2020年 夏の小語録
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2020年 夏の小語録
- わかりやすさの過剰摂取で -
コロナウイルスにより
かつて経験したことのない
夏を過ごすことになった2020年。
いわゆる三密を意識的に避けた生活も
すでに半年にも及んでいるせいか、
夏祭りや花火、繁華街や旅先での
人があふれかえっている過去の映像を見ると
妙に遠い世界のことのように感じてしまう。
というわけで、
実際にはあんなに暑かったのに
なぜか夏を実感しないまま
9月に入ってしまった、という感じだ。
涼しくなる前に、この夏に目にした言葉から
印象に残ったものを
いくつかここに留めておきたい。
(1) わかりやすさの過剰摂取
ドイツ在住の雨宮紫苑さんのこの記事。
わたしを納得させてみろ」という
尊大なクレーム精神は、現代人の病。
というタイトルに
みごとに内容が集約されているが、
わたしたちは考える努力をしなくなった」
は、グサリと突き刺さる言葉だ。
わかりやすい説明を人に求めるのではなく
「自分で考えることの楽しさ、おもしろさ」
を、もう少し広められないものだろうか?
ここにも書いた通り、
我々は無痛(わかりやすさ)を求めるがあまり
「欲望」が「よろこび」を奪っている
面があることを
すっかり忘れてしまっている。
目を覚ます路はありやなしや。
(2) 蓋(ふた)をする
2020年8月24日に、佐藤栄作氏が持つ
連続在職日数の2798日を超え、
最長政権の記録を更新した安倍首相は
その4日後の8月28日
持病が悪化したことを理由に
総理大臣を辞任する意向を明らかにした。
さまざまな問題が表面化しながらも
長期化した政権の奇妙さについては
「朝日川柳」に掲載されていた
井原研吾さんの川柳が、
たった17文字で表現しきっている。
(3) 症状でググるな
この歌詞、
誰でも思い当たるフシがあるだろう。
「咳」と「病気」でググれば
お前はすでに結核だ。
少しでも安心できるネタを探して
検索しているのに、病気関連の場合、
それをやると
なぜか心配ネタが増えるばかりだ。
(4) 生きがいって、
大好きなアイリッシュバンド
Dé Domhnaigh(ジェ・ドゥーナ)で
フィドルを演奏している大谷舞さんの言葉。
生きた心地がしない時ほど強く感じる。
「生きた心地がしない」ほどの時間を
過ごせれば、おそらくそこに
生きがいは必要ない気がするが、
いずれにせよ、
何ものにも代えがたい時間を
体験できた人のみが口にできる言葉だ。
そういう経験は、
簡単に手に入るものではないけれど
だからこそそれは貴重で愛おしい。
そんな心豊かな奏者による
素晴らしい演奏を1セットどうぞ。
リンクをひとつだけ貼っておきます。
[ polka set ]
(クリックするとYouTubeに移って
再生されます)
(5) 浜松の日本歴代最高気温
2020年8月17日、静岡県浜松市で
41.1度が記録された。
これは2018年に埼玉県熊谷市で記録された
日本歴代最高気温に並ぶ。
その翌日のTwitterでみかけたつぶやき。
リツイートの繰り返しで原作者不明。
浜松、熊谷の関係者限定ネタではあるけれど。
浜松市民が騒いでいるようだが、
君たちには「うなぎ」も「餃子」も
「YAMAHA」もあるじゃないか。
熊谷から日本歴代最高気温を奪ったら
何が残るか考えてやったほうがいい。
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