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2019年6月30日 (日)

島根県の民藝めぐり(1)

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島根県の民藝めぐり(1)

- 出雲民藝館 -

 

鳥取県の民藝めぐりに続いて、
島根県の民藝も見てみたい。

今日も参考図書は

鞍田崇 他著
私の好きな民藝

NHK出版

(書名または表紙画像をクリックすると
 別タブでAmazon該当ページに。
 以下、水色部は本からの引用)

 

【出雲民藝館】

Img_4286s

(写真はすべてiPadで撮影)

なんとも立派な門が出迎えてくれる。

昭和49年(1974年)に開館した
出雲民藝館の建物は、
出雲地方きっての豪農だった
山本家の寄付によるものだという。

民芸運動に賛同したのは
職人たちだけではなかったのだ。
民芸の趣旨に感銘を受けて、
さまざまな形で協力した人々がいた。

Img_4288s

民藝館入り口の長屋門は
まさに堂々たる構え。
江戸時代の延享3年(1746年)の建造で、
出雲大社造営の棟梁が手がけたという。

入場料を払うと、
「正面の母屋には
 今も人が住んでいますので
 公開されている
 本館と西館だけを
 見学するようにして下さい」
と注意された。

Izumomingei1

まずは本館を見学。

本館は、3千俵もの米俵を収蔵していた
米蔵を改修したもの。

入ると最初にこんな額が。

Img_4290s

「民芸の性質」とある。

民芸の性質
 * 庶民的なもの
 * 実用的なもの
 * 数多く作られるもの
 * 安価を旨とするもの
 * 健康なもの
 * 簡素なもの
 * 協力的なもの
 * 伝統に立つもの

もちろん「民芸」に
かっちりとした定義があるわけではないが、
個人的にはこれに
 *
を勝手に足してながら
楽しんでいるかもしれない。

Img_4292s

壁にかかっているのは、
出雲地方で婚礼の際に使われた
嫁入り風呂敷
筒描染という伝統技法で、
家紋や吉祥文を染め抜いている。

風呂敷の下に並んでいる大きな壺は、
石見焼の大野壺。

「石見焼の巨大な野壺は、
 廃棄されそうになっていたものを
 協力者が見つけて、わざわざここに
 運んできてくれたそうです。
 その情熱に頭が下がります」
と事務局の方。

江戸末期から昭和初期にかけての
ものを中心に、布志名焼、石見焼を
はじめとする陶磁器や、
かつてこの地方で盛んだった藍染、
木綿絣(もめんかすり)、
木工品などが展示されている。

Img_4293s

出雲民藝館事務局の方によると、

「展示品は、
 出雲民藝協会の会員や、
 県内外の協力者が寄付してくれた
 コレクションがもとになっています。

 すべて暮らしの中で
 使われてきたもの
で、
 その健康的な美しさとともに、
 そのような品を使う
 暮らしの美しさをも
 伝えたいというのが、
 この民藝館の趣旨です」。

 

西館は材木蔵を展示館として改修。
山陰の作り手による民芸品のほか、
農耕具なども並ぶ。

藍染の絵柄のデザインがすばらしい。

Img_4298s

昔の農工具なども
そのまま保存・展示されている。

Img_4300s

 

小さな売店もある。
入り口となっていた長屋門の一角を、
売店として利用している。

Img_4304s

靴を脱いで上がる畳敷きの部屋で、
大きくはないが、
出西窯、湯町窯、森山窯、
袖師(そでし)窯、白磁工房
といった地元の陶磁器や、
木工品、和紙、染織など、
島根の手仕事を幅広く集めている。

Img_4305s

訪問日は2019年5月5日。
連休中のいち日にもかかわらず
我々夫婦が訪問したとき、
他の訪問者はゼロ。

館内をゆっくり静かに見られたし、
売店では
他のお客様に気兼ねすることなく
事務局の方と
自由に話をすることができたが、
完全な貸し切り状態というのは
それはそれで寂しいものだ。

 

 

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