大塚国際美術館 (3)
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大塚国際美術館 (3)
- 「複製だからこそ」の展示 -
前回に引き続き、
徳島の大塚国際美術館の魅力について
もう少し話を続けたい。
「複製だからこそ」できる展示
その代表例が
(AA)
「日本に実物を持ってくることが
絶対にできないもの」の展示
たとえば、紅白歌合戦で
米津玄師さんが歌った会場ともなった
美術館の目玉のひとつ、ヴァティカンの
システィーナ礼拝堂の天井画と壁画。
ミケランジェロの作だ。
写真では大きさが伝わりにくいと思うが、
[13m x 41m, 高さ20m]もの礼拝堂が
その大きさのまま再現されている。
見上げた天井にはコレ。
天井画は下ろして描くことができないため
ミケランジェロは、四年間、ひたすら天井
つまり上を見上げながら描き続けた。
いったい、どんな四年間だったのだろう
と思いながら
システィーナ礼拝堂の中に立って
天井を見上げていた個人的な思い出が蘇る。
環境を含めての再現は
システィーナ礼拝堂以外にも
いくつもあるが
イタリアのスクロヴェーニ礼拝堂も
すばらしい。
システィーナ礼拝堂の天井画と壁画
イタリアのスクロヴェーニ礼拝堂
のような大掛かりな環境構築だけでなく、
建物の壁画となっているものも、
通常は「持ってこられない」ので
複製ならでは展示だ。
トルコ、イスタンブールのアヤソフィアの
壁面にあるモザイク画の複製。
モザイクの感じもよく出ている。
これも、2012年に
実際にトルコに行って観ているので、
そのときの写真も
参考に下に貼っておきたい。
こういった壁画も
「原寸大」で再現。
「実物を持ってくることが
絶対にできないもの」
「現地では近くに寄って
見ることができないもの」
を間近で観ることができる。
壁画ではないが、門外不出と言われる
ピカソの「ゲルニカ」もある。
(BB)
修復前と修復後の姿を並べて展示
大規模な補修がなされたものの
補修「前」と補修「後」の姿を
比べてみることもできる。
代表例は、レオナルド・ダ・ヴィンチの
「最後の晩餐」
修復前がコレ
修復後がコレ
4.2mx9.1mと大きいので、
並べてというわけにはいかないが、
この2枚を同じ部屋で観ることができる。
(CC)
棺の内面、四面を、四枚並べて展示
おもしろいところでは、
棺の内面、四面を、
四枚並べて展示したものもある。
こんな見せ方があるなんて。
(DD)
壺の回りを展開図にして展示
一見、一枚の絵のように見えるが、
壺まわりの絵を展開図のように
一枚に展開して展示している。
正面だけでなく、まさに横もウラも、
すべての絵柄が一目瞭然。
絵を観る、だけでなく
まさに体で感じることができる
美術館だ。
次回につづく。
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