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2019年10月20日 (日)

家畜はわずか14種、の謎 (1)

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家畜はわずか14種、の謎 (1)

- 餌の量と成長速度 -

 

世界の富や権力は、
なぜ現在あるような形で
分配されてしまったのか?


なぜほかの形で分配されなかったのか?

たとえば、南北アメリカ大陸の先住民、
アフリカ大陸の人びと、そして
オーストラリア大陸のアポリジニが、
ヨーロッパ系やアジア系の人びとを
殺戮したり、征服したり、
絶滅させるようなことが、
なぜ起こらなかったのだろうか。

こんな壮大なテーマに
真正面からかつ
多角的に取り組んでいる

ジャレド・ダイアモンド(著)
倉骨彰(翻訳)
銃・病原菌・鉄
1万3000年にわたる人類史の謎
草思社文庫

(記事中、水色部は本からの引用)

から、
ここでは
考察の対象となる「1万3000年」について
考えてみたし、
ここでは
年代測定の基礎となる
炭素14による年代測定法について
その問題点とその背景を紹介した。

今日は、人間社会において
欠くべからざるものになっている家畜を、
「野生種の家畜化」の視点から
眺めてみたい。

 

最初に、家畜の有用性を再確認しておこう。

【家畜の有用性】

家畜は、肉や乳製品といった
食料を提供してくれるし、

農業に必要な肥料や、
陸上での輸送運搬手段
物作りに使える皮類
軍事的な動力なども提供してくれる。

また、農耕動物として働き、
鋤をひいてくれるし、
織物のための毛も提供してくれる。

ほかにも、細菌に対する免疫
人びとに植え付けるなど、
本の題名にもなっている
人間社会における「病原菌」の
地域格差を生む背景にもなっており、
その役割と影響力はたいへん大きい。

まさに人間は、さまざまな面で
助けてもらっているわけだが、
この家畜、全世界レベルで眺めてみても
その種類は驚くほど少ない。

詳しくは本に譲るが、
体重45kg以上の大型哺乳類で見てみると
わずか14種しかいないと言う。
種類のみを書くと、

「メジャーな5種」
   1.羊
   2.山羊
   3.牛
   4.豚
   5.馬

「マイナーなな9種」
   6.ヒトコブラクダ
   7.フタコブラクダ
   8.ラマおよびアルパカ
   9.ロバ
  10.トナカイ
  11.水牛
  12.ヤク
  13.パリ牛
  14.ガヤル

全世界で見ても、たったこれだけ。

家畜化の候補となりうる
陸生の大型草食動物は
全世界に147種もいるのに、
どうしてわずか14種だけなのだろう?

たとえば、シマウマについて見ると、
これまでどの民族も
家畜化には成功していない。
どうしてシマウマは
家畜にならないのだろうか?

本では、
「少なくともつぎの6つの理由
 認められる」
と書かれているが、
この理由というのがなかなか興味深い。

「野生種を家畜化する」ためには
どんな問題をクリアする必要があるのか?

家畜化にむけてのキーワードを通して
動物やその生態について考えてみたい。

 

まずは、この問題から。

(1) 【餌の問題】

動物は餌として食べる動植物を
100パーセント
消化吸収するわけではない。

動物の血となり肉となるのは、
通常、動物が消費する餌の
10パーセント
である。
つまり
体重1000ポンド(450キロ)の牛を
育てるには
1万ポンド(4.5トン)の
トウモロコシが必要である。

体重1000ポンドの
肉食動物を育てるには、
10万ポンド(45トン)の
トウモロコシで育てた草食動物が
1万ポンド必要になる
(したがって、大型肉食獣は
 家畜化に向いていない
)。

また、
草食動物や雑食動物であっても、
コアラのように
餌の好き嫌いが偏りすぎていて
牧場での飼育に不向きなものも多い。

 このように肉食哺乳類は、
餌の経済効率が悪いので、
食用目的で家畜化されたものは
皆無である。

これは実にわかりやすい。
草食獣の肉1kgを得るためには、
10kgの草が必要
というわけだ。

肉食獣の肉1kgを得るためには、
10kgの草食獣が必要になり、
10kgの草食獣を育てるためには
100kgの草が必要になる。
つまり
肉食獣の肉1Kgを得るためには、
100kgの草が必要
になってしまう。

このことだけでも、大型肉食獣が
家畜化に向いていない理由はよくわかる。

 

(2) 【成長速度の問題】

成長に時間がかかりすぎる動物は、
家畜化し、育てる意味があまりない。
家畜は速く成長しなければ価値がない

草食性で、
比較的何でも食べ、
肉をたくさんとれるのに、
ゴリラやゾウが家畜化されないのは、
まさに
成長に時間がかかりすぎるから
である。

一人前の大きさになるまで
15年も待たなくてはならない動物を
飼育しようと考える牧場主が
いるだろうか。

アジアには
ゾウを力仕事に使っている人びとが
いるが、彼らは成長した
野生のゾウを捕まえてきて
飼いならして使っている、
ということらしい。

 

家畜の種類が少ない6つの理由、
つまり、家畜化するために
クリアしなければならない6つの問題。
今日は2つ

(1) 【餌の問題】
(2) 【成長速度の問題】

までを挙げた。
残りの4つについては次回、
引き続き考えていきたい。

 

 

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