次へと歌っていった。

そんな中、最も盛り上がったのは
やっぱりこの歌だった。

「レ」から「ラ」までは
バスの中の合唱のみ。

【ドレミの歌】

Doe-a deer, a female deer
Ray-a drop of golden sun
Me-a name I call myself
Far-a long, long way to run
Sew-a needle pulling thread
La-a note to follow sew
Tea-a drink with jam and bread


Img_9971s

隣には妻が小さくリズムをとりながら
にこやかな笑顔で座っている。
車窓には
ザルツカンマーグートの美しい山々が
次々と流れていく。
耳からは
サウンド・オブ・ミュージックの
名曲の数々が、
その歌を愛する人たちの生の声、
大合唱で流れこんでくる。

まさに夢のような時間だった。

あのとき、歌声と共に
身体(からだ)の芯からこみ上げてきた
ほんのりと温かい、おだやかな幸福感は、
ふたりの旅の一シーンを
特別なものにしてくれた気がする。

 

ところで、
この有名な「ドレミの歌」は、
ドレミと歌っていながら、
実際は「♭シドレの歌」に
なってしまっていることをご存知だろうか。

つまり、ハ長調ではなく変ロ長調。

えっ、ホント?
という方、両方の調で
ワンフレーズ貼っておくので
ぜひ聴き比べてみてほしい。

上のサントラ盤【ドレミの歌】に
自然に繋がるのはほら。

【変ロ長調】

Bd

 

【ハ長調】

Cd

 

「よくわからん」という方のために
テンポが合ってはいないのだが、
強引に両者を繋げて聞いてみよう。
音の高さだけにご注目あれ。

【「サントラ」 から 変ロ長調のドレミ】

変ロ長調だと自然に繋がるが、
強引にハ長調で始めてしまうと・・・

【「サントラ」 から ハ長調のドレミ】

 

原曲ではロジャースが
ハ長調で書いた楽譜が残っており、
舞台版の録音でもメアリー・マーティンは
ハ長調で歌っている。

映画の子役俳優に配られた楽譜も、
ハ長調で書かれている。

ところが映画で聞かれる同曲は、
変口長調になっているのだ。

主演のジュリー・アンドリュースが
一音高いハ長調で歌えなかったはずはなく、
もし理由があるとすれば、
一緒に歌う子どもたちの
音域の問題だったのだろう。

 

ちなみに、車内が大合唱となった
ツアーバスはこんな大型のものだ。

Img_9967s


ロケ地巡りの話、もう少し続けたい。

 

 

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2017年9月24日 (日)

オーストリア旅行記 (5) サウンド・オブ・ミュージック(その1)

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オーストリア旅行記 (5) サウンド・オブ・ミュージック(その1)

- 50年後の集客力 -

 

映画「サウンド・オブ・ミュージック」は
1965年に公開された
ロバート・ワイズ監督、
ジュリー・アンドリュース主演の
ミュージカル映画だ。

第38回アカデミー賞で、
作品賞、監督賞、編集賞、編曲賞、録音賞の
5部門を獲得している。

映画を見たことがなくても、
「ドレミの歌」
「エーデルワイス」
「私のお気に入り」

などの曲は、一度は耳にしたことが
あるのではないだろうか。

これらの曲はすべて、
「サウンド・オブ・ミュージック」
からだ。

ブロードウェイに一時代を築いた
作曲:リチャード・ロジャース
作詞:オスカー・ハマースタイン2世
ロジャース&ハマースタインの最後の作品。

ブロードウェイ・ミュージカルと映画で
知られるようになった
これらの名曲の数々は、
いまやスタンダードになっている。

 

今日は、ザルツブルクで参加した
「サウンド・オブ・ミュージック・ツアー」
の様子を書きたいと思う。

「あぁ、あの映画ね。
 確かに観たことあるし、
 『ドレミの歌』も知っているけれど
 ストーリやシーンなんて
 大昔のことですっかり忘れているよ」

という方も多いと思うので、
思い出せる程度の簡単な説明は
できるだけ添えたいと思っているが、
いずれにせよ、
ゼロからの解説は難しいので
「観たことがある」という方を前提に
書き進めてしまう失礼はご容赦願いたい。

 

ここ で事前予約をした
「サウンド・オブ・ミュージック・ツアー」
は、簡単に言うと
映画のロケ地を巡るツアーだ。

ロケ地を巡ると言えば
最近は、アニメや漫画などの
舞台となった場所を訪問することを
「聖地巡礼」
などと言ったりしているようで、
マスコミの報道でも耳にすることが
めずらしくなくなったが、
本件、名付けるにしても、もう少し
言葉を選ぶべきではないだろうか。

さてさて、
「サウンド・オブ・ミュージック」、
ロケ地を巡る、と言っても
現在ヒット中の映画の、ではなく、
50年以上も前の映画の、だ。

いったい、どの程度の人が集まるのだろう?

少人数でのグループツアーをイメージして
集合場所に向かった我々夫婦は、
まず最初に、
集合場所に集まっている人の数に
驚いてしまった。

皆、時間にも正確で、
定刻よりちょっと早め揃っている。
ガイドさんの案内で、
映画のシーンがペイントしてある
大型バスの横に並んだ。

P7117743s

ガイドさんは
乗車時、チケットの確認とともに、
「何人のグループ?
 どこから来たの?」
を聞いている。

結局、60人近くが乗り込んだ。
大型バスがほぼ満席。
夏休みの季節とはいえ、
平日火曜日の朝に、だ。

P7117744s

 

いよいよ出発!

マイクを握ったガイドさんは
「私は英国出身で・・・」
と自己紹介を始めたが、
そのこと自体を疑いたくなるような
明るい空気を第一声から振りまいている。

イギリス的というよりも
アメリカ的なノリ。
世界中から集まってきた
映画のファンを
ジョークを交えながら
早口の英語でグイグイ引っ張っていく。

ただ、こちらの英語力では、
説明の英語が正確に
聞き取れなかった部分も多々あるので、

『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密
瀬川裕司 (著)
平凡社新書
(以降水色部は本からの引用)

と 映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。

 

そもそもこの映画のストーリが
「実話」に基づくものであることは
よく知られているが、

トラップ一家の物語は、
まずマリア・アウグスタが
1949年に自伝として書き下ろし
(大佐は47年に死去していた)、

それを原作とするドイツ映画
『菩提樹』(1956)
『統・菩提樹』(1958)が撮られた。

そして、『菩提樹』に感銘を受けた
メアリー・マーティンと夫の
リチャード・ハリデイが
新たな脚本と音楽を書かせ、
ブロードウェイ・ミュージカル
『サウンド・オプ・ミュージック』
が誕生した。

公演は59年から63年まで続けられ、
その終了を待って、
映画化権を買っていた
20世紀フォックスが
64年に撮影をおこない、
翌年に公開した。

その後、義母の自伝の内容に
不満を抱いていた長女アガーテも
回想記を世に送っており
- そもそもマリアの自伝には
事実と異なる記述がかなりあったのだ -
世にはさまざまなヴァージョンの
<トラップ一家の物語>が
存在するわけである。

とあるように、

「トラップ一家の実話」
「書籍 マリアの自伝」
「ドイツ映画 菩提樹」
「舞台 ブロードウェイ・ミュージカル」
「米国映画 ミュージカル
    サウンド・オブ・ミュージック」
「長女の回想記」


と大きく分けて6つの
<トラップ一家の物語>がある


特にミュージカル映画は、

物価変動を考慮に入れて
2012年に集計された
歴代興行収入ランキングでは
『風と共に去りぬ』(1939)
『スター・ウォーズ』(1977)
に次いで第三位とされ、
VHS、DVD等の販売数やレンタル回数も
計算に含めると、
視聴した人の数だけでいえば
第一位であると考えられている。

と世界的に大ヒットしたわけだが、
地元オーストリアやドイツでは
日本や米国ほど
親しまれた映画ではないようだ。

そのあたりの説明からツアーは始まった。
地元では人気がないンだ。

その理由には、
オーストリアとナチの関係の描き方、
「エーデルワイス」の曲の扱い方、
実話やドイツ映画との相違点、などなど
いろいろあるようだが、
日本人の私には、
細かいニュアンスまではよくわからない。

ガイドさんは、
「英語のツアーには
 こんなにたくさんの人が集まるのに
 ドイツ語のツアーには
 人が集まらないのを見ても
 それはすぐにわかるでしょ」
と笑いを取ってまとめていた。

 

【レオポルツクローン宮殿】
「地元での不人気」という
ちょっと意外な話を聞いているうちに、
最初の訪問地、
レオポルツクローン宮殿付近に到着した。

バスを降りると、
60人でも驚いていたのに、
別のツアー会社のツアー客とも遭遇した。
いったいどれだけの集客力があるのだ、
この映画は!

そういえば本にはこんな記述もあった。

ザルツブルクのロケ地を訪ねる
バスツアーは、
世界各地から訪れたファンで
連日にぎわっている。

主催者の話では、
一日二回挙行されるツアーには
連日200人以上が参加し、
3分の2は製作当時に
生まれていなかった
年齢層の人々だという。

我々夫婦が参加したPANORAMA社の
ツアーだけで午前午後の毎日二回。
一度参加しただけなので
統計的なことは何も言えないが、
本の数字、大袈裟なものではない気がする。

バスを下りると、
一部雲がかかってしまっているものの
静かな湖の向こうに
ウンタースベルク(Untersberg)山が
こんなふうに見える。
緑も美しいが、山の形にご注目あれ。

P7117745s

ここは、トラップ一家の屋敷から
「湖方向の絵」を撮るときに使われた
ロケ地。

(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

Sm10157

マリアと子どもたち全員が、ボートから
落ちてずぶ濡れになるこのシーンでも。

Sm10837


ウンタースベルク山を背にするように
湖畔を大きく回って歩くと
対岸にこの屋敷が見えてくる。
これがレオポルツクローン宮殿。

P7117752s

左後方には、ザルツブルクの
ホーエンザルツブルク城塞も
小さく見えている。

宮殿は現在ホテルとして使われているため、
ツアーが案内するのは、
「対岸からの眺め」のみ。

対岸から宮殿を眺めながら、
こんな感じでガイドさんの説明を聞く。

P7117756s

「宮殿を眺めながら」と書いたが、
実はこの宮殿、映画には登場していない。

映画に詳しい方は、
「トラップ一家の屋敷って、
 あんなに白かったかなぁ、
 黄色の印象があるのだけれど」
と思ったはずだ。

「屋敷の庭から湖方向の絵」は
上の映画のシーンからもわかる通り
確かにあの位置から撮影されたのだが、
逆向き、つまり屋敷が背景に映る
「湖から屋敷方向の絵」は
全く別のところで撮影され、
後から繋げて
会話が成立するようにしたらしい。

なんて面倒なことをしたのだろう。

帰ってきてから上の参考図書を読むと、
正確にはあの宮殿の庭そのものではなく、
そのすぐ横に作られたセットからの
撮影だったようだが、
いずれにせよ、
「湖方向の絵」は
あの宮殿の「あたり」から
撮影された、ということのようだ。

「屋敷方向の絵」は別なところで。

ガイドさんは、
A方向とB方向で会話になっているシーンを
撮影を真似て
A方向だけ、B方向だけに分けて演技し、
おおいに皆を笑わせていた。

初対面で、
最初はどことなくぎこちない感じだった
60人が、少しずつガイドさんのペースに
慣れていく、というか巻き込まれていく。

それを感じてか
さらに饒舌になるガイドさん。

ロケ地巡りは始まったばかりだ。

 

 

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2017年4月16日 (日)

宮ザワザワ賢治

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宮ザワザワ賢治

- 擬態語の音とイメージ -

 

ロジャー・パルバース著
「英語で読み解く賢治の世界」
岩波ジュニア新書

を読んでいたら、
宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」の一節
「オロオロアルキ」の英訳の解説に
こんな部分があった。
(以下、水色部、本からの引用)

オロオロアルキ(he plods about)

オロオロ,ドシドシ,
ザワザワというように,
日本の「擬音語・擬態語」(オノマトピア)は,
音を繰り返すものが多い
です.

「オロオロ」のようなオノマトピアを使って
この詩を見事に書き上げた賢治を,
ぼくは「宮ザワザワ賢治」と名づけたいです.

 もちろん英語にも,
ticktock
   ([時計などの]カチカチという音])
hanky-panky
   (いんちき,ごまかし,
    いかがわしいこと)
namby-pamby
   (男らしくない,なよなよした)
dilly-dally
   ([決心がつかず]ぐずぐずする,
    心がぐらぐらする)
といった音を繰り返すオノマトピアが
少なからずあります.

しかし,英語においては,
ラテン語源の多音節の単語ではなく,
アングロサクソン語源の1音節の単語が
オノマトピアとして使われることが
はるかに多い
のです.

 plodはまさにそんな単語の1つです.

この語は,
「慎重に.苦労して,ゆっくり前に進む」
(to go forward slowly
 with effort or difficulty)
という意味があります.

plodderは,
「こつこつ働く人 地味な努力家」

(someone who persists, little by little,
 through effort and will power)です.
「がんばり屋」がいちばん近いと思います

「オロオロ」を直訳すれば,
to be flustered
  (このflusterもオノマトピアです)か,
to be at a loss for what to do
  (ぼうっとする,茫然自失する)
ぐらいになるかもしれません.

ここでは,to plodにaboutを付けて.
「目的もなく(aimlessly),オロオロ歩く」
という感じを出しました。

plod、
意味を知ったうえで
イメージしようと思っても、
音だけで「オロオロ」をイメージするのは
やはり私の英語力のレベルではむずかしい。

そういえば、パルバースさんご自身が
ラジオで宮沢賢治の詩と擬態語について
話をしていた記憶がある。
ちょっとPCの中を探してみよう。

発見! 2009年の録音だ。

関連するところをちょっと聞いてみたい。

(以下、薄緑色部
 2009年5月17日
 NHK「ラジオ深夜便」
の録音から。
 文字は要点のみ)

(擬態語は)
むしろ英語の方が多いのではないかと。

ただね、その同じような形をとらない。
つまり、ザワザワとかね、
音が繰り返されるような単語って
たくさんありますけれど英語にも、
もちろん日本語ほどの、百分の一くらいです。

ただ、
ひとつの単語の中に入っているのが多いンです。
それが全く擬態語だということです
ね。

たとえば

「とぼとぼと」 hobble
「よろよろと」 wobble

hobble,
wobble,
plodよりも擬態語っぽいが、
それでもまだまだむずかしい。

 

もう少し見てみよう。

賢治の「注文の多い料理店」の一節、
一文に擬態語が四つも出てくる箇所がある。

日本語はこれ。
風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、
 木の葉はかさかさ、
 木はごとんごとんと鳴りました


パルバースさんは以下のように訳している。
どれも一単語による擬態語とのこと。

「どうと」「ざわざわ」「かさかさ」
「ごとんごとんと」に注目して、
ご本人の英語による朗読を聞いてみてほしい。

The wind bellowed
The grass swished
The leaves rustled
And the trees rumbled low.

繰り返し聞くと、少し見えてきた...かな?

もちろん日本語の擬態語だって、
「かさかさ」のように
繰り返すものばかりではない。

「ぽっかり」とか
「ふんわり」とか
「こっそり」とか
「きょとんと」とか。

でも、どれも聞いた瞬間
「ふわっと」イメージが浮かぶ。

いったい、いつ、
どうやって身につけた感覚なのだろう。

どう考えても
「rustle」よりも「かさかさ」のほうが
木の葉の音をうまく表現しているように
思えてしまうのだが。

言葉が身につく、というのは
不思議なことだ。

逆に言うと、英語の音による感覚が
いかに身についていないか、を痛感する
エピソードのひとつでもあるけれど。

 

 

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2017年2月 5日 (日)

オランダ政府からのメッセージ

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オランダ政府からのメッセージ

- America Firstなら -

 

すでに1700万回も再生されているから、
ご存知の方も多いと思うが、
オランダが作った
「歓迎、米トランプ大統領」のビデオが
あまりにもよくできているので、
記録も兼ねて、ここに紹介しておきたい。

オランダ語の最初のコメントも含めて
全編英語字幕付き。
<再生>したらそのまま読めるよう
サイズをちょっと大きめに。

字幕があっても英語はちょっと、
という方も心配ご無用。
映像だけでもぜひ一度ご覧あれ。
作りがいいので、日本語訳はなくても
メッセージは伝わるはず。

 

このビデオ、タイトルにも

 The Netherlands welcomes Trump
 in his own words

とあるように、まさに「自分の言葉」で
歓迎の意を表している3分半の作品だが、
自慢あり、皮肉あり、批判あり、で
ほんとうに楽しめる。

まずはともあれ作品をどうぞ。

最初から大袈裟かつ大まじめ。

 This is a message from
 the government of the Netherlands.

 これはオランダ政府からのメッセージです。

でもそのまじめさが、
すでにおかしさを予感させる。
いきなりトランプ口調だし。

(1) William of Orange
オランダ建国の歴史から話が始まるのは
いかにも欧州の国らしい。
80年も争った戦争相手のスペイン人のことを
さんざんひどく言っておきながら、

 They're all dead now by the way.

 今は全員死んでいるけれどね。

とサラリとかわしている。

(2) オランダ語
「オランダ語は欧州で最高の言語だ」を
オランダ自身が言うのはいいとしても、
total disaster(大失敗)だとか、
fake(偽物)だとか、
トランプ氏が使った言葉を、
デンマーク語やドイツ語に向けて
もう言いたい放題。

欧州内では互いの言語を
この程度のジョークでなら
言い合うことがあるのだろうか。

(3) Pony Park
最後の部分

 you can grab 'em by the pony

で笑い声が入っているのは、
この文そのものの意味ではなく、
大統領選挙期間中に暴露された
トランプ氏の超下品な会話

 Grab them by the p***y

をイメージさせるからだろう。

(4) Afsluitdijk(アフシュライトダイク)
  締め切り大堤防

オランダが世界に誇る世界最大の堤防を
メキシコとの壁にたとえてのこの話。

「月からも見える」大西洋を挟みながらも、

 from all the water from Mexico.

 メキシコからの
 すべての水から我々を守るために、

と、奔放なセリフのスケール感に
頭がついていかない。
実際、長さ32km、幅90m、もある
堤防としては本当に巨大なもののようだが。

(5) Lee Towers
「トランプ・タワー」と「リー・タワー」
Leeさんのほうは
1946年生まれのオランダの歌手。
YouTubeでちょっと聞いてみよう。

確かにいい声だ。

(6) ミニチュア・タウン
Madurodamという
ミニチュアタウンを紹介しておいて、

 The squares are so small

 広場はとっても狭いので

それを埋めるのに
たくさんの人は必要ないよ、と。

(7) Black Pete
12月、聖二コラウスの日に行われる
伝統行事らしい。

伝統行事ながら、
英語版のWikipediaによると、
ニコラウスの仲間Black Peteについての
黒い顔に赤い口紅といった化粧は、
近年オランダでも人種差別的な側面から
論争の対象にもなっているようだ。

(8) 足が不自由な政治家
これまた、
大統領選挙期間中に問題となった
トランプ氏の障碍者の真似を
皮肉ったもの。

選挙期間中に報道されていた
見るに堪えない
トランプ氏の真似映像を思い出すと、
Klijnsma氏の、穏やかな笑顔と
議場での毅然とした姿が、
対照的に気高く、美しく見える。

(9) 脱税システム
脱税の仕組みがあるよ、と言ったうえで、

 You should tell your sons
 to put all your...
 sorry, their businesses here.

 あなたの息子さんたちにあなたの
 失礼、彼らのビジネスをここに

とのわざとらしい言い間違いで、
「あなたの」を強く印象付けている。

(10) そして最後はコレ!
America Firstなら

 The Netherlands second?

やられた!という決め台詞。
噴出さずにはいられない。

 

それにしても、全編
It's great. It's true.
を繰り返しながら
トランプ氏の口調自体を
完全におちょくっている。

オランダのことを
ちゃんと紹介しながらも
笑いあり、批判ありで
メッセージ性もバッチリ。

しかも、
全体が安っぽい作りになっておらず、
仕上がりは極めて上質。


くやしいけれど、残念だけれど、
日本がほんとうに不得意な分野だと思う。

 

 

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2016年12月 4日 (日)

ただあなたにGood-Bye

(全体の目次はこちら


ただあなたにGood-Bye

- ラジオは言葉を探す間(ま)も -

 

前回に引き続き、

2016年11月23日放送の
井上陽水の歌の世界を読み解く特別番組

『ミュージック ドキュメント 
 井上陽水×ロバート キャンベル
 「言の葉の海に漕ぎ出して」』


というTOKYO FMのラジオ番組から
陽水さんの言葉を紹介したい。

 

まずは、テレビのニュース番組の
エンディングでも使われていた
「最後のニュース」を。

最後の、
 ♪ただあなたにGood-Bye
の歌詞を意識してお聞きあれ。

最後のニュース
   作詞・作曲 井上陽水


闇に沈む月の裏の顔をあばき
青い砂や石をどこへ運び去ったの
忘れられぬ人が銃で撃たれ倒れ
みんな泣いたあとで誰を忘れ去ったの

飛行船が赤く空に燃え上がって
のどかだった空はあれが最後だったの
地球上に人があふれだして
海の先の先へこぼれ落ちてしまうの

今 あなたにGood-Night
ただあなたにGood-Bye

ある映画の最後にこの曲が使われ、
その部分の英語字幕を頼まれたキャンベルさん。
一度訳して、陽水さんに送るのだが、
最後の♪ただあなたにGood-Bye
の部分で、ダメ出しを食らってしまう。


キャンベル:
 ぼくはね、無意識にですね
 ただあなたにgood-bye
 というのは、
 あなたに向けてgood-bye
 というふうに思って、
 just for you good-bye
 just for you だと。

陽水:
 あなた、そうか
 あなただけに。

キャンベル:
 あなたに向けて。

陽水:
 じゃないんじゃない
 ていうこと言ったのかな。

キャンベル:
 うん、そういうふうに言われて
 ハッとしたんですね。
 ぜんぜんそのことに気がつかなかった。

陽水:
 ただ、あなたに、
 ちょっと違うかもね。

さて、陽水さん、
「just for you」が、
どう違うと言いたかったのだろう?

キャンベルさんが
「どんなふうに?」と再度問う。

ラジオは、
言葉を探す、迷う間(ま)も伝わる
からいい。

キャンベル:
 えっと、どんなふうに?

陽水:
 うーん、
 たくさんいるけれど、
 ただあなたに、ではなくて、
 なんかいろいろかける言葉も
 いろいろあるかもしれないけど、
 まぁ、good-bye 
 ただこの言葉ぐらいかな

 みたいなニュアンスですかね。

キャンベル:
 そうか、そうか。

多くの人の中の「あなた」ではなく、
多くの言葉の中の「good-bye」。


キャンベル:
 just for you good-bye
 ではなくて
 ぼくはそれを書き換えて
 また送り返したのですけれども
 simply to you good-bye
 というふうにさせてもらったんですね。

 たぶんそれはそのまま映画のエンドロールの
 字幕になってたと思うんですけれど

 simplyですね。

 いろんな人がいる中でひとりじゃなくて
 いろんなことが、ここでほんとは言えるし、
 言わないといけないかもしれないンだけど、
 でも、いまそっとgood-bye
 そっちだな、という。

陽水:
 まぁ、いろいろ言葉もあるけれど

キャンベル:
 すごく、
 今日のニュースにもいろいろなことがあり、
 この歌の中に歌われている
 いろんな環境の問題であったり、
 暴力、戦争、いろんなことがあるけれど、
 あなたにGood-ByeというGood-Night

いろいろ言葉もあるけれど、
ただgood-bye。

どこをどう切っても、
陽水さんらしさが溢れている。

 

 

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