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2019年9月 1日 (日)

ウォークマン 再び

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ウォークマン 再び

- 雑誌の特集記事を読みながら -

 

前回
ウォークマン発売40周年を記念して、
東京・銀座ソニーパークで開催されていた
 #009 WALKMAN IN THE PARK
 「音楽が歩き出した日」から40年

のことを書いたが、
ちょうどそのころ書店を覗いたら
こんな雑誌が平積みされており
表紙のウォークマン2の写真に、
またまた引き寄せられてしまった。
雑誌の発売日は2019年8月20日。

俺たちをときめかせた音楽モノ大全
2019年10月号 : 昭和40年男増刊 総集編
クレタパブリッシング

雑誌は
「ウォークマン」「ラジカセ」
「ステレオコンポ」「楽器」
の4カテゴリについて
「音楽モノ」が元気だった時代を
多くの資料とともに振り返っている。

上記ソニーパークで開催されている
ウォークマン展でも得られなかったような
興味深いデータも載っていたので
それらを参考に
再度ウォークマンを振り返ってみたい。

なお実機の写真があったほうが
イメージしやすいので
ウォークマン展で撮影したものを
前回と同じものになってしまうが
再度添えておきたい。
どれもちゃんとテープを再生できる状態で
展示されていたのには
ほんとうに驚いた。
壊れずに動き続けていますように。

 

まずは、やはりコレから。

(1) ウォークマン1号機TPS-L2

P7033511s

ソニーの創業33周年に
3万3000円で売り出された記念すべき1号機。

録音もできないし、スピーカもない、
でも持ち歩きながら「ステレオ」で聴ける
カセットプレーヤ、
そんな1号機TPS-L2が
どんな経緯で誕生したのか。

ソニー創業者のひとり
井深大さんの言葉を始め
詳しい経緯は雑誌に譲るが、
改めてカタログを見ると
一番興味深いのは
当時の開発者の「熱い思い」が
感じられる「仕様」そのものだ。

(1-1) 2つのヘッドフォンジャック
ヘッドフォンジャックに印刷された
「GUY & DOLLS」については
前回、写真を添えて書いたが、
「ふたりで一緒に聴く」というコンセプトは
雑誌の表紙にもなっている
250万台を売ったという大ヒット作
2号機となるWM-2

P7033514s

にも引き継がれている。
「歩きながら聴く」ステレオは
「ふたりで聴く」ステレオでも
あったわけだ。

 

(1-2) HOT LINEボタン
これこそまさに初代TPS-L2のみの機能。
「ふたりで聴く」を考えたとき、
ふたりがヘッドフォンをしていたら
どうやって会話をすればいいのか?

なんとその答えを
「機能」として提供してくれている。
それがオレンジ色の「HOT LINE」ボタン。

P7033510s

このボタンを押すと、
再生中のテープの音が、
本体内蔵マイクの音に切り替わる。
つまり、マイクを通じて
ヘッドフォンをしたまま
ふたりが会話できる、というもの。

録音もできない機械が
マイクを実装している。

 

(1-3) 左右独立のボリュームコントール
TPS-L2にはスライド式の
ボリュームがついているのだが、
その設定は左右独立。
つまり右耳用と左耳用
それぞれにボリュームがついている。

空間に配置されるスピーカを持つ
ステレオセットでもなく、
もちろんミキサーでもないのに、
左右独立。
どんな状況を考えての機能なのだろう?
「ステレオ」という機能を強調するため、
ならわからなくはないが。


これらがすばらしい仕様だ、
と言いたいわけではない。
結果としてみれば、
どれも後継機に引き継がれて
長く残ることはなかったことを考えると
むしろマーケティング的には
フィットしなかった機能と
言えるかもしれない。

それでも、
電機メーカのエンジニアとして、
これらの仕様を決めるときの
商品企画会議の様子を想像すると、
もうそれだけで興奮してしまう。
どんな「思い」の
ぶつけ合いがあったのだろう。
新しいものが生まれる瞬間は
いつでも魅力的だ。

 

(2) 音楽メディアの変遷
カセットテープから始まったウォークマンは
その後、様々な音楽メディアに
対応していく。

上記ウォークマン展の
スタンプラリーの景品としてもらった
ブックレットの写真を一部拝借
して、
メディアごとのモデルを振り返ってみたい。
ブックレット入手の顛末はここ


1979 カセットテープ    :TPS-L2

Walkman21

 

1984 CD         :D-50

Walkman22

 

1990 DAT          :TCD-D3

Walkman23

 

1992 MD         :MZ-1

Walkman24

 

1999 メモリースティック  :NW-MS7

Walkman25

 

2004 HDD(20GB)      :NW-HD1

Walkman26

 

メディア対応だけでなく、機能のほうも
録音、オートリバース、防水、
ソーラーバッテリー、Wカセット、
FMチューナー、ワイヤレスリモコン、
ワイヤレスヘッドフォン、
果ては
カメラ、ワンセグテレビ、
まで、
あの小さな小さな筐体に
さまざまな夢が次々と実装されては
消えて行っている。

 

(3) 連続再生時間への挑戦
ウォークマンの歴史と言うと、
極限にまで最小化された
「サイズへの挑戦」に
フォーカスがあたりがちだが、
今回の雑誌の特集では、
連続再生時間についても
詳しく記録を残してくれている。
一部をピックアップしても・・・

1979 単三x2本:8時間
1981 単三x2本:9時間
1983 単三x1本:5時間
1985 単三x1本:4時間  Ni-Cdガム:2時間
1987 単三x1本:7.5時間 Ni-Cdガム:4時間
1989 単三x1本&Ni-Cdガム:11時間 併用
1991 単三x1本&Ni-Cdガム:12.5時間 併用
1992 単三x1本&Ni-MHガム:22時間 併用
1994 単三x1本&Ni-MHガム:36時間 併用
1996 単三x1本&Ni-MHガム:62時間 併用
1998 単三x1本&Ni-MHガム:100時間 併用

Ni-Cdガム:
  ニッケル・カドミウム・ガム型充電池
Ni-MHガム:
  ニッケル・水素・ガム型充電池

単三x1本のモデルを作るときは、
1.5Vで動作するICがなかったため、
そこからの開発だったという。
最初(1983年)の単三電池1本で5時間だって
十分驚きに値する消費電力だが、
そこからここまでの成長を見せるとは!

単三x1本とニッケル水素ガム型充電池との
併用で
連続再生時間100時間を達成した
WM-EX9はこれ。

Walkman27

カセットテープ機では、言うまでもなく
音楽再生の電子回路の他、
モータでテープを送り、
それを巻き取るというメカを
再生中、常に動かさなければならない。
そういった「メカを動作させること」も
含めての100時間!

まさに「到達点」と呼ばれるにふさわしい
信じられない技術の結晶だ。

コンセプトでもデザインでも技術でも
我々昭和世代に衝撃を与えた
カセットテープ対応のウォークマンは
2010年をもって
国内向けの出荷を終了したという。

ほんとうにお世話になりました。合掌。

 

 

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