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2020年7月 5日 (日)

タテ書きは雨、ヨコ書きは川

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タテ書きは雨、ヨコ書きは川

- タテ書きに関する2題 -

 

世界には数千の言語があるが、
使われている文字の種類は
わずか40種類ほどしかない
と言う話を
以前ここに書いた。

文字の中には、
上下左右に決まった向きもなく、
左利きは左右反転した文字を書く
マンヤン文字
のような特殊なものもあって、
文字そのものへの興味も尽きないが、
それらの文字をタテ書きにするのか、
あるいはヨコ書きにするのか、という
いわゆる「書字方向」もおもしろい。

タテにもヨコにも書ける言語というのは
いったいどれくらいあるのだろうか?

 

言うまでもなく日本語はそのひとつだが、
タテ書きの新聞記事

「タテ書き絶滅危惧?」

というテーマに3名の方が寄稿していた。

その中に、2箇所、
たいへん興味深い記述があったので、
記録を兼ねて紹介したい。
(以下水色部は
 朝日新聞
 2020年7月2日の耕論
 「タテ書き絶滅危惧?」

 からの引用)

 

ひとつ目は、
歌人 井上法子さんの言葉。

井上さんは、
タテ書きとヨコ書きのイメージを
実に味わい深い言葉で表現している。

私は、言葉を水のように
感じることが多いのですか、
タテ書きを例えるなら、
それは「雨」のイメージです


雨が空から降り注ぐように、
タテ書きの言葉は
重力に吸い込まれてゆきます。

その後、身体の内側からじっとりと
濡れていく感じに近い
のです。

タテ書きは「雨」。

ではヨコ書きは?

これに対し、ヨコ書きの言葉は
「川」のように感じます

言葉に浮力があり、
目に飛び込んでくる。
そこで意味を放ち、
すぐ横に流れ去っていく感じです。

同じように自分の身体を水
でひたす行為ではあっても、
ヨコ書きは疾走感があって、
濡れるというより浴びるような
感覚に近い
と感じます。

だからきっと、ヨコ書きのほうが
相性がいい作品というのも
あるのではと思います。

さすが歌人。
その感性には頭が下がる。

ヨコ書きを
「そこで意味を放ち、
 すぐ横に流れ去っていく感じ」とは。

ツイッター(Twitter)のタイムライン(TL)を
見ているとまさにそんな表現がピッタリだ。

ヨコ書きを浴びるような感覚といい、
タテ書きを身体の内側から
じっとりと濡れていく感じ、と
表現できるなんて。

記録しておきたい名言だと思う。

 

もうひとつは
日本語学者 屋名池(やないけ)誠さん
の言葉。

日本の新聞はまだタテ書きのままだが
韓国では90年代に
新聞も全てヨコ書きに変わったという。
そのうえで、

タテ書きが根強く残りそうなのが、
漫画です。

日本の漫画は右から左へ読み進め、
時間もそう流れます。
ひとコマ内に2人が描かれていたら、
先に話す人物は
右側にいる必要がある。

書字方向が構図と深く
かかわっている
ため、
海外の翻訳版も日本と同じ
右から左へ読んでいくスタイルで
発刊されている
のです。

タテ書きが未来も生き残るかどうか、
カギを選っているのは、
漫画なのかもしれません。

いまや日本の輸出文化を代表する漫画。
セリフは翻訳するにしても
構図と流れの関係から
右から左へ読んでいくスタイルは
変えようがないわけか。
ページ構成も右から左。

左から右への本しか目にしていない人たちに
そのあたり、違和感はないのだろうか?
機会があれば、ぜひ現地の人に
感想を聞いてみたい。

「内容がおもしろければ、
 右から左だろうが、
 左から右だろうが、
 関係ないよ」
という感じなのだろうか?

 

 

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コメント

後藤です。時々見させて頂いています。ずばり言います。ブログむなしくないすか。これほどの中身の濃い文章、何の反響も得られず(と想像しています。)。私は、今ブログの書籍化に向けていろいろあがいています。何とかなりそうです、大きな出費があるでしょうが。
実は、それに際してあなたさまにご相談できればと思っていましたが、snsなるものはあまり親密にならないのが礼儀のようですね。それで皆さんよくやってるなーと不思議です。
以上

後藤さん、

コメントをありがとうございます。
なんの強制力もないブログを続けていくって、
人によってそのモチベーションは
ほんとうにさまざまなのでしょうね。

いずれせよ楽しくなければ続けられないことは確かなわけで。

私自身も毎回、おおいに楽しみながら書いており、
少なくともむなしいなんて思ったことは一度もありません。

ブログの書籍化とはすごいですね。
すてきな本が出来上がることを心から祈っています。

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