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2024年11月 3日 (日)

紙の本が持つ力

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紙の本が持つ力

- 島田潤一郎さんの言葉 -

 

全国大学生活協同組合連合会
「読書のいずみ」
通巻180号(2024年9月発行)
Dokusyonoizumi2409s
という小冊子に

夏葉社代表 島田潤一郎さん

京都大学大学院 齊藤ゆずかさん
との対談、
 座・対談
「良い作品は、豊かな時間を与えてくれる」

という記事があった。
(以下、水色部記事からの抜粋)

島田潤一郎さんは、1976年高知県生まれ。

2009年、
出版社「夏葉社」をひとりで設立
「何度も、読み返される本を。」
という理念のもと、
文学を中心とした出版活動を行う。

と紹介がある。

本への思いを熱く語る島田さんの言葉から
印象に残ったものを紹介したい。

(1) 紙という限定性

例えば「日本の歴史」という
300ページにまとまっている本が
あったら、
それはそれとして受け取るわけです。
それは本に対する信頼ですよね。

「300ページで日本の歴史なんて
 書けないよ、これは嘘だよ」とは
思わないでしょう。

300ページ読んだら、300ページ分の
日本の歴史というものがあって、
それはそれなりに完結してるわけです。

完結するのは
紙という限定性があるからこそ
だと思います。

「紙という限定性があるからこそ」
「完結する」という視点がおもしろい。

(2) 情報をただ束ねたものではない

「国」は
目に見えないひとつの概念ですが、
一冊の本として紙に残すと、
あたかも「国」というものが
実際にあるように見えますよね。

我々が作っているのは
そういうものに近いと思うんですよ。

それは何か情報を
ただ束ねたものではなくて、
ものすごく力のある、
ものすごく大切なもの

作っているような気がします。

本は、
「情報をただ束ねたものではない」は
出版社として
ぜひ言いたかったことのひとつだろう。

(3) 紙の本として残す意味

だから、
力のある人たちは印刷しますよ。
印刷して、それが多くの人に
読んでもらえるかどうかではなく、
印刷することに意味がある。

紙の本として残すことに意味がある
のです。

我々も「歴史上の誰々という人が
本当に実在したかどうか」というのは、
写真のない時代であれば、
その名前が実際にどこかに
書かれているかどうか
で、
確認していますよね。

印刷技術登場以前の時代も含めて、
残された本には意味がある。

どんな英雄であれ、
「その人が実在した」を確認する手段は
文字であること、
それは多くの場合
それが書かれた本であること
そして、それこそが
「紙の本が持つ力のひとつ」であること、は
いまやあまりにも「当然」と
思ってしまっていて意識していないせいか、
改めて言われてみると
ハッとするような不思議な驚きがある。

 

 

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