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2022年2月20日 (日)

『傷はぜったい消毒するな』

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『傷はぜったい消毒するな』

- 13年後に出版された本の内容 -

 

「傷はぜったい消毒するな」
という挑発的な題名の本が出版されたのは
いまから13年前の2009年。

夏井 睦 (著)
傷はぜったい消毒するな
生態系としての皮膚の科学
光文社新書

(以下緑色部、本からの引用)

傷治療の常識だった「消毒して乾かす」
という治療方法を真っ向から否定する
夏井さん提唱の
「傷の湿潤(しつじゅん)治療」

「傷を消毒しない、傷を乾かさない」
という二つの原則を守る
だけで、
驚くほど早く、しかも痛くなく
傷が治ってしまうのである。

治療を受けた患者さんも驚くが、
一番驚いているのは
治療をしている当の医師、
という治療である。

夏井さんは、

さまざまな面で
発達を続ける現代医学の中で、
傷の治療の分野だけが
19世紀の治療のままであり、
そのことに誰も気がついて
いなかったのである。

と、盲目的に繰り返されてきた
「消毒して乾かす」という治療方法の
問題点を様々な角度から検証。

消毒に始まり消毒に終わる、
といえるくらい、
何をするにも消毒が当たり前だった
医療現場に、

消毒薬には
人間の細胞膜タンパクと
細菌の細胞膜タンパクの
区別がつかない

ため、消毒薬が
人間の細胞膜を破壊してしまう
という視点を導入。

そして、傷口の

ジュクジュクと出てくる
滲出(しんしゅつ)液は
細胞成長因子と呼ばれる物質を含み
その物質は傷を治すための成分

という研究結果を尊重。
「ジュクジュク」のまま、の
有効性を説いた。

その結果、到達したのが
「傷を消毒しない、傷を乾かさない」という
湿潤(しつじゅん)治療。
提唱している夏井さん自身、本書のことを

医学界に
一方的に喧嘩を売りまくる本
書かせていただいた

と、あとがきに記している。

それから12年、
2021年に出版された

山本 健人 (著)
すばらしい人体
あなたの体をめぐる知的冒険
ダイヤモンド社

(以下水色部、本からの引用)

には、傷治療について
こう書いてある。

近年は、消毒液が
傷の治りを悪くすることがわかり、
よほどのケースを除いて
傷は消毒しないのが
当たり前になった

なんということだろう。
医学界に喧嘩を売った内容が、
わずか12年で、
いまや「当たり前」になっているようだ。

長年の習慣から「傷は消毒するもの」と
考える人は多いので、
「せっかく病院に行ったのに
消毒をしてもらえなかった」と
不満を抱く人はいるかもしれないが、
軽い傷なら「消毒しない」ほうが正解だ。

幸運にも、
私自身は病院とは縁遠い生活ゆえ
実際問題としていつごろから
「消毒しない」が
「当たり前」になったのかは
よくわからないが、
夏井さんも喜んでいることだろう。

消毒液「赤チン」のあった
昭和の小学校の保健室がなつかしい。

 

 

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