オーストリア旅行記 (12) ザルツブルクで聴くピアノトリオ
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オーストリア旅行記 (12) ザルツブルクで聴くピアノトリオ
- モーツァルトが演奏した部屋で -
【モーツァルトの生家】
観光客が多く訪れるザルツブルクの
メインストリート「ゲトライデ通り」に
黄色のよく目立つ建物がある。
1756年1月27日、
モーツァルトはここで産声をあげた。
日本で言うと、
田沼意次(1719年生)や
杉田玄白(1733年生)らの時代。
ザルツブルクの
一大観光スポットとなっている。
見学をするためには、
こんな階段を登っていく。
今は、2階から4階が記念館になっている。
当時のままの台所はこんな感じ。
と、この写真を撮ったところで
館内写真撮影禁止の表示を発見。
ゴメンナサイ、気がつきませんでした。

というわけで残念ながら以後写真なし。
館内の写真は禁止されていたが、
「窓からの景色はOK」
とのことだったので、
1枚だけパチリ。
260年前、
窓からは何が見えていたのだろう?
ここで生まれて、
7歳まではこの部屋で過ごしていたらしい。
窓からの景色の変化はわからないが、
子どものころのモーツァルトが
この部屋を走り回っていたことは
確かなことのようだ。
館内には、自筆の楽譜やら、肖像画やら
楽器やら、オペラのセットの模型やら
関連グッズの土産物やら、
いろいろ展示されているが、
生家をそのまま使っているので、
観光客がぐるぐる歩き廻っていると
かなり狭苦しい。
多くの展示品の中で
一番印象的だったのは自筆譜。
美しい音楽は譜面も美しい。
【モーツァルト広場】
モーツァルトはザルツブルクを代表する
出身者なので、
生家から歩いて5分ほどの広場には
1842年に作られた立派な銅像がある。
広場の名前もモーツァルト広場。
レジデンツ広場に隣接しており、
周囲にはカフェやショップが並ぶ。
観光案内所もあり、ある意味
ザルツブルク観光の起点となっている。
近くの広場にいた
ストリートパフォーマーも
音楽の街ならでは(!?)。
片手のみを電子ピアノに軽く乗せて
宙に浮いているが、その電子ピアノは、
ありえない不安定な角度で
古本の上に立っている。
【カラヤンの生家】
ザルツブルクの出身者と言えば、
もう一人はずせない人がいる。
こちらも音楽家。
指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤン。
1908年4月5日生。
日本ではソニー創業者の井深大さん、
同じ指揮者の朝比奈隆さん
らが同じ年の生まれ。
ザルツァッハ川のすぐ横に
生家がある。
庭には、指揮をする
カラヤンの銅像があるのだが、
なぜかあまりカッコよくない。
もっと「カッコいい」カラヤンは、
指揮をする映像や、
レコードジャケットの写真などに
数多く残っているのに・・・
【ミラベル宮殿コンサート】
ザルツブルクに到着直後
インフォメーションセンタで
いくつか尋ねたコンサート。
結局、
ミラベル宮殿で開催される
TRIO AMIENSの
ピアノ・トリオの演奏を
聞きにいくことにした。
宮殿の大理石の階段は、
「天使の階段」と呼ばれていて
小さな天使の彫刻に溢れている。
ラファエル・ドナー作。
会場はその奥の部屋。
「大理石の間 Marmorsaal」
100人強程度の小規模なものだが、
金の装飾に溢れた部屋は、
その雰囲気だけでも十分楽しめる。
モーツァルトも、
この広間で演奏を披露していたという。
曲は、ハイドン、ブラームス、
モーツァルト、ベートーベンの作品から。
プログラムの透かしが美しい。
演奏は、
ピアノ、バイオリン、チェロの
3本のみ。
部屋の窓を開け、
夜風を招きながらの演奏。
ひんやりというほど涼しくはないが、
エアコンの風よりははるかに気持ちいい。
演奏のほうは、
バイオリンの方がほんとうに上手で、
期待していたものよりワンランク上の
演奏というより「芸術」を楽しめた気分。
行ってよかった。満足度高し。
ところで、このミラベル宮殿、
元は、大司教ヴォルフ・ディートリヒが
1606年、愛人サロメ・アルトと
彼女との間に生まれた15人の
子どもたちのために建てたもので、
古くはアルテナウ宮と呼ばれていたらしい。
「北のローマ」をめざして、
今も残るザルツブルクの町並みに
多くの影響を与えた大司教だが、
アルテナウ宮完成後に失脚。
ホーエンザルツブルク城塞の
地下牢獄に6年も幽閉され
1617年に獄死、という
まさに劇的な一生を送っている。
宮殿は、
のちに「ミラベル」宮殿へと改名された。
ミラベルとは「美しい眺め」という意味。
コンサートが開かれる
「大理石の間」がある一方、
現在は、市役所、図書館としても
使われている。
ザルツブルク観光、もう少し続けたい。
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コメント
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はまさん、こんばんは。
まだ観ぬ場所が沢山あり、私も行った気分になり楽しんでいます。
モーツァルトやカラヤンの生まれた年代を日本の特定の人の生まれと対比するあたりはまさんらしいですね。
それにしても大司教は凄いです。業績は分かりませんが愛人との間に15人の子供・・・それだけで凄く感じてしまいます
次も楽しみにしています。
投稿: omoromachi | 2017年11月12日 (日) 23時18分
omoromachiさん、コメントをありがとうございます。
ミラベル宮殿でのコンサートは、
建物や部屋の雰囲気も含めて、
レベルの高い演奏と共に、
まるまる「空気感」を楽しむことができました。
たしかに、大司教と愛人と子供たち、
詳しい歴史を知りませんが、
それだけでも大河ドラマができそうですね。
投稿: はま | 2017年11月19日 (日) 12時53分