オーストリア旅行記 (43) 銀器コレクション
(全体の目次はこちら)
オーストリア旅行記 (43) 銀器コレクション
- 33mのセンターピース -
旧王宮の中、
* 「宮廷銀器コレクション」
* 「シシィ博物館」
* 「皇帝の部屋」&「皇妃シシィの住居」
の3つのエリアは
見学順路として繋がっており、
続けてみることができる。
このうち、写真撮影OKなのは
「宮廷銀器コレクション」のみ。
【宮廷銀器コレクション】
行ってみて驚くのは、
新王宮内の「古楽器博物館」
などと違って、こちらは人、人、人。
ツアーや団体客も含めて、
観光客の大メインルートとなっている。
チケットを購入すると、
日本語も選べるオーディオガイドを
全員に貸し出してくれるので、
時間に余裕があれば、
一点一点ガイドを聞きながら
丁寧に回ることができる。
もちろん「銀」だけではない。
そう言えば、
ここのオーディオガイドは
いわゆる受話器タイプ。
本体を片手に持ち、
耳に当てながら音を聞く、
電話しているときのスタイル。
本体には首から下げて持ち歩けるよう
ネック・ストラップがついているが、
音を聞くときは、耳に当てるしかない。
ところが、このスタイルでは、
片耳、片手がふさがってしまうため、
メモを取ったり、
写真を撮ったりが
きわめてやりにくい。
なんとかならないものだろうか?
本体をよく見ると
3.5mmのイヤホンジャックがある。
思わず
いつも持ち歩いているWalkmanの
イヤホンを抜いて挿してみた。
完璧だ!
首からぶら下がっている本体から
イヤホンを通じて音が聞こえる。
このとき、両手は完全にフリー!
写真もメモも音を聞きながら
自由自在にできる。
ここでは、
Myイヤホンの機内持ち込みを推奨したが、
Myイヤホンは、
博物館のオーディオガイドでも役に立つ。
見学の際は、お薦め。
写真を撮ったりメモを取ったりしたい方
ぜひお忘れなく。
さて、展示の内容。
ハプスブルク家歴代の銀器と
金器(?)の量はすさまじく
最初はその量に驚くものの
途中からある種の感覚が
完全に麻痺してくる。
銀器・金器だけでなく
陶磁器ももちろん大量にあり
ヨーロッパの名窯で作られたものが並ぶ。
銀器にも陶磁器にも
双頭の鷲の紋章が。
クリスタルガラスは、
ロブマイヤーのものが多い。
数ある食器・調度品の中でも、
食卓を飾る豪華なセンターピースは
ひときわ目をひく。
【古いフランス風センターピース】
ブロンズに金メッキされている。
1838年くらいのもの。
いったいどれほどの金が
使われているのだろう。
帰るときに寄った
ミュージアムショップには
日本語のこんなガイドブックが
あったので購入してみた。
この中に、
シェーンブルン宮殿大広間の祝宴で
センターピースが
実際に使われている時の絵がある。
なるほど、これほど大きなテーブルを
飾る必要があるわけだ。
19世紀前半にミラノで作られた
センターピースは33mにもおよぶ。
そう言えば、
上のガイドブックに、
「磁器」と「貴金属食器」の関係について
こんな興味深い記述があった。
ちょっと引用したい。(水色部)
ウィーン磁器工房にとって
皇帝の宮廷は
決して重要な顧客ではなかった。
磁器はまだ装飾品であり、
高価なばかりでなく
壊れやすかったので、
皇帝家の食卓には
金、金メッキした銀、銀など、
貴金属の食器が使われていたからである。
磁器は主にデザート、スープ、
朝食セットに利用され、
あるいは神話のシーンなどを示す
群像としてテーブルに飾られた。
壊れやすいのは確かにそうだが、
18世紀ごろ、基本的に
磁器はまだ装飾品だったのだ。
メインは貴金属の食器。
ところが、
ハプスブルク家といえども
いつでも潤沢に
金銀を使えたわけではない。
戦費調達のために、宮廷の食器まで
貨幣鋳造に回されたこともあるのだ。
そのとき、磁器が活躍している。
窮余の策として食器類の金銀も
貨幣鋳造に転用されたため、
宮廷における磁器の需要が
飛躍的に増大した。
宮廷の部局でも皇帝家の食卓にも、
ますます多くの磁器製品が
調達されるようになった。
1814年の春になって
戦後処理を論議する国際会議のため
ウィーンが候補地になった時、
ハブスブルク家の宮廷には貴金属の食器が
殆ど残っていなかった。
再び窮余の策としてウィーン磁器工房に、
公式のディナーに使う
金色のディナー・セットが注文された。
貴金属の食器が
ほとんど残っていなかったので、
「磁器工房」に「金色」の
ディナー・セットを注文、
そんなこともあったのだ。
磁器と言えば、
日本の伊万里コレクションもあった。
「宮廷銀器コレクション」の
エリアを抜けると、外に出ることなく
そのまま「シシィ博物館」へと
導かれていく。
(全体の目次はこちら)
« オーストリア旅行記 (42) ベートーヴェンの家と譜面屋 | トップページ | オーストリア旅行記 (44) ハプスブルク帝国の歴史を »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 黒目川 (2) 遡行(2025.01.19)
- 黒目川 (1) 遡行(2025.01.12)
- 新東名高速道路 中津川橋 工事中(2024.10.27)
- 新東名高速道路 河内川橋 工事中(2024.10.20)
- 漱石の神経衰弱と狂気がもたらしたもの(2024.09.08)
「歴史」カテゴリの記事
- 「生きてみると、とっても大きい」(2024.12.08)
- 接続はそれと直交する方向に切断を生む(2024.08.18)
- 二ヶ領用水(6) 溝の口で寄り道(2024.07.07)
- 二ヶ領用水(4) 久地円筒分水をメインに(2024.05.19)
- 二ヶ領用水(3) 久地の合流地点まで(2024.05.12)
「社会」カテゴリの記事
- 接続はそれと直交する方向に切断を生む(2024.08.18)
- ついにこの日が来たか(2024.07.28)
- 「科学的介護」の落とし穴 (3)(2024.03.10)
- 読書を支える5つの健常性(2023.11.19)
- 迷子が知性を駆動する(2023.04.02)
「食・文化」カテゴリの記事
- ワイングラスにワインは 1/3 だけれど(2024.07.21)
- 食べるものを恵んでもらおう、という決め事(2023.08.20)
- 微笑むような火加減で(2023.03.05)
- 舌はノドの奥にはえた腕!?(2022.11.13)
- 鰆(さわら)を料理店で秋にだす(2022.10.02)
« オーストリア旅行記 (42) ベートーヴェンの家と譜面屋 | トップページ | オーストリア旅行記 (44) ハプスブルク帝国の歴史を »
コメント