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2023年5月21日 (日)

「世界、問題集かよ」

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「世界、問題集かよ」

- どうしてそういうことが気になるの? -

 

「哲学対話」を幅広く実践している
永井玲衣さんのエッセイ

永井玲衣 (著)
水中の哲学者たち
晶文社

(以下水色部、本からの引用)

からの話、
前回に引き続きもう少し続けたい。

メモとして残しておきたい言葉の
羅列になってしまうが・・・

(1) 不自由

「わたしたちは、
 できるはずのことが
 できないときに
 不自由を感じるんです」

社会人向けの哲学対話の中での
ある人の発言。
「できるはず」がキーワードだ。
あることのできる・できないって、
どう判断しているのだろう。
つまりは「不自由」って
自分の判断が作り出しているもの、
とも言えるわけだ。

(2) 学生時代の思い出の1シーン

学生時代のバイトで
いやなことがあった帰り道、
遠く遠く遠くの知らないまちで
花火が上がっているのが、
ビルの隙間からほんの少しだけ
目に入ったときのことを思い出す。

すごくきれいで、圧倒的で、華やか。
でもその花火は、
わたしのものではない。

わたしの手からすり抜けて、
どこか知らないひとのために
打ち上がっている。

わたしは疲れた身体をひきずって、
誰もいない暗い道を
うつむき歩きながら、
遠い花火の音を聞いている

全体を通して
こういう小さなエピソードの挿入に
独特な味がある。
唐突なのに違和感がない不思議。

(3) 愛おしくない!

「いのちはかけがえがなく愛おしい」
と言いたいわけではない。
むしろ満員電車などで
ひとびとと身を寄せあうとき、
誰のことも愛おしくないと思う

うまい!

(4) 友人の鋭いひと言

「世界、問題集かよ」
哲学科の友たちのつぶやきだ。

学生時代の、こういうことを
ひと言で言い切る友人の言葉は
いつまでも心に残るものだ。
まさに世界は問題集だが、
歳をとって広く見廻すようになると
同時にそれは解答集でもある気がする

(5) ひとそれぞれ、で終わりたくない

わたしは普遍性と同時に
独自性を愛する。

そして、哲学の輪でもこれが
ゆるされるものであってほしいと願う。
だからといって
「これか真理なんです!」と
突っぱねられても難しいし、
ひとそれぞれで面白いですねと
終わっても残念だ

「ひとそれぞれで面白いですねと
 終わっても残念だ」
まさにそう。
これで終わったらちっとも「面白く」ない。
「ひとそれぞれ」を面白く楽しむための
ひとつの方法でもあるだろう。哲学対話。

(6) どうして気になるの?

質問:
「偉いとはどういうことか?」
回答:
どうしてこういうことが
 気になるのですか?

一般の方の質問に、
東大の哲学教授である
梶谷真司先生が回答したもの。

質問に質問返し、の是非はともかく
どうしてそういうことが気になるのか、
まさにそれを考えること自体が
哲学の出発点なのだろう。

(7) 待ちきれずに封を切る

欲しかった本を手に入れると、
あまりの快感に、
あえて雑に読んでしまう


ろくに味わいもしない
スナック菓子みたいに、
ぽりぽりと消費してしまうのだ。

丁寧に一ページずつ
味わって読みたいのに、
呼吸を荒くして、
横断歩道の中央分離帯や、
ホームのベンチなどで
そそくさと読み終えてしまう。

帰りの電車の中で、
買ったCDのフィルムを
息せき切って
剥がしてしまう人みたいだ。

買ったCDのフィルムを
電車の中で息せき切って
剥がしてしまった経験があるからか、
妙に言葉に説得力がある。

まさに丁寧に楽しみたいのに。

 

本から気になった言葉を
ランダムに並べてみた。

この本独特の「不思議な読後感」は、
こういった言葉の羅列では
表現できないことを
わかってはいるのだけれど。

 

 

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