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2022年2月13日 (日)

「原因」なのか「結果」なのか

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「原因」なのか「結果」なのか

- 染められるのならば、からの発想へ -

 

山本 健人 (著)
すばらしい人体
あなたの体をめぐる知的冒険
ダイヤモンド社

(以下水色部、本からの引用)

から

* エピジェネティクス
* 深部感覚と白衣の色
* 痛みの原因は体を守ってくれてもいる

について紹介したが、
今日は病気の原因についての
重要な発見について
キーワードを残しておきたい。

かつての人類にとって、
病気の原因は、体液の乱れであるとか、
有毒な瘴気(しょうき)といった
実態の確認できない存在であった

17世紀に目に見えない
微生物の存在が知られても、
それが人体に入り込んで
病気の原因になることは
長らく知られていなかった。

その事実を明らかにしたのが、
ドイツのロベルト・コッホである。

コッホは、

仕事の合間を縫い、
妻からもらった顕微鏡を使って
熱心に研究を行った。

病気にかかった人の組織を観察し、
その中に特徴的な細菌を
次々と見つけたのだ。

だが、病気のある臓器に
細菌が存在するだけでは、
それが「原因」なのか
「結果」なのかを判別できない

「原因」なのか
「結果」なのかを判別するには
どんな方法があるだろう?

彼は、
寒天で液体を固めてつくった
「固形培地」を発明。

そこで、一種類の細菌を培養して増やし、
それを動物に感染させ、
病気を引き起こすかどうかを確認した。

そうして世界で初めて
「細菌が病気の原因になること」を
示した
のだ。

1905年、ノーベル医学生理学賞を
受賞したコッホの理論は
「コッホの四原則」として広く知られている。

ある微生物が病気の原因と
定義するために必要な条件
は、

1.病気にかかったすべての個体で
 特定の微生物が見出され、
 健常な個体からは見出されないこと。

2.その微生物は純粋培養で
 育てられること。

3.培養したその微生物を
 健常な個体に感染させると、
 同じ病気を引き起こせること。

4.感染させた個体から
 再び得られた微生物が、
 もとの微生物と同一であること。

病気の原因となる細菌が存在する。
その細菌を観察するため、
当時、さまざまな色素が使われていた。

コッホは細菌を観察するため、
さまざまな色素を用いて
組織を染色した


特定の細菌のみを狙って
染められる色素があれば、
細菌の存在を容易に確認できるからだ。

こうした手法は、コッホ以前から
さまざまな細菌学者が行っており、
よりよい染色法が模索されてきた。

「細菌を染められる」
そこに独創的な着想を得たのが
ドイツの医師パウル・エールリヒだ。

特定の細菌を染められるならば、
化学物質で特定の細菌を
殺すこともできるのではないか

なんという発想だろう!

彼は「サルバルサン」という
梅毒の原因菌を殺す抗菌薬を
世界で最初に実用化。
1908年ノーベル医学生理学賞を
受賞している。

サルパルサンの発明は、
「病気を根治させる薬」という
概念そのものを初めて生み出した
点で、
医学の歴史上、重要な意味を持った。

ということになるらしい。

それにしても、
「特定の細菌を染められるのならば」
からの発想にはほんとうに驚かされる。
柔軟な発想はまさに世界を広げてくれる。

 

 

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