オーストリア旅行記 (18) 頭蓋骨の教会と遊覧船
(全体の目次はこちら)
オーストリア旅行記 (18) 頭蓋骨の教会と遊覧船
- 遊覧船のデッキで -
少し高いところに登って
ハルシュタットの小さな町を
見下ろしてみるとこんな感じ。
下の写真左側、鍾塔の見える
カトリック教会に行ってみた。

ここの墓碑は、
木製のものが多い。
鉄細工の墓碑が印象的だった
ザルツブルクの
ザンクト・ペーター教会の墓地とは対照的。
墓地に植えられた草木が
ちょうど花をつけており
墓碑との組合せが美しい。
教会そのものは
大きくはないが、中に入ると
信者でなくても神聖な気持ちになる。
墓地の奥には、バインハウスと呼ばれる
建物が建っている。
ここは入場料が必要だが
中に入ってビックリ!
すべてほんものの頭蓋骨。
しかも、生没年や花や葉などなど、
様々なものが丁寧に描き込まれている。
頭蓋骨の下には、大腿骨か(?)
大きな棒状の骨が
薪のように積み重ねられている。
土地が狭く、
墓地が十分確保できなかった
ハルシュタットでは、
埋葬後10-20年を経たら、遺骨を取り出し、
そこに次の遺体を埋めるという風習が
あったらしい。
その、掘り出した遺骨を納めたのが
バインハウスだ。
それぞれの絵には
どんな思いが込められているのだろう。
教会から湖畔に戻ってきた。
湖側から町や山を見てみたくなり、
1時間程度で一周する
遊覧船に乗ってみることにした。
出発直後の景色がコレ。
近くの黄色い建物は
ゼーホテル グリューナー バウム
(Seehotel Grüner Baum)というホテル。
皇妃エリザベートも
滞在したことがあるという。
家並みのかわいらしさと対照的な
迫るような山の迫力が、
湖からだとよくわかる。
湖畔沿いの道には人が小さく見える。
振り返ると教会の塔も小さくなっている。
町から少しはずれると
建物の雰囲気も少し変わってくる。
世界最古の塩抗
「ハルシュタット塩抗」に向かうための
ケーブルカーもよく見える。
風が気持ちいい外のテーブル席、
たまたま相席となったのは、
新婚旅行中のカップルだった。
オマーンから来たと言う。
「オマーン」を知っているか?
と聞かれたので、
「yes」と答えたが、
知っているのはサウジアラビアの近く
アラビア半島の先の方、という
だいたいの国の位置くらい。
そう言えばサッカーの
ワールドカップのとき、
日本と深く関わるエピソードが
あったような、とぼんやり浮かんだのだが、
記憶があやふやで
話題にできるほどはっきりしない。
一週間、
ヨーロッパを新婚旅行で回るという。
新婦、奥様の手の甲には、
紺色の細い線で、
細かく美しいレース模様が
丁寧に描かれている。
ヘナタトゥーと呼ばれる
「消える」入れ墨の話を聞いたことがあるが
このことだろうか?
単なるおしゃれのひとつなのか、
宗教的な意味があるのか、
そのあたりのことが
全くわからなかったので、
「きれいだな」とは思いつつ、
「写真を撮ってもいいですか」
とはとても聞けなかった。
雰囲気のいい、おふたり。
どうぞ末永くお幸せに。
写真と言えば、この遊覧船上に、
我々夫婦以外に日本人がふたりいた。
30代の娘さんとお母さんの二人組み。
カメラを持ってウロウロしているとき、
「写真を撮っていただけませんか?」
と日本語で声をかけられた。
母娘並んでの写真を撮りたかったようで、
もちろん喜んでシャッターを押したが、
その際、少し話をした。
ウィーンにツアーで来ており、
オプショナルツアーで
ハルシュタットに来たとのこと。
もちろん日帰り。
その自由時間に遊覧船を選んだのだとか。
「海外に母と来るのは
初めてではないのですが、
これまでもツアーばっかりで。
今回も
ウィーンから電車に乗って
自力で来ることも考えたのですが、
途中にどうしても一度乗換えがあり、
その乗換えがうまくできるか自信がなくて、
結局バスで連れてきてくれる
オプショナルツアーにしちゃいました」
あちこち連れて行ってくれるツアーから
自力で動く個人旅行に
挑戦したい、踏み出したいという意欲が
会話の端々から感じられる。
あと一歩、ほんの少しの勇気。
「大丈夫。
ぜひ挑戦してみて下さい。
その思いさえあれば、
きっとうまくいきますよ」
口に出しては言わなかったが、
そんな思いをたっぷり込めて
「どうぞ、よいご旅行を」
と笑顔で別れた。
(全体の目次はこちら)
« オーストリア旅行記 (17) 朝の小鳥の大合唱 | トップページ | オーストリア旅行記 (19) 集落を通り抜けてミニハイキング »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 旧穴守稲荷神社大鳥居(2023.06.04)
- 学術論文に「人種」は使えない(2023.04.16)
- 「祈り・藤原新也」写真展(2023.01.22)
- 「コミュニケーションはスキル」か?(2022.11.27)
「歴史」カテゴリの記事
- 旧穴守稲荷神社大鳥居(2023.06.04)
- 研究者から見た「次世代シークエンサ」(2023.04.30)
- ゲノム解析が歴史解釈に与える影響(2023.04.23)
- 学術論文に「人種」は使えない(2023.04.16)
- 解析のキーは「ミトコンドリア」「Y染色体」「SNP」(2023.04.09)
« オーストリア旅行記 (17) 朝の小鳥の大合唱 | トップページ | オーストリア旅行記 (19) 集落を通り抜けてミニハイキング »
コメント