アスリートの語学力
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アスリートの語学力
- ピエ、日本語で説明するとすごく長い -
2023年12月26日の朝日新聞の記事
「スポーツ回顧2023」が
「海を渡りチェコ語を覚え
気づきを得られたから」
なる見出しをつけて、2023年8月に
ハンガリー・ブダペストで開催された
陸上の世界選手権で金メダルをとった
北口榛花(はるか)さんのことを
書いていた。
(以下水色部、記事からの引用)
北口さん、「チェコ人のコーチ、
セケラク氏のもとに単身で渡って4年半」
とのことだが、
金メダル獲得の際のインタビューも
チェコ語メディアに対しては
流暢なチェコ語で対応していた。
ほぼ独学でチェコ語を身につけ、
今は地元メディアの取材にも
チェコ語や英語で対応しているという。
また、日本の大会に
チェコ選手が出場した際には
日本メディアに対して
通訳役になることもあるという。
チェコ語を習得したことで、
投げる指導が主だった日本と比べ、
セケラク氏は
投げること以外の練習に重きを置いた。
助走を強化するための走り込みや
筋力トレーニングも、
「なぜ必要なのか」を
丁寧に説いてくれた。
アスリートの語学力と言えば
今年(2023年)5月に引退会見をした
卓球の石川佳純さんの流暢な中国語も
思い出すが、
2023年6月27日の朝日新聞の記事には
語学に対する
たいへん印象的な石川さんの言葉があった。
(以下緑色部、記事からの引用)
中国語習得のきっかけはやはりコーチ、
トレーナーとの出会いだ。
大阪・四天王寺羽曳丘中に入学すると、
卓球部に
中国人のコーチ、トレーナーがいた。
上達の近道だと考え、
中国語を習得しようと本気になった。
もちろん最初はコーチとの
コミュニケーションが目的だったと思うが、
中国語を学ぶことで、
そこには、簡単には日本語に訳せない
でも強くなるためには重要な言葉が
いくつもあることに気づいていく。
ショットの種類を端的に表す単語が、
日本語より豊富なことだ。
「例えば、ピエと発音する言葉は、
ボールに横回転を加えて
流すように振る
ショットなんですけど、
日本語で説明すると、すごく長い。
卓球のタイムアウトは
1試合に1分間しかないので、
中国語ならピエだ、ピエ、で済む。
すぐ理解できて、
時間短縮になるんです」
強くなるための練習を支える語、が
独自に発達していくのだろう。
「強い国から学ぶ」ためには
それら全部を受け止める能力が必要だ。
加えて、インターネットで中国選手の
中国語でのインタビューを視聴して
理解できるようになると、
こんな効果もあった。
異次元のレベルだと
感じたんですけど、
動画を見て、
ふだんは気さくな性格なんだとか、
試合で競り合った場面で
こんな風に緊張しているんだとか、
身近に感じられて、
劣等感が減りました」
また
「アウェーの雰囲気はなく、
温かく応援していただけて、
すごくうれしかった」。
「勝ちたい」「強くなりたい」への執念と
圧倒的な向上心に支えられた言語習得は、
* コーチの言葉の理解
だけでなく、
* 強い国が持つ効率的な用語の活用
* 競技相手のメンタルも含めた理解
* 会場の雰囲気をも味方にする力
なども同時に運んできてくれるようだ。
それを実際に実行し、結果を残してきた
アスリートの言葉には説得力がある。
今年も大晦日。
気ままに続けているブログですが、
本年もご訪問いただき
ありがとうございました。
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