抜き打ちテストのパラドックス
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抜き打ちテストのパラドックス
- どこが間違っているの? -
「抜き打ちテストのパラドックス」
とか
「死刑囚のパラドックス」
とか
「プレゼントの箱のパラドックス」
とか、問題文によって
その呼び名は異なるようだが、
内容的には全く同じ、
ある問題をご存知だろうか。
1940年代にはすでに知られていた
かなり古い歴史のあるものらしい。
初めて聞く、という方のために
代表選手として
「抜き打ちテストのパラドックス」
を紹介させていただきたい。
問題は実にシンプル。
1.来週の月曜日から金曜日のどこかで
抜き打ちテストを実施する。
2.抜き打ちテストとは、実施日を
前日に予測することができない
テストのこと。
それを聞いた学生Aは
「先生の言う1と2を満たす形で
抜き打ちテストを実施することは
不可能である」
と結論づけた。
という話だ。
どうしてそういう結論になるのか。
学生の推論のロジックはこうだ。
実施することはできない。
なぜなら、
木曜日までに実施されなかった時点で、
テストは金曜日ということが
確定してしまい、2.を満たす
抜き打ちテストにならないからだ。
金曜日に実施できないのだから、
同様の論理で
木曜日にも実施できない。
水曜日までに実施されなかった時点で、
「金曜日はありえない、
だったら木曜日」と予測できてしまい
抜き打ちテストにならないからだ。
同様に繰り返すと、
水曜日も火曜日も月曜日も
実施できないことになる」
「死刑囚のパラドックス」
では死刑執行日を、
「プレゼントの箱のパラドックス」
ではプレゼントの入っている箱の番号を、
抜き打ちテストの曜日の代わりに
使っているだけで、
どれも全く同じロジックで
「執行日に期限があるなら」
「期限までには執行できない」し、
「プレゼントの箱が有限個なら」
「どの箱にも入れられない」
という結論になる。
でも、最初の抜き打ちテストの例で
考えればすぐにわかる通り、
「来週中に、
(前日に予測することができない)
抜き打ちテストを実施すること」は、
実際には明らかに可能だ。
「実施できない」と
結論づけた学生のロジックは
いったいどこが間違っているのだろう?
シンプルなことなのに
いまだにうまく説明できない、
長く抱えたままになっている
宿題のひとつだ。
うまい説明をお持ちの方、
ぜひ教えて下さい。
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