雑誌『Interface』512号 (4)
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雑誌『Interface』512号 (4)
- 農業用センサから脳波計測デバイスまで -
前回から引き続き、
雑誌『Interface』(CQ出版)の
2020年2月号
記念の512号の中身を
見ていく4回目。今日で最終回としたい。
第6章はセンサのまとめ。
第6章 | センサ40+α |
6-1 | 距離画像センサ8+α |
6-2 | 各国のGNSS測位衛星システム8 |
6-3 | 高精度測位対応GNSSモジュール4+α |
6-4 | 高精度衛星測位サービス4+α |
6-5 | 農業用センサ16 |
(CQ出版が公開している
第6章のページへのリンクはこちら)
この章、
センサで何を感知するかはもちろん、
部品名、型名、製造メーカ/販売、
加えて参考購入先までが一覧になっている。
すぐにでも購入して実験できそう、
という意味でまさに実務的な紹介。
例として
6-5 農業用センサ
を見てみよう。
温度 | 湿度 | 土壌水分 | |
土壌EC | 風 | 雨量 | |
水位 | 照度 | CO2 | |
糖度 | 酸素 | 光スペクトル | |
pH | 放射温度 | 害獣 | |
カメラ |
いろいろなセンサが並んでいる。
電気を使って測れるもののオンパレード。
代表的な「温度」で見ても、
熱電対、サーミスタ、半導体式
などがあります。
農業用としてよく使われるのは、
サーミスタと半導体式です。
半導体式では、
MEMS技術の進歩により、
温度以外に湿度、大気圧などを
一緒に測定できるものも出てきました。
MEMS(メムス)とは
「Micro Electro Mechanical Systems」
「微小な電気機械システム」という意味で、
半導体のシリコン基板・ガラス基板・
有機材料などに、機械要素部品の
センサ・アクチュエータ・電子回路などを
ひとまとめにしたミクロンレベル構造を
持つデバイス。
単純なセンサ部だけではなく、
まとまった機能を持つ部品として
提供されているので、
「マイクロマシン」と呼ばれることもある。
第7章と第8章は基本パーツと
もはや基本パーツのひとつとも言える
カメラ・モジュールの紹介なので
目次のみを。
第7章 | 基本パーツ96+α |
7-1 | 基本電子部品16 |
7-2 | マイコンで使えるモータ&ドライバ32 |
7-3 | LEDデバイス32 |
7-4 | 画面表示デバイス16+α |
第8章 | カメラ・モジュール108+α |
8-1 | カメラ・モジュール44 |
8-2 | USBカメラ16+α |
8-3 | カメラ・モジュール用レンズ48+α |
(CQ出版が公開している
第7章のページへのリンクはこちら
第8章のページへのリンクはこちら)
そして最後の第9章では、
生体計測技術を紹介している。
第9章 | 生体計測技術16+α |
9-1 | 脳波計測デバイス4 |
9-2 | 学習用生体信号データセット4+α |
9-3 | 生体信号計測デバイス8+α |
(CQ出版が公開している
第9章のページへのリンクはこちら)
しかも9-1では、なんと
「脳波計測デバイス」の一覧が。
脳波計測デバイスなんて
もちろん使ったことはないし、
これからも使うことはないと思うが
「脳波で猫耳が動く製品necomimiなど、
普及価格帯
脳波デバイスの草分け的存在。
アプリケーションが豊富で、
出来合いのものでも
いろいろ試してみたい人向け」
「無償の開発ツールでも、
集中度、リラックス度、瞬き検出、
感情指標など、
多数のパラメータを取得できるので、
BMIやバイオ・フィードバック応用が容易。
低周波特性が
δ波をカバーしていないため、
深い睡眠の解析には注意が必要」
「NASAやMITでも使用実績がある。
脳波+α波が欲しい人向け。
初代museは
4チャネル脳波のみであったが、
2では脈波や加速度、ジャイロなど、
機能が大幅に追加された。
全体のコスト・パフォーマンスは良好」
などという記述を見ていると
何の目的意識もないのに
おもわず手に取ってみたくなる。
特に次のようなフレーズは
ほんとうに誘惑的だ。
「ハードウェアもソフトウェアも
全てオープンとなっている
生体計測DIYの決定版」
「3Dプリンタで出力できる
ヘッドセット・フレームの
3Dデータも公開されているなど、
ものづくり派向け」
「研究用のエントリ・モデルならこれ」
9章に分けて並べられた
512の技術の一部を、
目次を通して駆け足で眺めてきた。
どんな小さな技術にも、
部品にも、マイクロマシンにも
それぞれに背景となる理論があり
そこには先人の知恵と工夫が
詰め込まれている。
最初から簡単に作られたものは
ひとつもない。
エンジニアにとっては
ワクワクするものであると同時に、
まさに敬意の対象でもある。
あるときは食材であり、
あるときは調理器具であり
またあるときは調理法でもある
これらの技術を使って
いったいどんな料理をつくるのか。
エンジニアの仕事と夢は果てしない。
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