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2021年8月15日 (日)

「ノヴェンバー・ステップス」初演前のリハーサル

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「ノヴェンバー・ステップス」初演前のリハーサル

- 絶望的な雰囲気の中で -

 

前回、
「相寄る魂」が作った一冊 と題して

立花隆 (著)
「武満徹・音楽創造への旅」
文藝春秋

(以下水色部、本からの引用)

の「おわりに」からのエピソードを
紹介させていただいた。
「おわりに」は、著者立花さん自身の
ことについての話だったが、
本文のほうは書名の通り、
作曲家・武満徹さんを立花さんらしく
ガッツリ取材した内容になっている。

約百時間にも及んだ
インタビューに支えられた内容は、
様々な角度から武満さんご自身と
武満さんの交友関係、
武満さんの作品(音楽)に
光をあてている。

特に武満さんの代表作のひとつ
「ノヴェンバー・ステップス」
に関する記述は多く、
なにも知らずに聞くだけでも
衝撃的な作品なのに、
本を読むことで、さらなる陰影を伴って
より立体的に聞こえてくるようになる。

「ノヴェンバー・ステップス」って何?
という方も
もちろんいらっしゃることだろう。

もしご興味があれば
ぜひ下記をご覧になって見て下さい。
尺八、琵琶とオーケストラのための作品。
約23分。

指揮:岩城宏之
   NHK交響楽団
尺八:横山勝也
琵琶:鶴田錦史
録音:1984年6月13日、東京文化会館

音声にノイズはあるもの
尺八の横山さん、琵琶の鶴田さんをはじめ
演奏の様子がわかる動画は貴重だ。

 

CDで聴くなら

指揮:小澤征爾
   サイトウ・キネン・オーケストラ
尺八:横山勝也
琵琶:鶴田錦史
録音:1989年9月15日、ベルリン

がお薦め。
動画はないがYouTubeでも
その録音を聴くことができる。
約19分。
こちらは音もかなり鮮明だ。

 

「ノヴェンバー・ステップス」は、
ニューヨーク・フィルの創立125周年を
記念しての委嘱作品だった。

1967年初演。
作品としても高く評価され
のちに世界中で演奏されることになる
この曲も、初演前の
リハーサルの様子は読むのも辛い。

作曲者、武満さんの言葉。

いやもう最初はひどかったです。
まず尺八が出てきたとたんに、
舞台の上にいた人の半分ぐらいが
笑い出しちゃって、
舞台から飛びおりて客席のほうにまで
ころげまわっていったのがいた。
 (中略)
とてもじゃないけど、
こんなに不真面目なやつらと
やれるかと思いました


それで小澤征爾に、
ぼくはもうイヤだ、
作曲料も何もらない、
キャンセルしたいと・・・

 

尺八、横山さんの言葉も

なんか心が通いあうという感じに
なれなかったですね。
みんな演奏はうまいですよ。
それこそどんな曲でも鼻歌まじりで
弾いてしまうくらいうまい。
うまいけれど、
音楽やるのはメシの種という感じで、
真剣みが
あんまり感じられなかった
ですね

 

琵琶、鶴田さんの言葉も

リハーサル中に、
なんかおしゃべりしたり、
ちがうことをやったりしていて、
自分のやり番のときだけ指示された音を
忠実に出す。

それが終ると
また勝手なことをしている。

人がやっているときでも
その音を真剣に聞こうとする態度に
欠けてるんですね。

ああいうのは
いやだなと思いました


だから、
日本人の演奏はあんたがたと
ちがうんだという気持ちで、
いつもピシッとしていました

三人が三人ともこう思うような
ある意味絶望的な雰囲気の中で
あんな難曲のリハーサルが
よくできたものだ。

三人をガッカリさせてしまった
オーケストラを前に、
指揮者の小澤征爾さんは
いったいどんな態度をとったのか?

この話、次回に続けたい。

 

 

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