« 漱石の神経衰弱と狂気がもたらしたもの | トップページ | 翅(はね)を食い合うGの研究者 »

2024年9月15日 (日)

「宇宙思考」の3ステップ

(全体の目次はこちら


「宇宙思考」の3ステップ

- 正誤も価値も視点に依存 -

 

天文物理学者BossBさんを知ったのは
音楽が流れるクラブでサイエンスを体感する
ちょっと挑戦的なイベント
夜学/Naked Singularities04
で、だった。

低音が鳴り響くクラブの音楽をバックに
ワームホールやらブラックホールやら
マルチバースやら次元やら、
そんな話を専門の講師を招いて
大真面目にやる、という不思議な空間。
その中の講師のひとりがBossBさんだった。

天文物理学者BossB (著)
宇宙思考

宇宙を知れば、視点が増える
視点が増えれば、モノゴトの本質が見えてくる
かんき出版

(書名または表紙画像をクリックすると
 別タブでAmazon該当ページに。
 以下、水色部は本からの引用)

という本も書いている。
その「はじめに」に

天文物理学者BossBが誕生したのは、
2020年秋、コロナ禍、
それまで継続してきた
社会活動ができなくなり、
TikTokを中心にSNSで、
宇宙と愛と平和のメッセージの発信を
始めた瞬間です。

とあるように、コロナ禍での
SNSでの発信がその誕生には
大きく関わっていたようだ。

上記イベントのトークでも
強烈な個性を放っていたが
信州大学工学部准教授という顔も持つ。

そんなBossBさんが
専門の天文物理学について語っているこの本、
ちょっとユニークなのは、
宇宙、量子、次元、光速、ブラックホール
などなど、そういった分野への質問に
学者として丁寧に答えながらも、
各節末に「宇宙思考」なるコラム欄を設け、
物理学の発展の歴史を絡めながら
質問している若い読者に向けて
ポジティブな思考につながるメッセージを
多数発信していることだ。

その発想のベースとなる
「宇宙思考」の3ステップは

(1) 視点に限られたことしか
  見ることができない
(2) 新しい視点、多視点で見え始める
(3) 視点を選び、未来を創る

どれもシンプルで、それ自体は
新しいことでも特異なことでもない。

でも、この3ステップを通して眺めることで
物理学発展の歴史を大きく俯瞰できること、
そしてそれは、物理学の世界に限らず、
人間社会における常識や価値観、
生き方そのものの見つめ方にも
大きく活かせることを、
改めて、まさに視点を変えながら
繰り返し説いている。


科学的知識(科学)
間違っている可能性を許容し、
反証を歓迎し、
動的に常に変化していくものです。

と述べた後、半ページ後ろでは、
主語の「科学」を「常識」に入れ替えて

常識も、
間違っている可能性を許容し、
反証を歓迎し、
動的に常に変化していくもので
あるべきです。

と述べている。
ひとつの視点からの正誤や価値を
絶対的なものとしない柔軟性が
「別な視点から見れば」のひと言で
軽やかに生まれてくる。

BossBさん自身

宇宙を知れば知るほど、
周りの人々の輝きも見えてきました。
表面からは見えない、
本質を見る努力をするようになりました。

と言っており

自分の当たり前ではない、
社会の普通ではない領域を
探検してみてください。

違いに出会い、対話してください

と読者に呼びかけている。

それらすべてのメッセージは、
ひと言で言えば、

それぞれの色で輝ける社会を
創っていきたい、

とのBossBさんの熱い思いと
若者への愛のまなざしに支えられている。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

« 漱石の神経衰弱と狂気がもたらしたもの | トップページ | 翅(はね)を食い合うGの研究者 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

言葉」カテゴリの記事

科学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 漱石の神経衰弱と狂気がもたらしたもの | トップページ | 翅(はね)を食い合うGの研究者 »

最近のトラックバック

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ