大塚国際美術館 (2)
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大塚国際美術館 (2)
- 陶板名画の驚くべきクオリティ -
前回に引き続き、
徳島の大塚国際美術館の魅力について
もう少し詳しく紹介したい。
まずは、肝心な
陶板の再現クオリティについて。
素人写真ではお伝えできることも
限られてはいるが、
少し写真を貼ってみたい。
寄ってみても
繰り返しになるが、すべて陶板だ。
別な作品を、
近くから引きながらみても
どの写真もクリックすると
二回りほど大きく表示されるので、
ご興味があればご確認あれ。
作品は、
アルチンボルド作「四季-夏」
この作品、2017年に
ウィーン美術史博物館で
まさに本物を観ているので
その時に撮った写真も参考に下に添えたい。
写真の色は、照明と
カメラの設定に依るため
ここで比較することに意味はないが、
よく見ると大塚美術館は
額縁まで揃えていることがわかる。
他に似たようなもの、というか
たとえるべきものが全く浮かばないので
実物を目にしたときの
あの「驚き」を知っていただくためには、
はやり現物を観てもらうしかないのだか、
大塚オーミ陶業株式会社の特殊技術は、
(1) 驚くべき繊細さと正確さで、
微妙な色あいを陶板上に再現している。
(2) 「原寸大」という大原則を
忠実に守っているので、
サイズの大きな作品は
複数の陶板を並べて再現している。
なのでもちろん繋ぎ目はある。
ところが、陶板間での
色やサイズの不揃い感がないので、
繋ぎ目が全く気にならない。
この2点を満たすことで、
「複製だから」という一種の残念感を
見事に吹き飛ばしている。
いったい、どうやって作るのだろう?
詳しくはわからないが、「観覧ガイド」の
説明の図だけ参考に載せておきたい。
工程部分を順に書くと
[原画]
[色の分解]
[転写紙に印刷]
[陶板に転写]
[焼成]
[レタッチ]
[焼成]
[検品]
[陶板名画]
の流れ。
焼成工程がレタッチを挟んで2回ある。
こんな完璧な陶板名画が
「世界25ケ国、190余の美術館」からとあるように、
まさに画集をめくるように、つぎからつぎへと
目の前に「原寸大」で現れてくるのだ。
大きな作品については
観覧者が一部写っている写真を選ぶと
その大きさを多少は
イメージしていただけるかもしれない。
ラファエロ作「アテネの学堂」
リュベンス作「キリスト昇架」
エル・グレコ作「祭壇衝立復元」
こうした巨大な作品は
日本に持ってくること自体が
通常は叶わないであろう。
そう、次回は、この
「複製だからこそできる」
に焦点をあてて
その角度から紹介を進めたい。
次回につづく。
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