小澤征爾さんのリズム感
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小澤征爾さんのリズム感
- 文章のリズムと音楽のリズム -
指揮者の小澤征爾さんが、
2024年2月6日、88歳で亡くなった。
恩師の斎藤秀雄の名を冠する
サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を
創設した指揮者の秋山和慶さんが
「本当の兄のように」慕った
小澤さんとの日々を
2024年2月11日の朝日新聞
の記事で語っているが、
その中に、こんな言葉がある。
やはりあのリズム感、
そして瞬発力です。
どこをちょっと緩めようとか、
ぐっと持ち上げようとか、
そうしたペース配分が
すごく上手だった。
「小澤さんの音楽の特徴はリズム感」
この記事を読んで思い出した本がある。
小澤征爾, 村上春樹 (著)
小澤征爾さんと、音楽について話をする
新潮社
(書名たは表紙画像をクリックすると
別タブでAmazon該当ページに。
以下、水色部は本からの引用)
村上春樹さんとの対談を記録した
単行本で370ページを越える
ちょっと厚めの本だ。
その中に
リズムに関してこんなやりとりがある。
村上春樹さんが、文章を書く方法を
音楽から学んだ、と言うシーン。
何から書き方を学んだかというと、
音楽から学んだんです。
それで、
いちばん何が大事かっていうと、
リズムですよね。
リズムがないと、
そんなもの誰も読まないんです。
前に前にと読み手を送っていく
内在的な律動感というか……。
機械のマニュアルブックが
リズムのない文章の典型だ、
と例を挙げなら、
文章のリズムについて、
村上さんは丁寧に説明を続ける。
センテンスの組み合わせ、
パラグラフの組み合わせ、
硬軟・軽重の組み合わせ、
均衡と不均衡の組み合わせ、
句読点の組み合わせ、
トーンの組み合わせによって
リズムが出てきます。
ポリリズムと言って
いいかもしれない。
音楽と同じです。
耳が良くないと、
これができないんです。
文章のリズムについての
一連の説明を聞いたあとの
小澤さんの言葉がコレ。
僕は知らなかったな。
どういうことなのか
まだよくわからない。
2度見、どころか3度見するくらい
びっくりしてしまった。
あれほど音楽のリズムに敏感な人が
文章にはそれを感じていないなんて。
逆に、小澤さんほどの人が
感じていないのだとすると、
私が文章に感じているものは単なる幻!?
と疑ってしまうほど。
村上さんの言う
「文章で大事なのはリズム」
にはいたく賛同できるものの、
小澤さんの言葉を聞いて以来、
音楽に感じるリズムとは
実は別なものなのかも、
とも思うようになっている。
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