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2021年5月 9日 (日)

あの政権の画期的な動物・自然保護政策

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あの政権の画期的な動物・自然保護政策

- なぜ両立するのか、という問い -

 

動物と人間の関係を
200冊以上の引用文献を駆使し、
 *ペット
 *動物虐待
 *屠畜と肉食
 *動物実験
 *動物の福祉・解放
などの視点から見つめ直している

生田武志 (著)
いのちへの礼儀
筑摩書房

(以下水色部、本からの引用)

から、
 * 人類が他の動物に食べられていたころ
 * トキの「復活」?
 * 侵略的外来種「ネコ」
 * 称賛されるペットの特徴は、
について紹介したが、今日は
寡聞にして全く知らなかった
ある驚きの事実について
紹介したい。

ナチス政権の動物保護、
自然保護についてだ。

ヒトラーは
1933年1月に政権を獲得しますが、
その年の8月、ナチスのナンバー2の
ヘルマン・ゲーリングが
ラジオでこのような演説をしています。

「現在まで動物は法律において
 生命のない物であると
 考えられてきた。
 (…) 
 このことは
 ドイツの精神に適合しないし、
 何にもまして、ナチズムの理念とは
 完全にかけ離れている
」。

ヒトラー政権は同年11月に
「動物保護法」を制定します。

そこでは、動物は人間のためではなく
「それ自体のために」保護される
とし、
「動物を不必要にさいなみ、
 または、粗暴に虐待すること」を
禁じました。

先入観がじゃまをしてか、
ナチスと動物保護の法律というのが
どうも結びつかないが、
法律では動物実験にも
厳しいい制限を課していたようだ。

さらに、動物実験も

「これまで証明されていない
 特定の結果が
 予想される場合に限られること」

「動物を事前に気絶させること」など、

現在の日本より厳しい制限を課しました

ヒトラー自身は
動物実験の全面的禁止を考えており、
動物実験と動物虐待の禁止が
「動物保護法」の重要な目的

と主張していました 

しかも単に法律を定めるだけでなく

1934年、科学・訓練・公共教育省は
すべての学生は動物保護法について
 学ばなければならない

と通達し、
1938年には
 獣医の認可に動物保護の項目が必須要件
とされます。

と、その精神の普及にも施策を打っている。

もちろんそのこと自体は
他の国からも評価されている。

こうしたナチスの動物保護法は
世界で高く評価され、
ヒトラーは
ドイツ民族に
 動物保護のために有効な法律を授けた
 人類と動物の友

と評され、アメリカの基金は
「動物保護法」の功績を称えて
ヒトラーに金メダルを贈っています。

しかも、
保護したのは動物ばかりではない。
自然保護にも実に積極的なのだ。

ナチス政権は自然保護にも積極的で、
「帝国森林荒廃防止法」
「森林の種に関する法律」
(1934年)、

そして
「景観に大きな変更を及ぼすような
 計画の許認可は、
 事前に所轄の自然保護監督機関に
 意見を求めなければならない」とし、

行政が自然保護区を指定するさいに
土地所有者が
金銭的な保障を請求することを禁ずる
「帝国自然保護法」(1935年)
などを制定し、
それらは自然保護活動家から
「革命的な法律」と絶賛されました。

画期的とも言える
動物保護運動や自然保護活動が
ナチス・ドイツにおける
人種差別や障がい者差別と
なぜ両立するのだろうか?

そのあたりを考えると
「保護とはなにか?」
「その背景の思想とはなにか?」
にじっくり向き合わざるを得なくなる。

歴史は、
「保護の本質」に迫る重要な問いを
投げかけてくれる。

 

 

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2021年5月 2日 (日)

称賛されるペットの特徴は、

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称賛されるペットの特徴は、

- 「殺処分」だけがペット問題ではない -

 

動物と人間の関係を
200冊以上の引用文献を駆使し、
 *ペット
 *動物虐待
 *屠畜と肉食
 *動物実験
 *動物の福祉・解放
などの視点から見つめ直している

生田武志 (著)
いのちへの礼儀
筑摩書房

(以下水色部、本からの引用)

から、
 * 人類が他の動物に食べられていたころ
 * トキの「復活」?
 * 侵略的外来種「ネコ」
について紹介したが、今日は
もう少し身近なペットについて
考えてみたい。

チワワ、ダックスフント、ブルドッグ、
ドーベルマンなどの「犬種」は、
生物学的には(オオカミの亜種である)
イエイヌの「変種」です。

こうした犬種は、
手近な図鑑にあるものだけでも
500種近くあります
が、
それらは自然に発生したのではなく、
近親交配など人為的方法によって
作り出されてきました。

 

もとは「牛(ブル)いじめ」という
見世物用に開発されたブルドッグも
1835年の動物虐待防止法で
「牛いじめ」が禁止されると
番犬、愛玩犬として飼われるようになり
身体的特徴が
ますます強調されるようになる。

しかし、この独特の外観は、
ブルドッグの健康に大きな問題
もたらすことになりました。

まず、ブルドッグは
あまりに頭が大きいため
母親の産道を通ることができず、
出産はふつう、
人の手による帝王切開になります。

また、鼻先が短すぎるので
うまく呼吸ができず、
生涯にわたって睡眠時無呼吸など
酸素不足に悩まされます


このため体温調節も難しく、
呼吸不全や心不全で
若死にしやすくなっています

これらに対し、
ペンシルベニア大学
「動物と社会の相互作用に関するセンター」
所長のジェームズ・サーペル氏の
こんな言葉も紹介されている。

「もしもブルドッグが
 遺伝子組み換えの産物だったなら、
 西欧世界全域で抗議デモが
 巻き起こっていたことだろう。
 まちがいない。

 ところが実際には
 人の都合に合わせた交配によって
 作られたので、
 その障害は
 見過ごされているばかりか、
 場所によっては
 称賛されてさえいる

 

こういった生体改造は、もちろん
ブルドッグだけではないし、
犬に対してだけではない。

関節疾患や外耳炎になりやすい構造を
持たせてしまったダックスフント

頭蓋骨が小さすぎて脊髄や
脳の障害に苦しむことが多い
キャバリア・キング・チャールズ・
スパニエル


猫に関しても、

短頭のため呼吸困難、眼病、
涙管奇形になりやすい上に
死産の確率が高いヒマラヤン

軟骨に奇形があり、
若い時から重い関節痛を発症しがちな
スコティッシュ・フォールド

などなどいつもの例を挙げている。

ペットの問題というと、
人間の身勝手な振舞いが原因となっている
「殺処分」が話題になることが多いが、
こうしてみると、
かわいいペットが欲しい、という
「人の都合に合わせた」生体改造が
生物としての種そのものに
様々な問題を引き起こしている
ことが
よくわかる。

しかも、
そういった強調された身体的特徴は、
まさに
「場所によっては
 称賛されてさえいる」
わけだ。

称賛されるペットの特徴には、
生物として健全に生きる権利を
奪っている側面もあるのだ。

「殺処分」だけがペットの問題ではない。

 

 

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2021年4月25日 (日)

侵略的外来種「ネコ」

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侵略的外来種「ネコ」

- 生態系にとっての悪の枢軸!? -

 

動物と人間の関係を
200冊以上の引用文献を駆使し、
 *ペット
 *動物虐待
 *屠畜と肉食
 *動物実験
 *動物の福祉・解放
などの視点から見つめ直している

生田武志 (著)
いのちへの礼儀
筑摩書房

(以下水色部、本からの引用)

から、
 * 人類が他の動物に食べられていたころ
 * トキの「復活」?
について紹介したが、今日は
「ネコ」についての
ちょっと意外な数字を紹介したい。

まずは侵略的外来種の説明から。

人間による環境破壊の一つに
「外来種問題」があります。

外来種とは、
もともとその地域にいなかったのに、
特に人間によって
他の地域から移入させられた生物で、

その中でも、
地域の自然環境や生物多様性を
脅かすおそれのあるものを
「侵略的外来種」(侵略的外来生物)
と呼んでいます。

現在の生物多様性減少の最大の原因は
生息地の減少・破壊
(特に熱帯林の破壊)ですが、

外来種問題は二番目の原因とも言われ、
過去400年間の種の絶滅の半分は
外来種によるとされています

(Courchamp, Franck.(2006)
 「世界の島嶼地域における
  侵略的外来種問題」
 『哺乳類科学』vol.46(1)85-88.)

では、侵略的外来種と言えば
具体的にはどんな生物だろう。

なんと
代表的な侵略的外来種の一つはネコ
だという。

ネコという動物の問題は、
たとえ飼い猫のように
食べ物が充分にあっても
「おやつ」や
「娯楽」のために狩りをし

多くの動物を殺すことです。
(「過剰捕食」[hyperpredation]と
 呼ばれます)。
この点、ネコはわたしたち
ホモ・サピエンスとよく似ています。

 

仮に過剰捕食があったにせよ、
ネコと「侵略的」という言葉が
どうも結びつかない。

オーストラリアを例に
少し具体的な数字で見てみよう。

オーストラリアには現在
2000万匹とされる野良猫がいますが、
このネコたちは今までに
 100種以上の鳥類、
  50種以上の哺乳類、
  50種の爬虫類、
 多くの両生類や無脊椎動物を
絶滅させました
(Courchamp, Franck.(2006)
 「世界の島嶼地域における
  侵略的外来種問題」
 『哺乳類科学』vol.46(1)85-88)。

過去だけではない。今後も...

オーストラリア環境省によれば、
ネコは一日に
 7500万の固有種の動物を殺し、
  35種の鳥類、
  36種の哺乳類、
   7種の爬虫類、
   3種の両生類を
絶滅させようとしています

にわかには信じられないような数字だが、
ネコのことを

オーストラリア環境大臣はネコを
「暴力と死の津波」

オーストラリア野生動物
管理委員会委員長は
「生態系にとっての悪の枢軸」

と呼んでいる関係者の言葉は
まさに数字を裏付けるようだ。

なのでこの現実に対して

2006年にオーストラリア政府は
1800万匹の野良猫の根絶」を宣言し、
金属製のトンネルに猫をおびき寄せて
毒ガスを噴射するわなや
毒入りのソーセージなどを開発して
駆除を進めてきました。

2015年には、環境大臣があらためて
「2020年までに200万匹の
 野良猫を殺処分する」計画を
発表しています。

 

もちろんネコの問題は
オーストラリアだけではない。

* ニュージーランドのラウル島で
  数十万羽いたセグロアジサシが絶滅、

* 亜南極のケルゲレン諸島で
  年間約125万羽の海鳥が殺される、

などなど

ネコは世界のほとんどの島に
持ち込まれており、
島の動物相を破壊するスピードでは、
 ネコの右に出るものはいない

(ソウルゼンバーグ ウィリアム.(2010)
『捕食者なき世界』野中香方子訳,
 文藝春秋)

と言われる例を並べている。

「個としての動物」たちの
命や苦しみよりも
「生態系」の保護が優先されるという
大義名分のもと、
外来種を駆除してしまっていいのか、は
簡単な問題ではないが、

ネコに対して
かわいいペットのイメージしか
なかったせいか
上記「破壊力」の数字には
ほんとうに驚いてしまった。

備忘録代わりにメモっておきたい。

 

 

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2021年4月18日 (日)

トキの「復活」?

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トキの「復活」?

- 対象だけでなく環境も含めて -

 

動物と人間の関係を
200冊以上の引用文献を駆使し、
 *ペット
 *動物虐待
 *屠畜と肉食
 *動物実験
 *動物の福祉・解放
などの視点から見つめ直している

生田武志 (著)
いのちへの礼儀
筑摩書房

(以下水色部、本からの引用)

から、その一節を紹介する2回目。

今日は、
トキの「復活」について触れたい。

日本を象徴する鳥と言われるトキ
学名ニッポニア・ニッポン)は、
明治末以降、食用や羽根を取る乱獲で
1930年代までに
数十羽にまで減りました。

1952(昭和27)年にトキは
特別天然記念物に指定され、
佐渡や石川県で
禁猟区が設定されましたが、

おそらくは農薬散布による餌の減少、
開発による水田の減少などのため、
2003(平成15)年に絶滅しました。

学名が
Nipponia nippon(ニッポニア・ニッポン)
というのは初めて知った。

すごい学名だ。
国鳥のキジの立場はどうなるのだろう?
は、よけいな心配か。

それはともかく、
日本種の絶滅に瀕して
中国からの輸入が始まっていた。

1999年以降、
中国から贈られたトキ5羽を元に
人工繁殖させる試みが始まり、
2008年から佐渡で放鳥が始まり、
2019年には350羽が生息しています

なお、中国のトキと日本のトキは
遺伝子の違いがごく僅かな同一種で、
「例えて言うなら、
 日本人と中国人の違いみたいなもの」
(石居進『早稲田ウィークリー』919号)
とされています。
いわば、日本人が絶滅したので、
「同一種」である中国人を連れてきて
「復活」させたようなものです。

これを「復活」と
言っていいかどうかはともかく、
トキが生息するようになったのは
事実だ。

トキの場合は、その絶滅が
生態系の破壊を引き起こしたというより、
「日本には美しいトキがいてほしい」
という日本人の「願望」で
計画されたと言えます。

しかし、トキは1952年に
特別天然記念物に指定されて以来、
50年間保護されたにもかかわらず
絶滅しているので、
日本ではトキが生息しにくい環境が
広がっていると考えられます

この指摘は、
すごく大事なことを含んでいると思う。

トキの保護政策や技術については
何も知らないので、
トキのことに関して
その是非を論じる力は一切ない。

ただ、

「50年も保護してきたのに
 絶滅したということは
 すでに環境のほうが
 合わなくなっているのではないか


の視点は、
トキの場合に限らず、
また生物の場合に限らず、
あるものの生存戦略を考える上で
大事な視点のひとつだろう。

特に、「願望」で無理やり
存続させようとするとき
って、
存続のために「対象への対応」ばかりに
議論が偏る傾向が強い気がする。
対象をどう保護するか、とか
対象をどう強くするか、とか。

 

地元では、かつての
トキが生息していたころの環境を
復活させる取り組みも
行われているらしいが、

そうでなければ、
そのような環境に無理やり
導入させられた中国産のトキは
「いい迷惑」かもしれません。

 

 

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2021年4月11日 (日)

人類が他の動物に食べられていたころ

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人類が他の動物に食べられていたころ

- 生得の武器がない -

 

今週は、2つの驚く記事を目にした。

(1) 人類は「肉を食べ尽くしたあと」雑食に移行したと判明
  人はもともと肉食動物だったが、
  過剰狩猟のため、その後、
  植物性の栄養源を取り入れるようになり
  次第に雑食化していったとのこと。

  詳しい内容は、
   American Journal of Physical Anthropology
  に。

(2) 素粒子物理学の根幹崩れた? 磁気の測定値に未知のずれ
  素粒子物理学の基礎である
  「標準理論」で説明できない現象
  捉えたと、
  米フェルミ国立加速器研究所が
  2021年4月7日、発表した。
  素粒子ミューオンの磁気的な性質が、
  理論で想定される値から
  大きくずれていたという。

  理論が想定していない力が働いていたり、
  未知の素粒子が影響
したりしている
  可能性がある。

  元となる発表はこちら。
   First results from Fermilab’s Muon g-2 experiment strengthen evidence of new physics

どちらもこれから精査が必要だろうが、
長く広く信じられていたことが
書き換えられるかもしれない発表には
ドキリとさせられる。

仮に100%の新発見でなかったとしても、
そこにはこれまで見落としていたような
大事な視点や事実が
含まれていることも多々あるし。

今後の検証報告等に気をつけていきたい。

 

これらのニュース、特に(1)を耳にして
思い出した本があるので、
今日はその本について触れたい。

 

動物と人間の関係を
200冊以上の引用文献を駆使し、
 *ペット
 *動物虐待
 *屠畜と肉食
 *動物実験
 *動物の福祉・解放
などの視点から見つめ直している

生田武志 (著)
いのちへの礼儀
筑摩書房

(以下水色部、本からの引用)

は、

「いのちへの礼儀」という書名が
ある意味「救い」とも言える
実に重い本だった。

特に、畜産業(本では工業畜産とか
動物工場とかの言葉を使っているが)
における動物の扱いの実態は
読むことさえ辛い。

もちろん、肉も卵も食べているのだから
その恩恵は目一杯受けているし、
逆に、本来は知らなくてはいけないこと
なのかもしれないが、
やはり「残酷」と思える現実からは
どうしても目をそむけたくなる。

ただ、この本の価値は
そういった現実を
単に読者に知らせることにはない。

動物と人間との関係を
広く、冷静に見つめ直すことで
読者に「いのちへの礼儀」を
改めて真摯に考える
きっかけを与えてくれていることにある。

なので、客観的な事実がどうか、
という情報の問題だけでなく、
新たに気付かされることも多い。

450ページほどの内容豊かな本から、
そんな点に絞って
いくつか言葉を紹介したい。

最初はやはりこれ。

肉食しなくても生きていけるのに、
なぜわたしたちは
わざわざ動物を殺すのでしょうか

明確な解があるわけではないのだが、
まさに通奏低音のように
本を読んでいる間じゅう
静かに流れ続ける問いだ。

まずは歴史を振り返ってみよう。

ジャングルに住む
初期の人類は草食でしたが、
サバンナに進出した後、
250万年ほど前から
少量の肉を食べ始め、
200万年前には
肉食が定着したようです。

そんな古い食性がどうしてわかるのか?
化石骨から読み取れるようだ。

250万年前から200万年前の
オーストラロピテクスの
化石骨の分析では、
食性の70%が植物性、
30%以下が動物性となっています。

動物性は、昆虫や
トカゲなどの小型の脊椎動物を
食べていたことに由来するらしい。

そもそも、人類の
大きく平たい切歯と臼歯という特徴は、
「肉食」動物でも「草食」動物でも
「雑食」動物でもなく
「果実食」であることを示しています
(三浦慎悟(2018)
 『動物と人間 関係史の生物学』
 東京大学出版会)

 

さて、ここで話を次の段階の
「狩猟」に発展させようとすると
あることに気づく。

一般に、体重が150キログラムより
軽い動物は捕食されやすく

それ以上の体重の動物
(スイギュウ、サイ、カバなど)は
ほとんど捕食されないことが
知られています
(タンザニアの
 セレンゲティ国立公園での
 40年間の調査による)

そう、人間自体が
大きな動物の獲物だったのだ。

人類はほとんど生得の
武器のない生き物です。

ライオンやヒョウのように
時速70キロメートルで走れず、
鋭い牙もかぎ爪もありません。

チンパンジーは鋭い犬歯があり、
握力も約300キログラムあり、
ゴリラも150キログラムの体重で
握力は500キログラム程度ある
とされますが、それでも
現在の野生の霊長類は
年間「4匹中1匹」が
捕食されている
のですから
人類もそれに近い程度
食べられていたと考えられます
(事実、動物に食べられた
 跡の残るホモ・サピエンスの骨格

 各地で発掘されています)

まさに

人類は「狩人」であると同時に
他の動物たちの「食べもの」

だった時期があるわけだ。

ホモ・サピエンスが
「出アフリカ」を果たすのが
約6万年前、
船、弓矢、針などを発明するのが
約7万年前から3万年前、
狩猟具を身に着け
食物連鎖の頂点に立つようになるのには
かなり時間がかかったことになる。

「食べられていた」ころの記憶が
体のどこかに残っているのであれば
他の動物に対してもう少し
優しくなれるような気がするのだが。
残念ながらそこからも時間が経ちすぎた
ということなのだろうか。

 

 

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2021年1月 3日 (日)

「クーデター本部に顔パス」の外交官

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「クーデター本部に顔パス」の外交官

- プロがプロを取材して -

 

明けましておめでとうございます。

備忘録を兼ねた
まさに気ままなブログではありますが、
今年もボチボチ続けていこうと
思っていますので
今後ともどうぞよろしくお願いします。

 

昨年末2020年12月27日の朝日新聞
「Reライフ 輝く人」に
作家 佐藤優(さとうまさる)さん
記事が出ていた。

佐藤さんが、自らの逮捕、勾留の体験を
感情的にならず冷静に記述している
(おそらく最初の著書)

はたいへんおもしろい本だったが、
あれから15年、
記事には
「これまでに出版した著書は
 900冊を超える」

とある。
 900 / 15 = 60
共著でお名前を拝見することも
多いとはいえ、年間60冊で15年、
900冊はなにかの間違いではないだろうか?

ともあれ精力的な活動の一方、
「心からつきあえる人は、
 5人もいれば十分」

先が見えてくる50代以降は
「消極主義」で生きるべきだ
と話している。

 

佐藤優さんというと
忘れられない新聞記事がある。

産経新聞
2002年3月1日第一面

020301sankeisato

彼の力量 誰が認めたか
前主任分析官「佐藤優」を考える

との見出しの記事。
(以下水色部、
 産経新聞の記事からの引用)

記事はこう始まっている。

ソ連の要人の家に連日、
 夜討ち・朝駆けを続けている
 日本大使館員がいる
」。

モスクワでこんなうわさを
耳にしたのは、
ゴルバチョフ政権下の
ペレストロイカ(再編)が
軌道に乗り始めた
1987年秋のことだった。

この外交官が当時まだ27歳で
いわゆる「ノン・キャリア」の
三等書記官「佐藤優」

なる人物であることはすぐに知れた。

ソ連の要人に夜討ち・朝駆けという
古典的手法でアプローチを試みる
若き外交官。

その対象は驚くべき広範囲に渡っていた。

佐藤に会い、度肝を抜かれた。

夜討ち・朝駆けの対象は
ソ連の政界、経済界、学会、
マスメディア、ロシア正教会、
国家保安委員会(KGB)関係者、
果てはマフィアの親分
・・・と、
表と裏世界の隅々にまでおよび、
しかもその手法は
新聞記者の私も全く顔負けだった。

早朝、出勤前に平均二人、
真冬の凍てついた夜でも
ウオツカを手に深更まで
昼間仕込んだ住所を探しあて、
二人、三人、四人と
相手のアパートの扉をたたき続けた。

佐藤のこの粉骨砕身の
地道な努力が培った
幅広い人脈は数年後、
赫々たる成果を生んでいく

たとえば、どんな成果か?
ちょっと見てみよう。

1991年1月、
リトアニアのテレビ塔を死守する
独立派民衆に
ソ連軍の戦車が襲いかかり、
13人の犠牲者を出す
「血の日曜日事件」が発生。

戦車は「独立運動の砦」
・リトアニア最高会議に
次の攻撃の照準を定めていた。

現地入りした佐藤は人脈をフル利用し
攻撃側の
リトアニア共産党・ソ連派幹部と
独立派幹部の間を
何度も行き来して説得工作を繰り返し、
ついに戦車の進軍を阻止したのである。

最高会議には数百人の民衆が立てこもり、
武力衝突は大流血を意味していた。

「バルト三国の民族衝突拡大は
 ソ連全体の行方を一段と不透明にし、
 これを阻止することは
 日本の国益に合致すると必死でした」。
佐藤はのちに記者にこう述懐した。

ソ連派幹部と独立派幹部の間を
何度も行き来して、
戦車の進軍を阻止したなんて。

 

同年8月、当時のソ連大統領、
ゴルバチョフを
クリミア半島に一時軟禁した
ソ連共産党守旧派(左翼強硬派)による
クーデター未遂事件が起きるや、
佐藤はモスクワ・スターラヤ広場の
ソ連共産党中央委員会に陣取る
「クーデター本部」に
顔パスで潜入した


ゴルバチョフの生死が
世界中の関心を呼んでいたときに、
佐藤は
「ゴルバチョフは生きて
 クリミアにいる。
 表向きの病名はぎっくり腰だ」
との情報を世界に先駆けてキャッチ、
至急報の公電を東京に送った。

クーデター本部に顔パス!とは。
いったい、どんな人脈を
築いていたのであろう。

スパイ小説のようなことが
ほんとうにあるのだ。

 

佐藤さんの異国での驚くべき行動力には
ほんとうに頭が下がるが
この記事は別な意味でも
強く印象に残っている。

最後に(モスクワ 斎藤勉)とある通り、
斎藤記者の署名記事となっているが、
斎藤さんが佐藤さんのことを
実に丁寧に取材していることがよくわかる
記事だったからだ。

記者が取材して書くなんて当たり前、
と言いたいところだが、
最近の(と言っても
この記事自体20年近くも前のものだが)
新聞記事で
「ちゃんと取材して書いているなぁ」
と思えるものは
残念ながら驚くほど少ない。

プロの記者さん、
まさにプロの仕事をお願いします。

今年はそんな記事が
一本でも多く読めますように。

 

 

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2020年12月27日 (日)

水一滴もこぼさずに廻る地球を

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水一滴もこぼさずに廻る地球を

- こういうところに棲んでいましたか -

 

世界の感染マップによると、
新型コロナウイルスの世界の感染者は
2020年12月27日時点で
累計で8022万人を超えた。
死者は175万人を上回っている

そんな2020年が暮れようとしている。

 

ナショナル・ジオグラフィックが
2年前の年末にこんな記事を公開している。

「月から昇る地球」
世界を変えた撮影から50年

NASAが撮影した
有名なこの写真についての記事だ。
(以下水色部、記事からの引用)

1968earth

(PHOTOGRAPH BY NASA)

1968年の

クリスマスイブ、月を周回する
アポロ8号に乗った3人の宇宙飛行士は、
月の向こう側に浮かぶ地球を
写真に収めた。

NASAはこれを、
アポロ8号が地球に帰還してから
3日後の1968年12月30日に公開した。

手前には荒涼とした月面が広がり、
宇宙の暗闇の中に
美しいマーブル模様の地球が
輝いている。

 

この写真を見た
詩人の茨城のり子さんは
「水の星」という詩を発表している。
その中の一節。

生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真

こういうところに棲んでいましたか


これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの
意識の差が出る筈なのに
みんなわりあいぼんやりとしている

太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと
渦まくのであるらしい

中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星

 

新型コロナウイルスが人間世界に
どんな事態を引き起こしていようと
地球は来年も、水一滴こぼすことなく
廻り続けることだろう。

ここに書いた通り
年月日を8桁で表わした
今年の大晦日:20201231

明けて元日 :20210101
はどちらも素数だ。
(双子素数ではないけれど、
 名前を付けたくなる連続(?)素数だ)

慌ただしい年末、
人間世界のゴタゴタから離れたところで
いっとき遊んでみたくなる。

宇宙から地球を眺めるような気持ちで
来年のことを考えてみるのもいい。

皆様、どうぞ穏やかに
すてきな新年をお迎え下さい。

 

 

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2020年5月24日 (日)

ニュースや数字を通して考えると

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ニュースや数字を通して考えると

- 普段は見えていなかったものが、 -

 

4月7日に発出された緊急事態宣言。
すでに7週間近くが経過しているが、
本日5月24日
「政府は北海道、埼玉、千葉、東京、
 神奈川の5都道県で続く
 新型コロナウイルスの
 緊急事態宣言について、
 今月末の期限を待たず、
 25日に全面解除する方針を固めた」
なるニュースが流れてきた。

世界に目を遣ると5月23日時点で
 累計感染者数  520万人超
 累計死者数   33万人超
 1日あたりの新規感染者数 10万人超
 1日あたりの死者数     5千人超
と感染拡大自体は
依然として衰えていないが。

 

日本の外出自粛の影響は、
今後いろいろな角度から
分析・検証されることになるであろうが、
今日はふたつのデータを見てみたい。

ひとつ目は消費動向の一部、
「消費財の販売金額(前年比)」
について。

市場調査会社のインテージが
前年より「売れた」商品
消費財の販売金額(前年比)上位30品目

前年より「売れなくなった」商品
消費財の販売金額(前年比)下位30品目
を2020年4月分について発表している。

リンクをクリックする前に、
どんな商品がそれぞれの上位に来るのか、
まずは考えてみてほしい。

対象は、
[ 食品、飲料、アルコール、
 雑貨、化粧品、医薬品 ]

まさに生活につながる身近なものだ。

外出自粛の生活で
「売れたもの」と
「売れなくなったもの」には、
何があるだろう?

 

BEST30とその詳細については
リンク先を参照いただきたいが、
TOP10だけ見てみよう。

前年比で売れたものBEST10
1. うがい薬
2. エッセンス類
3. プレミックス
4. ビデオテープ
5. 殺菌消毒剤
6. 小麦粉
7. ホイップクリーム
8. 石鹸
9. 家庭用手袋
10. 住宅用クリーナー

* うがい薬 / 殺菌消毒剤 /
 石鹸 / 家庭用手袋
などは、予想通り、といった感じだろう。
衛生に関連するもの群

* エッセンス類 / プレミックス /
 小麦粉 / ホイップクリーム
などはいわゆるお菓子作り関連群
お子さんの学校が休み、ということもあろう。
「家でお菓子でも作ろう」
の機運が高まったのだろう。

* 家庭用手袋 / 住宅用クリーナー
などのお掃除用品関連群
も在宅時間が長くなっていることを考えると
納得できる。

 

全く意味がわからないのが
* ビデオテープ
リンク先を見ると、
順位を決める4月第3週の値のみ
値が突出したため
たまたまベスト10に入ってしまった、
という感じだが、
仮に第3週だけだったとしても
2020年の4月、
何があれば「ビデオテープ」が
売れるのであろう?

 

前年比で売れなくなったものBEST10
1. 鎮暈剤(ちんうんざい)
2. 口紅
3. 日焼け・日焼け止め
4. 強心剤
5. テーピング
6. 写真用フィルム
7. ほほべに
8. ファンデーション
9. コールド&マッサージ
10. おしろい

* 鎮暈剤(ちんうんざい)
酔い止めの薬は、長距離の外出、計画が
減っているので当然だろう。
通常4月はゴールデンウィークに向けて
子供向けの薬も
売れていた時期ではないだろうか。

* 口紅 / 日焼け・日焼け止め /
 ほほべに / ファンデーション /
 コールド&マッサージ / おしろい
このあたり購買層は圧倒的に女性だろう。
Stay Homeとマスクは
化粧品関連にダイレクトに
響いてくるようだ。

* テーピング
スポーツ大会の休止、運動部の休部、
スポーツジムの閉鎖等の影響か。

* 強心剤
これはどうも外国人観光客による
購買が減ったことが響いているもよう。
処方箋なしで買える市販薬は、
訪日中国人観光客が爆買いしていく
製品の1つなのだとか。

* 写真用フィルム
チェキのような
その場で写真となるフィルムは
今でもライブ会場では大人気らしい。
アイドルや出演者と一緒に撮って・・・。
ことごとく休止となってしまったライブは
こんな商品にも影響を与えているようだ。

もちろんどれも想像だが、自分の消費動向と
すべてが直結しているわけではないので、
理由を考えてみるのはおもしろい。

 

対照的なもうひとつのデータは、
「4月の自殺者の数」

TBSなどが報じたという
exciteニュースの記事がここにある。
4月の自殺者数、前年比約20%減

厚労省などによると、
4月の全国の自殺者数は
前の年の同じ月に比べ
359人少ない1455人で19.8%減った、
とのこと。
少なくとも最近5年間では
最も大きな減少幅らしい。

ちなみにコロナによる死者の数は
2020年4月
日本において偶然にも359人。

いずれにせよ、コロナ死者数の
4倍もの人が自ら命を絶っている。

一方で、20%も減った自殺者が、
今回の自粛要請と関係があるとするなら、
「学校に行くくらいなら死んだほうがいい」
「仕事に行くくらいなら死んだほうがいい」
そう考えている人が相当数いた、
ということになるのだろうか?

 

他にも

「大型連休中(4月24日~5月6日)に
 成田空港(千葉県成田市)から
 出国した日本人は850人(速報値)と、
 前年同期比99・8%減の
 記録的な落ち込みとなった。
 (前年同期34万8630人)」

「出入国在留管理庁は5月14日、
 4月の外国人新規入国者数(速報値)が
 1256人だったと発表。
 (前年同月約268万人)」

 35万人が850人に、
 268万人が1256人に、

など、驚くべき数字を伴ったニュースが
次々と入ってきている。

どんなニュースであれ
単にニュースを読んだだけで
なにかを断定することは
もちろんできない。

しかし、なんとなく意識はしつつも
普段は見えていなかった、
あるいは見ようとしていなかったものが
緊急事態という特殊な条件と
合わせて考えることで、
別な角度から光が当てられたようになって
自分の意識の中に
浮かび上がってくることは確かにある。

 

 

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2020年4月26日 (日)

そのためだけの漢字や動詞

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そのためだけの漢字や動詞

- 「そばだてる」のは耳だけ? -

 

新型コロナウイルスの感染拡大については
先が読めない日々が続いている。

様々な自粛要請が続く中、
言葉もきしみだしている。

たとえば、この写真

2004kinshiyousei

「公園内での飲食について
 禁止を要請します」

表示前に、港湾局内には
なにか言う人はいなかったのだろうか?

 

マスコミも
「休業要請に従わない施設を・・・」
と連日繰り返している。

要請なら、応じるか応じないか
従わないと言えば
普通それは「命令に」だろう。

 

「自粛要請に違反

も、もはや気にしていたら体がもたない。

「募ってはいるが募集はしていない」
と首相が答弁するくらいだから
もちろんコロナに始まったことではないが。

そういえば、緊急事態宣言で
図書館が閉まっているため
ウラがとれなかったのだが、
産経新聞(2020年4月??日)には、
こんな内容の記事があったらしい。

英語では先頭のkを
発音しないことがある。
knifeなどがその例。
これ、実は日本にも有る。

それが kyousei

日本ではこれを「要請」と読む。

 

2020年4月7日に
緊急事態宣言が発出されたわけだが、
この「発出」という言葉も
実際に使われているのを
ほとんど耳にした覚えがない。

そもそも何に対して使える言葉なのだろう?
まさか「緊急事態宣言」のためだけ
ってことはないと思うが、実は、
この「・・のためだけかも?」
と思うと個人的には
妙に嬉しくなってしまう。

汎用性のなさ、というのは
ある意味、非効率の代表のような指標だが、
だからこそそこには魅力もあるわけで
出逢うと思わずメモってしまっている。

特に漢字と動詞。

たとえば、
「福祉」の「祉」
「洗濯」の「濯」
などの漢字って、
最初の単語以外で使ったことがない。

「福祉」のためだけの「
「洗濯」のためだけの「
この「・・のためだけ」だ。

(濯ぐ(すすぐ)
 って言う訓があるじゃないか、
 と言われそうだが、
 実際に「すすぐ」と書きたいときは
 ほとんど「ひらがな」を使っている。
 濯を使った単語が
 他にひとつも浮かばない、
 という意味で「・・のためだけ」
 に分類している)

動詞にもある。
・そばだてる
・こまねく
・かしげる
・よだつ
・やつす
・てらう

そばだてる、のは耳だけだし
こまねく、のは手だけだし
かしげる、のは首だけだし
よだつ、のは身の毛だけだし
やつす、のは身だけだし
てらう、のは奇だけだし

この汎用性のなさがなんとも興味深い。

「福祉」の「祉」
「耳をそばだてる」の「そばだてる」

こういった、「・・のためだけ」の
漢字や動詞に気がついた方、
他にもいっぱいあることでしょう。
ぜひ教えて下さい。

そうそう、
もうひとつ大事な動詞があった。

揉みしだく

失礼しました。

 

 

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2019年10月13日 (日)

ポケベルのサービス終了

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ポケベルのサービス終了

- 携帯電話の普及と比較して -

 

前回
1995年のラグビーワールドカップ
南アフリカ大会での
日本対ニュージーランドの試合について
古い新聞記事を参照したが、
その日の新聞を見てみると、
ポケットベル(ポケベル)の
大きな広告が目につく。

たとえば、NZ戦を報じた
1995年6月5日の朝日新聞にある広告。

A9506051s

 

ちょっと大きくしてみると
機能をかなり無理やり拡張して
差別化を図っていることがよくわかる。

A9506052s

数字だけではなく、文字だったり
イラストメッセージだったり、
カタカナ定型伝言分だったり、
バイオリズムが見られる、
なんていうのまである。

 

実は、この1995年
(正確には1995年度)は
ポケベルの契約件数が
ピークを迎えた年だった。
ちょっと確認してみよう。

無線呼出し(ポケットベル)の
 加入契約数の推移


のタイトルで、総務省のここから
データを簡単にダウンロードできる。

ただ数値だけではわかりにくいので
グラフにしてみた。
1995年度の棒には目印のため
黄色い線を入れている。

   ポケベルの加入契約数の推移

Pbell1

ご覧の通り統計値のある1988年から
グングン契約台数は伸びており、
1995年度末の契約台数1061万台で
ピークを迎えている。

興味深いのはそのあと。

急速に契約数は減っていき、
2006年度末には
なんと16万台にまで減ってしまう。
1995年度末のわずか1.5%、
たった11年で98.5%減ということになる。

理由はもちろん携帯電話の普及だろう。

同じ総務省のページ

携帯・PHSの加入契約数の推移

のデータも公開されている。

 

年度末 ポケベル 携帯・PHS
1994年 935万台 433万台
1995年  1,061万台  1,171万台
1996年 1,007万台 2,691万台

 

1995年は、ものすごい勢いで
「携帯・PHS」の契約台数が
「ポケベル」の契約台数を抜き去る
時期でもあったわけだ。

1988年から2000年までで
ポケベル=青、携帯・PHS=茶
両方の動きを
一枚のグラフにしてみよう。

   「ポケベル」と「携帯・PHS」の加入契約数の推移

Pbell2

 

携帯の契約数の伸びが
いかに早いかがよくわかる。

期間を2018年まで拡張するとこんな感じ。

「ポケベル」と「携帯・PHS」の加入契約数の推移 2018年度末まで

Pbell3

契約数が1億8千万台にまで伸びた
携帯と並べると、
最高でも1000万台程度のポケベルは、
グラフの左下に小さく、
の存在になってしまう。

それにしても、契約数が1億8千万台とは。
利用年齢層を考慮すると
ざっくり平均してすでにひとり2台!

実際には「1台しか持っていない」
という人がかなりいることを考えると、
(会社携帯等も含むとはいえ)
3台以上持っているひとも、
珍しくないということになる。

 

今回、ポケベルの広告に目がいったのは、
日本がアイルランドに勝った翌々日
2019年9月30日、
「ポケベルのサービス停止」のニュースが
流れたからだ。

「ポケットベル」の愛称で親しまれ、
1990年代にブームとなった
無線呼び出しサービスを、
全国で唯一展開していた
東京テレメッセージ(東京)が
9月30日にサービスを終了する

半世紀にわたり続いたが、
携帯電話に取って代わられ、
通信手段としての役目を終えた

東京テレメッセージは
9月30日深夜から10月1日にかけて
ポケベル用の電波を順次止める。

 

折り返しのための電話番号を伝える
「数字表示エリア」を
無理やりとも言える語呂合わせや創意工夫で
「メッセージエリア」として使い、
コミュニケーションツールとして
ブームを作り出していたのは
主に当時の女子高生たちだった。

4649  よろしく
889  はやく
8181  バイバイ
3470  さよなら

くらいならなんとか意味が伝わりそうだが、

0906  おくれる
14106  あいしてる
5731  ごめんなさい
1871  会えない

にいたっては、おじさんはほぼギブアップ。
当時、無理やりの数字メッセージを
牽引していた女子高生の柔軟な発想には
感心するばかりだ。
でももう、それらも完全に役目を終えた。

 

1995年:
ポケベル全盛、1000万台超の契約。
NZに惨敗。

24年後、

2019年:
ポケベルのサービス終了。
強豪アイルランドに勝利。
台風19号による甚大な被害が
次々と明らかになっていく10月13日、
スコットランドにも勝って
ラグビーW杯で初のベスト8進出。

並べることにナンの意味もないけれど、
ごちゃごちゃとすべてを乗せて
時代は流れている。

 

 

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