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2022年7月10日 (日)

辰野金吾と曽禰達蔵

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辰野金吾と曽禰達蔵

- 東京・丸の内の雰囲気を作ったのは -

 

佐賀県唐津市の旧大島邸のところでみかけた
案内板のこの文言

唐津藩の英語学校、
耐恒寮(たいこうりょう)において、
東京駅を設計した
辰野金吾(たつのきんご)
同じく著名な建築家である
曽禰達蔵(そねたつぞう)らとともに、
後の蔵相、首相を務めた
高橋是清の薫陶を受け、
・・・・

をきっかけに、先生として赴任した
高橋是清のことを調べていたら
数奇な人生に魅了されてしまい
前回までに
3回も書いてしまった。

なんとか唐津赴任までを紹介できたので、
今度は生徒のほうに目を遣りたい。

前も書いた通り、
耐恒寮(たいこうりょう)で出会ったとき、
教師 高橋是清 18歳
生徒 辰野金吾 18歳
生徒 曽禰達蔵 19歳

この年令構成を見ただけでも
興味は深まるばかりだ。

 

さて、唐津観光に戻りながら
生徒ふたりについて追ってみたい。

まずは、
今は辰野金吾記念館となっている 
旧唐津銀行本店を訪問した。

P5011870s

明治45年に竣工したレンガ造りで、
設計は田中実だが、
師である辰野金吾が監修したと言われている。

この建物は元銀行だったので、
1階はこんな様子。

P5011803s

木製カウンターと
飾り格子が美しく残されているが、
もちろん今は銀行としては
機能していない。

2階には、貴賓室

P5011839s

がそのまま残っていたりするが、
それ以外のエリアは、
辰野金吾記念館としての
展示スペースになっている。

2階入り口には、
「現存する辰野金吾建築物」
の一覧があり、
現在も多くの建物が
現役で活躍していることがよくわかる。

P5011806s

最近の話題としては
「2024年に発行される
 新一万円札の裏側に描かれる
 東京駅丸の内駅舎
 大正時代を代表するこの名建築を
 設計したのが建築家の辰野金吾だ」

新一万円札の図柄
辰野設計の東京駅が採用されたことが、
大きく宣伝されている。

 

辰野金吾は1854年、唐津城下に生まれる。
1871年唐津藩の英語学校耐恒寮で
高橋是清に感化され、
1873年工部省工学寮
(現在の東京大学建築学科)に入学。
英国人建築家ジョサイア・コンドル
教えを受けて首席で卒業。

その後
1881年25歳でロンドン大学に留学。
帰国後は
工部大学校教授、
新設の工科大学の教授の後、学長。
さらに建築学会会長等を歴任し、
日本の近代建築学会の中心的存在となる。

東京駅の他、入り口にあるように
多くの建物が現存しているが、
誰もが知っているものには、
日本銀行本館もある。

P5011841s

他にも辰野作品の模型が
いくつも並んでいる。

P5011813s
P5011815s


一方、同じく耐恒寮で
高橋是清に感化された生徒に
曽禰達蔵がいた。

同郷の辰野金吾とともに
ジョサイア・コンドルに学び、
工部大学校(現東京大学工学部)を卒業後、
三菱社に入社。

ちなみに、
辰野金吾 1854年生まれ
曽禰達蔵 1853年生まれ

に対して、師の
ジョサイア・コンドル 1852年生まれ
と、これまた若い若い先生だ。

このジョサイア・コンドルと
曽禰達蔵のコンビが
「一丁ロンドン」と呼ばれる
東京丸の内のオフィスビル街
基礎を築いていく。

曽禰達蔵の代表的な作品には
他にも
慶應義塾創立50周年記念図書館
東京海上ビルディング
などがある。

 

今、日本のオフィス街を見回したとき、
東京駅と丸の内オフィス街の
組合せが作り出す雰囲気

ほんとうに独特だ。

あの雰囲気を作り出すのに
唐津藩の小さな藩校、耐恒寮で出会った
辰野金吾と曽禰達蔵が
大きく、大きく関わっていた。

そしてその耐恒寮で、
建築家になる前の若い二人に、
東京に出て、さらに世界に羽ばたく
動機を与えた18歳の教師高橋是清。

運命とか、偶然とか、教育とか、出会いとか
歴史の面白さに改めてワクワクした
唐津訪問だった。

 

<おまけ>
最後に、唐津で出会った人々についての
棒年表を添えておきたい。

* 棒の左端の数字は生年
* 棒の右端の数字は享年
  (死んだときの満年齢)
* 棒右欄外は氏名
* 棒の色
  60歳までは20年区切り
     0-20歳  緑色
    20-40歳  青色
    40-60歳  黄色
    60歳以上 紫色

* 赤線は、耐恒寮での出会いがあった
  明治4年。

師弟関係でありながら、
師(高橋是清、ジョサイア・コンドル)と
弟子(辰野金吾、曽禰達蔵)が
まさに同年代であることが
よりよくわかる。
(図はクリックすると拡大表示されます)

Karatsubg

 

 

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