オーストリア旅行記 (30) ウィーン楽友協会
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オーストリア旅行記 (30) ウィーン楽友協会
- ウィーンフィルの本業は? -
国立歌劇場の話が続いたので、
関連して今日は
「ウィーン楽友協会」
を取り上げたい。
ここもリンク通りの建設に際して
作られた建物のひとつだ。
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の
本拠地として知られる大ホールがある。
竣工は1870年。
国立歌劇場のほうは1869年だから、
ほぼ同時期に完成している。
国立歌劇場は、
オペラとバレエのためだけの
劇場だが、
こちらはコンサートがメイン。
大小7つのホールがある。
ここで書いた通り、
歌劇場では作曲家マーラーが総監督を
務めていたこともあるが、
こちら楽友協会では、
1872年から1875年までの3年間
作曲家ブラームスが
指揮をしていたこともある。
そう言えば、先日
NHK Eテレの「らららクラシック」という
番組の中で
「世界一の楽団とも呼ばれる
ウィーンフィルですが、
なぜそう呼ばれると思われますか?」
という質問に、
ウィーンフィルの楽団長
ダニエル・フロシャウアーさんは
「世界一かどうかはわからないけれど、
ブラームス、ブルックナー、マーラー、
ワーグナー、ヴェルディが
自分の作品を指揮したオーケストラは
他にはありません」
と答えていた。
確かにすごい面々だ。
この面々で棒年表を書いてみよう。
(数字は生年と享年。
色は60歳までは20年区切り)

(ワーグナーとヴェルディって
同じ年の生まれだったンだ。
ブラームスの誕生はその20年後)
国立歌劇場と同様、
こちらもシーズンオフだったため
コンサートの聴衆のひとりとして
中を味わうことはできなかった。
(観光客向けのコンサート会場として
使われているようではあったが)
というわけで、
残念ながら、外観のみの写真で。
黄金のホールとも呼ばれる大ホールは、
CDのジャケット写真ではお馴染みだし、
映画「のだめカンタービレ」でも
ロケ地として使われていたし、
ニューイヤー・コンサートの会場として
テレビに映ることも多いので、
ぜひ実際に入ってみたかったのだが、
というか、
ウィーンフィルのコンサートを
聴いてみたかったのだが、
まぁ、訪問に「真夏」を選んだ時点で、
このあたりは諦めざるをえない。
さて、世界的に有名なこの
ウィーンフィルと
歌劇場でオペラの演奏をしている
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
との関係をご存知だろうか。
広瀬佳一、今井顕 編著
ウィーン・オーストリアを
知るための57章【第2版】
明石書店
に教えてもらおう。
(以下水色部、本からの引用)
いわれるウィーンフィルは、
ベルリンフィルとともにドイツ文化圏の
名門オーケストラの双璧として、
その名を世界にとどろかせている。
創立は1842年で、
楽団の歴史はもう少しで2世紀に
届こうとしている。
(中略)
見た目は普通のオーケストラと
何ら相違ないウィーンフィルだが、
内部はかなり特殊な形態となっている。
どんな事情があるのだろう?
「ウィーンフィルといえども、
その本業はあくまでも
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
としての活動である。
しかし、明けても暮れても
オペラやバレエの伴奏だけでは
飽き足らない団員が
コンサート活動を行うために
任意に構成する、
いわばサークルのような
ものである」
という点だ。
つまり、
いかに演奏の技量が優れていようとも、
またいかなる人物の
強力な紹介や推薦があろうとも、
外部からウィーンフィルヘ
直接入団する道は存在しないのだ。
誰もが平等に
国立歌劇場のオーケストラに入団し、
オーケストラピットにおける
最低3年間の経験を積んだ後、
初めてウィーンフィルヘの
参加の是非が仲間たちによって
審議される。
本業はあくまでも
ウィーン国立歌劇場管弦楽団としての演奏。
自主運営としてのウィーンフィル。
常任指揮者を置かないことや、
コンサートの演目をメンバで決めることや
メンバがチケットオフィスで
直接お客様にチケットを売ることもある、
などなど、他のオーケストラでは
ちょっと聞かないような話が
ウィーンフィルにはいろいろあるが、
自主運営の精神がこのあたりに
関係しているのかもしれない。
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