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2019年11月 3日 (日)

徐々に、毎年ひとつずつ

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徐々に、毎年ひとつずつ

- 八千草薫さんの言葉 -

 

2019年10月24日、
八千草薫さんが88歳で亡くなった。

語り継がれるテレビドラマ
「岸辺のアルバム」をはじめ
忘れられない出演作品は多々あるが、
訃報を聞いて最初に思い出したのは
この1ページの小さな記事だった。

週刊誌 週刊朝日 2012年4月6日号。
(以下水色部は記事からの引用)

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「明日に架ける愛」という映画
公開直前のインタービューだが、
この時点ですでに81歳。

今回は、中国残留孤児という
重い過去を背負った役柄だが、
八千草さんが演じると、
独特の軽快さやユーモア、
可愛らしさが加わる

まさにそう。

訃報のあと、八千草さんについては、
「柔らかさに秘めた芯」
「ずっと初々しくて花のよう」
といった言葉と共に
追悼文が寄せられたりしているが、
個人的にはこのユーモア、
「オチャメ」なところが
ほんとうに魅力的だったと思う。

それでいて、

「できあがったものを観ても、
『ああ、もうちょっとできたのにな』
っていつも思うんです。

"後悔"なんて言ったら
監督に対して失礼だから、
"反省"ですかね。

いつまでも、
『私はまだまだだわ』って(笑い)」

と向上心を失うことなく
仕事を続けていたことが、
人を惹きつけ続けていたのだろう。

そしてこの、たった1ページの記事が
忘れられなかったのは
最後の言葉が印象的だったから。

「人間って、いっぺんに
 年を取るわけじゃないでしょ?
 徐々に、毎年ひとつずつ。
 それがいいな、と思います

毎年ひとつずつ。

効率や結果ばかりに
焦点があたりがちな昨今、
資質や努力や経験などと一切関係なく
まさに全員、平等に
かつ、ひとつずつ。

どんな力をもってしても
遅くすることも、
はやくすることも、
一度にふたつ重ねることもできない。

毎年ひとつずつ。

「それがいいな」

を心から感じさせてくれる
そんな女優さんだった。

ご冥福をお祈りします。

 

 

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