« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »

2019年10月

2019年10月27日 (日)

家畜はわずか14種、の謎 (2)

(全体の目次はこちら



家畜はわずか14種、の謎 (2)

- 飼育状態では発情しない!? -

 

ジャレド・ダイアモンド(著)
倉骨彰(翻訳)
銃・病原菌・鉄
1万3000年にわたる人類史の謎
草思社文庫

(以下水色部、本からの引用)

を読んで、
家畜となっている大型哺乳類が
世界にわずか14種しかいない謎を
考えていく2回目。

家畜の種類が少ない6つの理由、
つまり、家畜となるために
クリアしなければならない
6つの問題のうち前回

(1) 【餌の問題】
(2) 【成長速度の問題】

までを書いた。
今日は残りの4つについて
引き続き考えていきたい。

 

(3) 【繁殖上の問題】

われわれ人間は、
衆人環視下でのセックスは好まない。
家畜化すれば
価値がありそうな動物のなかにも、
人間の目の前でセックスするのを
好まないものもいる

動物に羞恥心がないとは思わないが、
これだけ読むと「なんのこっちゃ?」
という気がする。
実はコレ、
飼育状態では発情しない種もいる
という意味だ。

チータとビクーニャの例を挙げている。

古代においてはエジプト人やアッシリア人、
近代になってからはインド人が、
野生のチータを飼いならし、
猟犬より優れた狩猟用動物として
珍重していた。

なのに、常時1000頭のチータを飼っていた
ムガール帝国の王族でも
チータの繁殖には成功していない。

現代の生物学者たちでさえ、
動物園でチータの赤ん坊を
誕生させることには、
なんと1960年になるまで
成功していなかったらしい。

野生のチータは、何頭かの雄が
一頭の雌を何日間も追い回す

そういった壮大かつ荒っぽい
求愛行動があってはじめて雌は排卵し、
発情する
ことになるようだ。

つまり、檻の中で飼われていては
求愛行動自体も発情も難しい、
ということのようだ。

 

動物のなかでもっとも上質で軽い
贅沢な毛を提供してくれる
アンデスの野生のラクダ、ビクーニャも

うまく成功すれば
金と名誉の両方が手に入るという
強烈な動機があるにもかかわらず、

捕獲状態で繁殖させる試みは、
これまでのところ
すべて失敗に終わっている、という。

「檻の中」が発情や繁殖に
こんなに大きな影響を与える種も
存在することを知ると、
檻の中でもちゃんと繁殖できる種が
むしろ特別なものなのかも、
とさえ思えてくる。

 

(4) 【気性の問題】

当然ながら、
ある程度以上の大きさの哺乳類は
人を殺す
ことができる。

豚に殺された人もいる。
牛や馬、ラクダに殺された人もいる。
大型動物のなかには、
豚、牛、馬、ラクダよりも気性が荒く、
もっと危険なものもいる。

家畜として理想的と思える動物でも、
たとえば
グリズリー(アメリカヒグマ)のように、
気性が荒く、人間を殺しかねないので
家畜化されなかったものも多い。

これはイメージしやすい理由だ。
クマ、アフリカ水牛、カバなどを
攻撃的で危険な動物の例に挙げている。

(1)餌の問題のところで、
肉食大型哺乳類が家畜にならない理由を
餌の観点から書いたが、
そもそも、気性の荒い肉食獣では、
飼育している人間の方が
食べられてしまう可能性すらあって、
安心して育てられない。

 

(5) 【パニックになりやすい性格の問題】

大型の草食性哺乳類は、
捕食者や人間に対して
それぞれに異なる反応を示す。

動きは素早いのだが、
神経質でびくびくしていて、
危険を感じるや
一目散に駆けはじめるものもいれば、

さほど神経質でなく、
動きものんびりしていて、
危険を感じたら群れを作り、
それが去るまでじっとしていて、
最後の最後になるまで息せき切って
逃げだすようなことを
しない
ものもいる。

<神経質な前者のタイプ>
 シカやレイヨウの仲間の
 草食性哺乳類の大半
 (例外:トナカイ)

<さほど神経質ではない後者のタイプ>
 羊や山羊

と例を挙げている。

神経質なタイプの動物の飼育は、
当然のことながらむずかしい。

彼らは囲いの中に入れられると
パニック状態におちいり、
ショック死してしまうか、
逃げたい一心で死ぬまで柵に
体当たりを繰り返すような
ところがある。

「囲いや檻のなかでも
 平穏に過ごせる性格」も
どの種にも備わっているわけではない。

 

そして最後の6つめ、社会性。
実際に家畜化された大型哺乳類には、
つぎのような社会性がある。

(6) 【序列性のある集団を形成しない問題】

群れをつくって集団で暮らす。

集団内の個体の序列が
はっきりしている。

群れごとのなわばりを持たず、
複数の群れが生活環境を
一部重複しながら共有している
(この種の群れは、
たんなる個体の寄せ集めではなく、
社会組織として機能する)。

そういった集団としての社会性を持つと
人間にとって、
どんなメリットがあるのだろうか?

このように、馬の集団は、
集団内の個体がお互いの序列を
わきまえて行動するので、
同一集団内に複数の成馬が
存在していても、
いざこざを起こさず共存できる。

序列性のある集団を形成する動物は、
人間が頂点に立つことで
集団の序列を引き継ぎ、
動物たちを効率よく支配できるので、
家畜化にはうってつけの動物である 
(こういう動物は、人間が群れに
所属してしまうことで家畜化できる)。

たとえば
家畜として飼われている馬の集団は、
群れを先導する
牝馬に従うのと同じように
人間のあとについて移動する

集団内に存在する序列の上位に
人間が立てるのであれば
それは確かに人間にとって都合がいい。

しかも、
集団間で、なわばり意識が緩ければ
特定サイズの飼育野で、より多くの集団を
飼うことができる。

そういう動物が家畜化され、
人間によって育てられると、
人間を群れの構成員として
記憶するので、
人間が群れの頂点に立つ
ことができるのである。

このような群れをつくって
集団で暮らす動物は
互いの存在に寛容なので、
まとめて飼うことができる。

本能的に集団のリーダーに従って行動し、
人間をリーダーとして記憶するので、
羊飼い(Shepherd:シェパード)や
牧羊犬が御すことも容易である。

また、身を寄せあった
野生での暮らしに慣れているので、
混み合った状態で飼育しても
うまくやっていける。

集団内で、集団間で、
家畜に求める社会性への要求を
家畜になった動物たちはよく満たしている。
単に「群れを作ればいい」といった
単純なものではない。

 

家畜の種類が少ない6つの理由、
つまり、家畜となるために
クリアしなければならない
6つの問題を再度復習してみよう。

 (1) 【餌の問題】
 (2) 【成長速度の問題】
 (3) 【繁殖上の問題】
 (4) 【気性の問題】
 (5) 【パニックになりやすい性格の問題】
 (6) 【序列性のある集団を形成しない問題】

動物を家畜化するためのハードルは
けっこう高いことがよくわかる。

選ばれし14種は、
確かに(1)-(6)をクリアしている。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

 

 

2019年10月20日 (日)

家畜はわずか14種、の謎 (1)

(全体の目次はこちら



家畜はわずか14種、の謎 (1)

- 餌の量と成長速度 -

 

世界の富や権力は、
なぜ現在あるような形で
分配されてしまったのか?


なぜほかの形で分配されなかったのか?

たとえば、南北アメリカ大陸の先住民、
アフリカ大陸の人びと、そして
オーストラリア大陸のアポリジニが、
ヨーロッパ系やアジア系の人びとを
殺戮したり、征服したり、
絶滅させるようなことが、
なぜ起こらなかったのだろうか。

こんな壮大なテーマに
真正面からかつ
多角的に取り組んでいる

ジャレド・ダイアモンド(著)
倉骨彰(翻訳)
銃・病原菌・鉄
1万3000年にわたる人類史の謎
草思社文庫

(記事中、水色部は本からの引用)

から、
ここでは
考察の対象となる「1万3000年」について
考えてみたし、
ここでは
年代測定の基礎となる
炭素14による年代測定法について
その問題点とその背景を紹介した。

今日は、人間社会において
欠くべからざるものになっている家畜を、
「野生種の家畜化」の視点から
眺めてみたい。

 

最初に、家畜の有用性を再確認しておこう。

【家畜の有用性】

家畜は、肉や乳製品といった
食料を提供してくれるし、

農業に必要な肥料や、
陸上での輸送運搬手段
物作りに使える皮類
軍事的な動力なども提供してくれる。

また、農耕動物として働き、
鋤をひいてくれるし、
織物のための毛も提供してくれる。

ほかにも、細菌に対する免疫
人びとに植え付けるなど、
本の題名にもなっている
人間社会における「病原菌」の
地域格差を生む背景にもなっており、
その役割と影響力はたいへん大きい。

まさに人間は、さまざまな面で
助けてもらっているわけだが、
この家畜、全世界レベルで眺めてみても
その種類は驚くほど少ない。

詳しくは本に譲るが、
体重45kg以上の大型哺乳類で見てみると
わずか14種しかいないと言う。
種類のみを書くと、

「メジャーな5種」
   1.羊
   2.山羊
   3.牛
   4.豚
   5.馬

「マイナーなな9種」
   6.ヒトコブラクダ
   7.フタコブラクダ
   8.ラマおよびアルパカ
   9.ロバ
  10.トナカイ
  11.水牛
  12.ヤク
  13.パリ牛
  14.ガヤル

全世界で見ても、たったこれだけ。

家畜化の候補となりうる
陸生の大型草食動物は
全世界に147種もいるのに、
どうしてわずか14種だけなのだろう?

たとえば、シマウマについて見ると、
これまでどの民族も
家畜化には成功していない。
どうしてシマウマは
家畜にならないのだろうか?

本では、
「少なくともつぎの6つの理由
 認められる」
と書かれているが、
この理由というのがなかなか興味深い。

「野生種を家畜化する」ためには
どんな問題をクリアする必要があるのか?

家畜化にむけてのキーワードを通して
動物やその生態について考えてみたい。

 

まずは、この問題から。

(1) 【餌の問題】

動物は餌として食べる動植物を
100パーセント
消化吸収するわけではない。

動物の血となり肉となるのは、
通常、動物が消費する餌の
10パーセント
である。
つまり
体重1000ポンド(450キロ)の牛を
育てるには
1万ポンド(4.5トン)の
トウモロコシが必要である。

体重1000ポンドの
肉食動物を育てるには、
10万ポンド(45トン)の
トウモロコシで育てた草食動物が
1万ポンド必要になる
(したがって、大型肉食獣は
 家畜化に向いていない
)。

また、
草食動物や雑食動物であっても、
コアラのように
餌の好き嫌いが偏りすぎていて
牧場での飼育に不向きなものも多い。

 このように肉食哺乳類は、
餌の経済効率が悪いので、
食用目的で家畜化されたものは
皆無である。

これは実にわかりやすい。
草食獣の肉1kgを得るためには、
10kgの草が必要
というわけだ。

肉食獣の肉1kgを得るためには、
10kgの草食獣が必要になり、
10kgの草食獣を育てるためには
100kgの草が必要になる。
つまり
肉食獣の肉1Kgを得るためには、
100kgの草が必要
になってしまう。

このことだけでも、大型肉食獣が
家畜化に向いていない理由はよくわかる。

 

(2) 【成長速度の問題】

成長に時間がかかりすぎる動物は、
家畜化し、育てる意味があまりない。
家畜は速く成長しなければ価値がない

草食性で、
比較的何でも食べ、
肉をたくさんとれるのに、
ゴリラやゾウが家畜化されないのは、
まさに
成長に時間がかかりすぎるから
である。

一人前の大きさになるまで
15年も待たなくてはならない動物を
飼育しようと考える牧場主が
いるだろうか。

アジアには
ゾウを力仕事に使っている人びとが
いるが、彼らは成長した
野生のゾウを捕まえてきて
飼いならして使っている、
ということらしい。

 

家畜の種類が少ない6つの理由、
つまり、家畜化するために
クリアしなければならない6つの問題。
今日は2つ

(1) 【餌の問題】
(2) 【成長速度の問題】

までを挙げた。
残りの4つについては次回、
引き続き考えていきたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2019年10月13日 (日)

ポケベルのサービス終了

(全体の目次はこちら



ポケベルのサービス終了

- 携帯電話の普及と比較して -

 

前回
1995年のラグビーワールドカップ
南アフリカ大会での
日本対ニュージーランドの試合について
古い新聞記事を参照したが、
その日の新聞を見てみると、
ポケットベル(ポケベル)の
大きな広告が目につく。

たとえば、NZ戦を報じた
1995年6月5日の朝日新聞にある広告。

A9506051s

 

ちょっと大きくしてみると
機能をかなり無理やり拡張して
差別化を図っていることがよくわかる。

A9506052s

数字だけではなく、文字だったり
イラストメッセージだったり、
カタカナ定型伝言分だったり、
バイオリズムが見られる、
なんていうのまである。

 

実は、この1995年
(正確には1995年度)は
ポケベルの契約件数が
ピークを迎えた年だった。
ちょっと確認してみよう。

無線呼出し(ポケットベル)の
 加入契約数の推移


のタイトルで、総務省のここから
データを簡単にダウンロードできる。

ただ数値だけではわかりにくいので
グラフにしてみた。
1995年度の棒には目印のため
黄色い線を入れている。

   ポケベルの加入契約数の推移

Pbell1

ご覧の通り統計値のある1988年から
グングン契約台数は伸びており、
1995年度末の契約台数1061万台で
ピークを迎えている。

興味深いのはそのあと。

急速に契約数は減っていき、
2006年度末には
なんと16万台にまで減ってしまう。
1995年度末のわずか1.5%、
たった11年で98.5%減ということになる。

理由はもちろん携帯電話の普及だろう。

同じ総務省のページ

携帯・PHSの加入契約数の推移

のデータも公開されている。

 

年度末 ポケベル 携帯・PHS
1994年 935万台 433万台
1995年  1,061万台  1,171万台
1996年 1,007万台 2,691万台

 

1995年は、ものすごい勢いで
「携帯・PHS」の契約台数が
「ポケベル」の契約台数を抜き去る
時期でもあったわけだ。

1988年から2000年までで
ポケベル=青、携帯・PHS=茶
両方の動きを
一枚のグラフにしてみよう。

   「ポケベル」と「携帯・PHS」の加入契約数の推移

Pbell2

 

携帯の契約数の伸びが
いかに早いかがよくわかる。

期間を2018年まで拡張するとこんな感じ。

「ポケベル」と「携帯・PHS」の加入契約数の推移 2018年度末まで

Pbell3

契約数が1億8千万台にまで伸びた
携帯と並べると、
最高でも1000万台程度のポケベルは、
グラフの左下に小さく、
の存在になってしまう。

それにしても、契約数が1億8千万台とは。
利用年齢層を考慮すると
ざっくり平均してすでにひとり2台!

実際には「1台しか持っていない」
という人がかなりいることを考えると、
(会社携帯等も含むとはいえ)
3台以上持っているひとも、
珍しくないということになる。

 

今回、ポケベルの広告に目がいったのは、
日本がアイルランドに勝った翌々日
2019年9月30日、
「ポケベルのサービス停止」のニュースが
流れたからだ。

「ポケットベル」の愛称で親しまれ、
1990年代にブームとなった
無線呼び出しサービスを、
全国で唯一展開していた
東京テレメッセージ(東京)が
9月30日にサービスを終了する

半世紀にわたり続いたが、
携帯電話に取って代わられ、
通信手段としての役目を終えた

東京テレメッセージは
9月30日深夜から10月1日にかけて
ポケベル用の電波を順次止める。

 

折り返しのための電話番号を伝える
「数字表示エリア」を
無理やりとも言える語呂合わせや創意工夫で
「メッセージエリア」として使い、
コミュニケーションツールとして
ブームを作り出していたのは
主に当時の女子高生たちだった。

4649  よろしく
889  はやく
8181  バイバイ
3470  さよなら

くらいならなんとか意味が伝わりそうだが、

0906  おくれる
14106  あいしてる
5731  ごめんなさい
1871  会えない

にいたっては、おじさんはほぼギブアップ。
当時、無理やりの数字メッセージを
牽引していた女子高生の柔軟な発想には
感心するばかりだ。
でももう、それらも完全に役目を終えた。

 

1995年:
ポケベル全盛、1000万台超の契約。
NZに惨敗。

24年後、

2019年:
ポケベルのサービス終了。
強豪アイルランドに勝利。
台風19号による甚大な被害が
次々と明らかになっていく10月13日、
スコットランドにも勝って
ラグビーW杯で初のベスト8進出。

並べることにナンの意味もないけれど、
ごちゃごちゃとすべてを乗せて
時代は流れている。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2019年10月 6日 (日)

145失点からの24年

(全体の目次はこちら



145失点からの24年

- 「奇跡は起きるから奇跡といいます」 -

 

開催中のラグビー
第9回ワールドカップ(W杯)日本大会、
日本は
昨日(2019年10月5日)のサモア戦にも勝ち、
1次リーグ3連勝となった。

初のベスト8へまさに大きく前進。

1次リーグ3戦の翌朝の朝日新聞の記事、
見出しだけでも並べてみたい。
どれも一面トップの扱い。
左から、
2019年9月21日、29日、10月6日。

A190921291006rwc3s

3戦を振り返った時、
優勝候補のアイルランドを破った
先週の勝利はその感激も特に大きかった。

南アフリカに勝った4年前といい、
世界で戦えるレベルになっていることに
うれしいと同時に改めて驚く。

下の記事を当時、リアルタイムで読んだ世代だからだ。

A950605wcs

1995年6月5日朝日新聞の記事。
第3回ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会。

日本は、ニュージーランド(NZ)に
大会史上最多失点となる[17 - 145]
記録的大差で惨敗した。
与えたトライは実に21。

それまでのW杯での
最多失点は89点だったので
一挙に56点も残念な方向に
記録を伸ばしてしまったことになる。

1987年のテストマッチでも
NZ戦では[4 - 106]

それを上回る失点となってしまった。

記事にはこうある。

NZは前半開始直後に、
さっそく先制トライを奪うと、
その後も日本の防御を
軽々と突き破って
数分おきにトライを重ね、
カルハインが21本中はずしたのは
1本だけという完ぺきなゴールキック。

日本は後半、梶原が
2トライを奪うのがやっとだった。

 

前半35分、PGを狙ったことに関しても

すでに0-70。
勝負の行方にからむ
3点では決してない。

まるで「花園」で、
初出場の高校チームが
零点負けをまぬがれるために
狙うようなPGのようだった。

次がなく「青春の思い出」が
必要な高校生と違い、
日本代表には次のW杯という
大きな目標がある。

(中略)

ラグビー王国のプレーから、
「パワー、体格の違い」と
簡単に片づけられない違いを
学んでほしい。

この屈辱をいつかはらすためにも

 

あれから24年。
アイルランドに勝った翌日
2019年9月29日の記事では

南アフリカを破った4年前は
「奇跡」と言われた

「(今回は)地力の部分で勝った。
 サプライズじゃない
 なるべくしてなった」
と中村は成長を語る。

組織が結束すれば
強豪に勝てることを再び証明した。
緻密な準備を経て、
日本はまた一つ、世界の階段を上った。

と、中村亮土選手の言葉を紹介している。

南アフリカの時といい、
今回のアイルランドの時といい、
「奇跡」で思い出すのは、
遊川和彦さんのオリジナル脚本で
高視聴率をマークしたドラマ
「家政婦のミタ」のこの名セリフだ。

奇跡とは、
普通に考えれば絶対に起きない出来事が
そうなって欲しいと願う人間の
強い意志で起きる出来事です。

奇跡は起きるから奇跡といいます

自分には絶対無理だと
諦めている人には絶対に起きません。

まさに、そう。
起きるから「奇跡」なのだ。

 

早稲田大学ラグビー部監督として活躍した
大西鐵之祐さんが亡くなったのが
NZに惨敗した年、1995年の9月。

そして67年にもわたって
明治大学ラグビー部監督を務めた
北島忠治さんが亡くなったのが
翌1996年の5月。

今の日本代表の活躍を
おふたりは
どこからか眺めているであろうか?

この24年間の成長は、おふたりには
どんなふうに映っていることだろう。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

 

« 2019年9月 | トップページ | 2019年11月 »

最近のトラックバック

2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ