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2019年9月22日 (日)

未知の700万年

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未知の700万年

- 700万年と1万3000年 -

 

ジャレド・ダイアモンド(著)
倉骨彰(翻訳)
銃・病原菌・鉄
1万3000年にわたる人類史の謎
草思社文庫

(以下水色部、本からの引用)

は、上下巻で合計800ページを超える
大作だが、とにかく
取り組んでいるテーマがすごい!

世界の富や権力は、
なぜ現在あるような形で
分配されてしまったのか?


なぜほかの形で分配されなかったのか?

たとえば、南北アメリカ大陸の先住民、
アフリカ大陸の人びと、そして
オーストラリア大陸のアポリジニが、
ヨーロッパ系やアジア系の人びとを
殺戮したり、征服したり、
絶滅させるようなことが、
なぜ起こらなかったのだろうか。

こんな壮大なテーマに
真正面から多角的に取り組んでいる。

なので内容としては
紹介したいトピックス満載なのだが、
読み始めて早々、
本の題名にもなっている
「1万3000年にわたる人類史の謎」
の「1万3000年」が
妙に気になってしまった。

もちろんそれは「1万3000年」が
正しいとか間違っているとか
そういう意味での「気になる」ではない。
そもそも、そこにコメントできるほどの
知識を持ち合わせてはいない。

あえて言えば、
scaleとscopeについて考えさせられた
というべきだろうか。

今日はそのことについて書いてみたい。

 

人類の歴史を、
それぞれの大陸ごとのちがいに
目を向けて考察するには、
紀元前1万1000年頃、すなわち
現在よりおよそ1万3000年前を
出発点とするのが適切
だろう。

1万3000年前とは、地質学的には
更新世の最終氷河期が終わり、
現在に至る完新世が
はじまった時期にあたる。

これは、世界のいくつかの地域で
村落生活がはじまり、
アメリカ大陸に人が住みはじめた
時期にも相当する。

少なくとも一部の地域では、
それから数千年以内には
植物の栽培化や動物の家畜化が
はじまっている。

とあるように、この本では、
「紀元前1万1000年から現代まで」の
1万3000年間を考察の対象としている。

もちろんその前には
人類の歴史を大きく振り返ることも
忘れていない。

人類の歴史はいまから約700万年前
(いまから
 900万年前から500万年前のあいだ
 と推定されている)
にはじまった

(中略)

発見された化石類を見ると、
人類は約400万年前に
直立姿勢
をとりはじめている。

700万年前に誕生し、
400万年前に直立姿勢をとるようになった
人類。

ただその時点ではまだ
世界中に住んでいたわけではない。

アフリカを発祥とする人類は
はじめの数百万年を
アフリカ大陸内で過ごしている。

700万年前に誕生した人類は、
はじめの500万~600万年を
アフリカ大陸ですごしている


(中略)

現在のところ、ヨーロッパ大陸に
人類が存在したことを示す
確固たる証拠で最古のものは
約50万年前のもの
であるが、
それより以前に存在していた
とする説も複数ある。

のように、アフリカから
世界中に拡散していく。

その概要は、
「人類の拡散」
という次の図で示されている。

700mfigmap

何万年というオーダーゆえ
地形そのものが今とは違っていたことも
考慮が必要だが、
気象条件であったり、
海を渡る手段であったり、
移動先での食料の確保であったり、
様々な条件のもと、
人類は世界に広がっていく。

図を見ると、その様子を
ざっくりと把握することができる。

ただ、この図を見ていると、
「気になる」ことがある。

700万年前から始まっているのに
実際は妙に最近のことしか
書かれていないではないか。

どういう意味か。

それをはっきりさせるため、
図にある拡散時期を
年表形式で書き直してみたい。
(図はクリックすると拡大されます)

700mfig_1k

ご覧いただけばわかる通り、
「紀元前700万年から西暦2000年」
までを全対象期間として描くと
本が対象としている考察期間である
「1万3000年前から現在まで」は、
右端の黄色い線の「幅」程度にしか
ならない。
まさに線の「太さ」でしか
表現できないほどのわずかな「幅」。

このわずかな黄色い線の幅が表す
1万3000年前の間に、
人類はまさに急成長したわけだ。
800ページの本書に書かれているのも、
この幅の中で起こった物語。

でも図を見ればわかる通り、
その左側にはまさに「未知の700万年」
が大きく大きく横たわっている。

黄色い線の幅が数百個も入るほどの期間が
未知の期間として横たわっている。

この間、
緩やかに直立姿勢になり、
緩やかに石器を使い始め、
緩やかに住む地域を広げ、
緩やかに農耕を始めた、
それだけなのだろうか?

そんなに単純に考えていいのだろうか?

ここ1万年に起こったことが、
[ 発生 - 隆盛 - 全滅 ]の形で
繰り返されたとしても
それを数百回も繰り返せるほど
時間があるのに。

もちろん何か証拠があるわけではない。
単なる素人の空想、お遊びだ。

でも、年表に基づく図を見ていると
「700万年」はあまりにも長く、
「1万3000年」はあまりにも短い。

空想で遊んでみたくなる「700万年」だ。

 

 

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