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2023年1月 1日 (日)

美しい物はどこから生れるか

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美しい物はどこから生れるか

- 河井寛次郎の本の「序」 -

 

2023年が明けた。新年、
新たな気分で背筋を伸ばしたいときは
名文を読む、というのもいいものだ。

人間国宝や文化勲章に推挙されても
それに応じることなく、一陶工として
独自の陶芸美の世界を切り拓いた
河井寛次郎。

河井寛次郎 (著)
火の誓い
講談社文芸文庫

(以下水色部、本からの引用)

は、河井寛次郎が
昭和6年から28年くらいにかけて
書いた文章を集めたものだが、
その「序」がほんとうにカッコいい。

新年、まさに「声に出して読みたい」
日本語だ。短いので紹介したい。

昭和28年秋に書かれたもののようだが
約70年前を感じせない勢いがある。

ここに集めた一連の章句は、
色々な作物の裡に隠されている
背後のものを求めての
私の歩みの一部である。

と同時に、
美しい物はどこから生れるか
という事を見せられてきたこれらは
その内の僅かであるが
その実例でもある。

材料と技術とさえあれば、
どこでも美しい物が出来る
とでも思うならば、
それは間違い
であると思う。

焼き物を中心に、
作品に出会い、人と出会い、
各地の窯場を訪問した河井さんが
見たもの、聞いたものを
丁寧に綴った本文を読むと
河井さんが何に「美しさ」を見ているのか、
感じているのか、が
読者にじんわりと伝わってくる。 

人は物の最後の効果にだけ
熱心になりがちである


そして物からは
最後の結果に打たれるものだと
錯誤しがちである。

しかし実は、直接に物とは縁遠い
背後のものに
一番打たれているのだ
という事の
これは報告でもある。

「よい物を作りたいならば、
 それに相応する暮しに帰るのが
 近道ではないか」
という浜田庄司の言葉も
本文にでてくる。

材料と技術とさえあれば、
美しい物ができるわけではない。
美しいものを作り出す「背後のもの」とは
なんだろう。

もちろんそれは作者の暮しに
おおきく関係するものだけれど、
ひと言で表現することは難しい。

「最後の効果だけ」でなく、
「背後のもの」を感じる豊かさ。

勢いのある「序」は、たった1ページで
読者を本文に引き込んでしまう。

 

 

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