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2017年10月

2017年10月29日 (日)

オーストリア旅行記 (10) サウンド・オブ・ミュージック(その6)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (10) サウンド・オブ・ミュージック(その6)

- 岩壁馬術学校 -

 

オーストリアのザルツブルクを、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」を
キーに巡っていく六回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【祝祭劇場】
世界的な音楽祭のひとつとして
知られている「ザルツブルク音楽祭」
メイン会場となっているのが
この祝祭劇場。

P7128087s

ご覧の通り
大きなというか「長い」建物だが、
その起源はなんと
1607年に建てられた
大司教の「厩舎」だとか。
つまり馬小屋。

岩山に沿う細長い形状をしており、
その長さは225mにもなる。

現在、「祝祭劇場」には
大小2つのホールと、
岩山を削ってつくられた
「フェルゼンライトシューレ」の
合計3つの劇場がある。

訪問したときは
音楽祭のちょうど10日前だったので、
スケジュールが大きく張り出されていたが、
まさに3つの劇場フル回転のプロブラムが
組まれていた。

道を挟んだ対面に、
同じように「長く」広がっているのは
大学の図書館だ。

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正面入口前に広がる
マックス・ラインハルト広場と呼ばれる
広場からは、
左手にフランティスカーナ教会
右手にザンクト・ペーター教会
の塔が見える。

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ザンクト・ペーター教会の塔の後ろには、
ホーエンザルツブルク城塞が。
城塞の威容もかなり見慣れてきた。

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さて、この祝祭劇場。
内部を案内してくれる
ガイドツアーがあるという。

ツアーの時間がわからなかったので、
ツアーオフィスを兼ねた
劇場のギフトショップに行って
事前に時間を尋ねてみた。

ザルツブルク音楽祭が
10日後に迫っていたので、
公開エリアに制限があるようだったが、
まぁ、準備の様子も含めて、
雰囲気が感じられればそれもうれしい。

妻と相談のうえ、
翌朝9時のツアーに参加することにした。

「予約はできないので、
 予定時間の15分前に来て下さい」

 

翌朝、集合場所に行くと、
12人が集まっていた。

ガイドさんは、

*ザルツブルク音楽祭が
 10日後に迫っているので、
 劇場内では様々な準備が進められており、
 いつもは案内している大ホールに
 今日は案内できないこと。

*小ホールである
 モーツァルトホールは案内できるが、
 こちらも今日はリハーサル中ゆえ、
 ホール内での写真は禁止されていること。

などなど、丁寧に音楽祭前の
特殊な状況を説明し、
理解と了解を求めていた。

 

【フェルゼンライトシューレ】
ガイドツアーで最初に案内されたのは、
最も見たかった
「フェルゼンライトシューレ」だった。

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「サウンド・オブ・ミュージック」の終盤、
一家がコンクールで歌声を披露する、
実に印象的な劇場だ。

岩山の山肌を掘った岩むき出しの面が、
そのまま劇場の奥の壁となっている。

つまり、岩山に張り付くように
劇場が作られている。

フェルゼンライトシューレの意味は
 Felsen(岩壁)、
 Reitschule(馬術学校)


1693年、
ヨハン・エルンスト・フォン・トゥン大司教
(Johann Ernst von Thun)は、
大聖堂建築のための採石場跡に、
馬術学校を設立
した。

そこでは、乗馬のトーナメントも
行われていたという。

舞台を取り囲んでいる三層に重なった
96のアーチからなる岩盤は、
馬術学校当時の観客席
である。

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ガイドツアーの説明は
「ドイツ語」と「英語」で進んでいく。
二人のガイドさんがいるわけではなく、
ひとりで二言語を担当。

ちなみに、その時の我々12人のグループは
8人がドイツ語、4人が英語、を希望。

ドイツ語での説明の後、
英語組4人が集められて英語で説明を聞く、
を繰り返す感じでツアーが続く。

ただ、ドイツ語がわからないので
これは単なる想像だが、
明らかにドイツ語の説明の方が
詳しいことまで触れている気がする。

もちろん、説明というのは
ただ詳しければいいというわけではなく、
こちらの英語力からすると
要点のみの短い説明の方が
かえって親切、とも言えなくはないが、
長いドイツ語の説明のあと、
英語の説明が妙に短かったりすると
ソフィア・コッポラ監督の映画
「ロスト・イン・トランスレーション」

を思い出してしまう。

(ソフィア・コッポラ監督の
 東京を舞台にしたこの映画、
 好き嫌いの別れる映画のひとつだが、
 私は大好きだ。踏み込むと
 話がどんどん横道に逸れそうなので
 この映画の話はまた改めて)
題名の[lost in translation]とは
あえて訳せばまさに
「翻訳で失われるもの」という感じだ。

閑話休題

音楽祭が近いので、舞台上では
人と物が慌ただしく動いており、
リハーサルというかテストが続いていた。

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映画ではこんなふうに使われている。
全体がよく見える
コンクールに向けての昼間の練習風景から。

Sm21833

空が見えていることにご注目。

50年以上も前のロケ時点では、
このようなオープンエアの
構造だったようだが、
現在は、開閉式の屋根がついている。

映画でのコンクールの本番は「夜」で
スポットライトが当たってこんな感じ。

Sm23503

それにしても、馬術学校の観客席を
逆に舞台にしてしまおうという発想には
ほんとうに驚かされる。

ちなみに、岩山そのままが
舞台となっているため、
「舞台裏」というものがない。
なので上演にあたっては大道具を含め
いろいろな工夫が必要だ、と説明していた。

劇場としていろいろ不自由な部分が
あるにも関わらず、
フルトヴェングラーやカラヤンといった
往年の名指揮者が、今も語り継がれる
伝説的なオペラを残した舞台でもある。

 

個人的には
「ここさえちゃんと見られれば」の
フェルゼンライトシューレが見られたので
それだけで大満足だったが、
フェルゼンライトシューレを出たあとは
モーツァルトホールに案内された。

ただ、最初に言われた通り、
こちらの撮影は許可されていなかったので、
残念ながら写真はなし。

公開のオペラに向けて、大道具も含め
舞台上の準備はかなり進んでいた。

モーツァルトホールを出たところには
横板の隙間の先に、こんなオブジェも。

P7128106s

小さな白い光の列はすべてビーズ。
地元オーストリアに本社がある、
ビーズで有名な
スワロフスキー社が作成したもの。

「モーツァルトの髪型」を表現したもの、
と言われているようだが、
オブジェ前の空間が狭く、物理的に
遠くに離れて見ることができないので、
ガイドさん自身も「確認のしようがない」
と説明して笑いをとっていた。

なお、劇場は幕間を過ごすロビーも
一見の価値がある。

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広さや床の美しさにも目を惹かれるが、
他にはない大きな特徴が2点ある。

ひとつは、岩山の山肌が岩盤むき出しで
直接奥の壁となっている点。
フェルゼンライトシューレと同様、
ロビーは岩山に直接張り付いており、
奥の壁は、岩山の岩盤そのままだ。

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近くに寄ってみると、
粗い岩肌の感じがよくわかる。

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もうひとつの特徴は、
『テュルケンシュテッヘン』
(Türkenstechen)
と呼ばれる
天井の巨大なフレスコ画。

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しかもこのフレスコ画、
この大きさを活かした
トリックアートまで仕込まれている。

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ちょうど岩盤ギリギリの
一番奥の部分。
見上げながら寄っていくと
描かれた柱がグゥーっと空に向かって
立ち上がっていく。

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全体はまさに馬を中心に描かれた
巨大なものだが、

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奥の一角だけ
仕掛けで遊んでいる感じ。

 

なお、入ってすぐのロビーは、
テュルケンシュテッヘンとは全く違う
こんな雰囲気の画で囲まれているが、
これは第二次世界大戦の時に焼けてしまい、
その後以前のように修復されたもので
特に古いものというわけではないようだ。

P7128129s

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映画のほうも
「コーラスコンクール」まで来た(?)ので、
サウンド・オブ・ミュージック関連の
ネタは、
あともう一回書いて一区切りとしたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月22日 (日)

オーストリア旅行記 (9) サウンド・オブ・ミュージック(その5)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (9) サウンド・オブ・ミュージック(その5)

- 大司教の宮殿レジデンツ -

 

オーストリアのザルツブルクを、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」を
キーに巡っていく五回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【レジデンツ広場】
映画の後半ナチスが進軍してくるシーン

Sm21735

が撮影されたのが、レジデンツ広場。
背景の建物はレジデンツ

外見は地味だが、これこそが
ザルツブルクの領主である大司教が
居住し執務していた町の宮殿である。

16世紀末、
この町を「北のローマ」にしようと試みた
大司教ヴォルフ・ディートリヒの時代に
現在のような姿の宮殿の建築が始まった。

町の象徴のように何度も登場している、
山の上の「ホーエンザルツブルク城塞」は
戦争や動乱に備えた城で、
平時は大司教もこのレジデンツに居た。

今は内部も公開されており、
日本語もあるオーディオガイドで
説明を聞きながら
ゆっくり見学することができるのだが、
残念ながら写真撮影が許可されていない

6歳のモーツァルトが大司教の前で演奏した
「会議の間」


ゴブラン織のタペストリーが飾られ、
緻密な寄木細工の床が美しい
「謁見の間」、

若き日のモーツァルトも演奏した
250人を収容できる「騎士の間」、

謁見を立ったまま待たされた「控えの間」、
などなど部屋数は全部で
180にもなる


どの部屋も、繊細な装飾や調度品で彩られ、
権力を誇示した大司教の
贅沢な暮らしぶりがうかがえる。

各部屋の他、歴代大司教が集めた
絵画などのコレクションも、
レジデンツギャラリーとして
一緒に公開されている。

室内の写真は撮れなかったが、
レジデンツの窓から見える
レジデンツ広場は、
写真が撮れたので、一枚。

P7128156s


写真を撮るとき、偶然、すぐ下では
学生か、4人のサックスアンサンブルが
演奏を披露していたのだが、
これがかなりのハイレベルな演奏で、
思わず宮殿を抜け出して、
そばに行きたくなってしまったほど。

P7128154s


広場の真ん中には、
大理石の彫刻で飾られた
アトラス神の大噴水がある。

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噴水の向こう側の白い建物は
「新レジデンツ」。


大噴水は、
マリアがトラップ家に向かうシーンにも

Sm01820

まさにレジデンツを背景にして
登場している。

近くに寄るとこんな感じだ。

P7117939s

 

【カピテル広場】
ホーエンザルツブルク城塞を見上げる
カピテル広場は、
大聖堂のすぐ横に広がっている。

P7117959s


映画の中、トラップ家に向かうマリアが
ギターを持って歩いているのもここ。

Sm01842

上に書いた通り、
「ホーエンザルツブルク城塞」は
戦争や動乱に備えた城だったわけだが、
旧市街のどこからでも見えるあの威容は、
やはりある種の圧力を感じる。

P7117961s

なお、広場から
ザンクト・ペーター教会の方を見ると、
こんな感じで鐘塔が見える。

P7117960s

ところで広場にあった大きな金の玉は
いったいナンだったのだろう?

 

サウンド・オブ・ミュージック関連の
場所で繋いでいくザルツブルク旅行記、
もう少し続けたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月15日 (日)

オーストリア旅行記 (8) サウンド・オブ・ミュージック(その4)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (8) サウンド・オブ・ミュージック(その4)

- パノラマ写真の出番 -

 

オーストリアのザルツブルクを、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」を
キーに巡っていく四回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【近代美術館のテラスからの眺め】
山から帰ってきた子どもたちが
歌いながら歩くシーン。

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まさに旧市街全体が見下ろせる
絶好のViewポイントがここ。

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映画のロケ地かどうかは関係なく
純粋に市街の景色を楽しむことができる。

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もちろん映画と比べれば、
50年前の映画の背景のまま、を
再確認することもできる。

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旧市街だけでなく、
ザルツァッハ川の向こうには、
新市街も見える。

P7117906s

右手に見えるマカルト橋を渡った先、
左側にある川沿いの白い大きな建物が、
指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの
生家
だ。

こここそパノラマ写真の出番だろう。
広角で大きく繋げるとこんな感じになる。
川の向こう左手が新市街、
川の手前右手が旧市街。
(下の写真だけは、クリックすると
 通常より大きく
 横1280ピクセルの幅で表示されます)

Img_1448s

 

岩山の上に位置している
この絶景ポイントへは
「メンヒスベルクのエレベーター」
を使うと簡単に行くことができる。
通常は有料、
ザルツブルクカードがあれば無料。

このエレベーター、三機あって、
行き先ボタンと上下表示は
こんな感じになっている。

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見たことがない表示板、はいいとしても
肝心な意味がよくわからない。
「上」を押したはいいが、
いったいどの箱の前で待てばいいのだろう?

 

【青空マーケット】
旧市街の大学広場(Universitaetsplatz)で
青空市場グリューンマルクト(Gruenmarkt)
が開かれているというので行ってみた。

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野菜や果物は
とにかく色と種類が豊富で
見ているだけでワクワクする。

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そういえば、映画の中でマリアも
子どもたちを連れて来ていた。

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チーズもこの迫力。

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パンもどれもおいしそうだ。

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ちなみに、マーケットのある
大学広場のすぐ横には、
コレーギエン教会がある。

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大学付属の教会のようだが、
真っ白な外観はかなり目を引く。

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【モーツァルト橋】
ザルツァッハ川に架かる
歩行者専用の小さな橋。
「サウンド・オブ・ミュージック」では、
ピクニックに行く途中のマリアと子供たちが
歌いながらかけ抜けている。

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今回は正面までは行けなかったので、
となりのシュターツ橋からの眺め

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と、ホーエンザルツブルク城塞から
見下ろした橋の様子のみ。

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手前が旧市街となるが、川の向こう、
川沿いは大きなお屋敷が並んでいる。

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サウンド・オブ・ミュージック関連の話
もう少し続けたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月 8日 (日)

オーストリア旅行記 (7) サウンド・オブ・ミュージック(その3)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (7) サウンド・オブ・ミュージック(その3)

- 踊る人、ポーズをとる人 -

 

オーストリアのザルツブルク発、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の
ロケ地ツアーの三回目。

これまで同様、
映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

バスの中での大合唱
盛り上がっているうちに、
バスはモントゼー(月の湖)の湖畔にある
小さな町に到着した。

 

【モントゼー教区教会】
トラップ大佐とマリアが
結婚式をあげるシーンに使われた教会。

ここの内部はまさに映画のまま。

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多くの祭壇に取り囲まれている
特徴的な教会内部だが、やはり正面、
主祭壇の豪華さには目を奪われる。

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映画にもアップで登場している。
もちろんここは映画のままだ。

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教会は、黄色が美しいこんな建物で、
充分画になると思うのだが、
なぜかこの外観は映画には出てこない。

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結婚式場の鐘塔を思わせる
この映像が一瞬映るものの、
よく見ると、
屋根も窓も時計も違っていて、
この教会の映像ではないようだ。

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教会のあるモントゼーは湖畔の小さな町で、
通り沿いには土産物屋や飲食店が多い。
カラフルなファサード(建物の正面)には
思わずカメラを向けたくなる。

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きれいな配色ではあるものの
人工的な色が並ぶ町並みとは対照的に
周囲はほんとうに美しい緑と
山々の景色に囲まれている。

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ザルツブルク新市街に戻ってきた。

バスによる見学はここで終了。
ここからはバスを降りてすこしだけ歩く。

降車の際には、車内、
この曲がエンドレスに繰り返された。

「さようなら,ごきげんよう
 (So Long, Farewell)」

映画にならって、歌いながら、
ひとりずつバスから降りて消えてゆく。

バスの中での大合唱で盛り上がった仲間たち。
映画をよく知った人ならではの
ノリノリのアクションに、
ただ単にバスを降りるだけなのに
ここでも笑い声と拍手が続く。

 

【ミラベル庭園】
バスを降りて向かったのは、
新市街のミラベル庭園。

映画の中では「ドレミの歌」を歌いながら
マリアと子どもたちが元気に駆け抜けていく。

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右側に写っている
ペガサスの像のある噴水は、
映画では上から撮影されている。

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マリアが歌った緑のトンネル

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では、思わず同じように
踊りだしてしまう人たちも。

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庭園入口もこんな感じで
当時のまま。

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庭園内の「妖精の庭」にも

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映画と同じ像がそのまま残っている。

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妖精の像はほかにもいろいろ並んでおり、
陽気な女性たちは、像の回りで踊り、
ポーズを取り合っては、はしゃいでいる。

楽しそうな雰囲気に思わず
「写真を撮ってもいいですか?」
と聞いたら、"if you want!"

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今見ても、あの時の明るい笑い声が
聞こえてくるようだ。

 

ドレミの歌のクライマックス、
歌の最後は庭園のここ。
後ろにホーエンザルツブルク城塞が見える。

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最後にまとめて見てみよう。
【ドレミの歌】のミラベル庭園部分。

 

 

この庭園で4時間のツアーは終了。

饒舌なだけでなく、
いつのまにか皆の気持ちを引きつけていた
人柄のいいガイドさんにお礼を言いながら、
ツアー仲間は庭園内に散っていった。

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我々夫婦は、
バス内での大合唱の余韻に浸りながら
計画もはっきり立てないまま
気ままな市内観光に繰り出したのだが、
ザルツブルク市内は
映画のロケ地で溢れているため、
あとから映画を見返すと、
「あっ、ここも!」がいっぱい。

というわけで、
ツアーは終わってしまったものの、
旅行記のほうは
サウンド・オブ・ミュージック関連で
繋ぎながら、もう少し続けてみたい。

 

 

(全体の目次はこちら

 

 

 

 

2017年10月 1日 (日)

オーストリア旅行記 (6) サウンド・オブ・ミュージック(その2)

(全体の目次はこちら


オーストリア旅行記 (6) サウンド・オブ・ミュージック(その2)

- バスの中の大合唱 -

 

オーストリアのザルツブルク発、
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の
ロケ地ツアーの二回目。

前回同様、
『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密
瀬川裕司 (著)
平凡社新書
(以降水色部は本からの引用)

と 映画のDVD/Blu-ray

で補足・確認しながら、
振り返ってみたい。
(以降、映画からのシーンは黄色枠で)

 

【ヘルブルン宮殿-ガラスの部屋】
ヘルブルン宮殿の美しい庭の片隅にある
「ガラスの部屋」。

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長女リーズルと恋人ロルフが踊り、
マリアと大佐が愛を語り合った
ガラスの部屋。

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撮影のロケ地だ、と思ってみると
ヘンなところがいろいろある。

 

まず場所。
周辺は緑豊かで美しいが、
実際に建っている場所が
庭の片隅という感じで、
塀がすぐそばに迫っている。
なので
映画で観た「広い庭の中」
という感じがしない。

そもそも全体的に小さくないか?

実は、実際の撮影は
ハリウッドのセットで行われており、
ここにあるのは、
湖畔での撮影時に
背景に映るものとして制作されたものを
観光用に移築しただけのもの。
つまりは
ロケ地でもロケ・セットでもない
ということのようだ。

それでも、外は雨の中、若い二人が
「もうすぐ17歳」を歌いながら踊る
印象的なシーンに登場する
ガラスの部屋ゆえ、
前で記念撮影する人は多い。

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ちなみに、ヘルブルン宮殿の庭は
ほんとうに美しい。
映画のことを一切忘れても、
庭だけを楽しむことができる。

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【ヘルブルン宮殿 裏-小道】
この直線の小道のずーっと先、
距離で言うと約1.5km先で、
マリアがトラップ家を
初めて訪問するところが撮影された。

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トラップ家の屋敷の外観として
ロケに使われた「フローンブルク宮殿」が
そこにある。
ちなみに、屋敷内部の撮影には、
ハリウッドのセットを使ったらしい。

いずれにせよ、
撮影地は「ずーっと先」なので、
これまたここがロケ地というわけではない。

なのに、皆、妙に盛り上がっている。

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映画ではどんな道だったか、
ちょっと覗いてみよう。

Sm01948

この先にありそう、が
十分感じられる程度には
同一の道の雰囲気が伝わってくる。

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その後、トラップ家の屋敷の外観
フローンブルク宮殿」をバスから眺め、

ホーエンザルツブルク城塞(左)
マリアがいたノンベルク尼僧院(右)
両方が見える場所

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に寄ったりしながら、
バスはザルツブルクを離れ、
ザルツカンマーグート(「塩の宝庫」の意)
と呼ばれる、山と湖のきれいな
山岳方面に入っていった。

とにかく山の景色が美しい。

Img_9972s

途中寄ったのは・・・

【ザンクト・ギルゲン】
モーツァルトのお母さんの出身地だという。
さすが、あのレベルになると
母親の出身地すら
観光資源の一部になってしまうンだ。

P7117780r

映画のほうでは、一番最初、
空撮の映像のひとつとして出てくる。
見比べてみよう。
カメラの高度は違うものの、
もちろん山並みはそのままだ。

Sm00144

ちなみに広がる湖はヴォルフガング湖。
母親の出身地なら
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart)の
Wolfgangと関係があるに違いないと思い
少し調べてみたのだが、
関係性についてはよくわからなかった。
関連があるのかないのかも含めて、
なにかご存知の方、
いらっしゃいましたら教えて下さい。

 

【バスの中の大合唱】
この後バスは、マリアと大佐が
結婚式を挙げた教会を目指したのだが、
少しまとまった移動時間の間、
ガイドさんは、
「みんなで歌おう!
 sing-alongだ!」
と言って、映画のサントラ盤を
車内で流し始めた。

もちろん最初は皆
戸惑っている感じだったが、
ガイドさんの盛り上げ方もうまく、
だんだん歌声が大きくなってくる。

バスの中で、皆で歌を歌うなんて、
小学校の遠足以来かも?

ひとりひとりの声が出始めると
まさに相乗効果、
どんどんノリノリになってくる。

Img_9970s


歌詞カードを配ったわけでもないのに、
まったく問題ない。
このツアーに来る以上、
歌えるくらいは常識ってこと?

しかも皆、歌がうまい!

最初は歌いやすいように、
サントラ盤の音を
わりと大きめにかけてくれていたのだが、
歌がのってくると
途中でサントラ盤の音をキュッと絞って、
車内の大合唱だけが聞こえるようにする。

その瞬間の、ゾクッと感が
伝わるかどうかわからないが、
その時の録音の一部を
貼っておきたい。
少しでもバスの雰囲気に近づけるべく、
可能なら、大きめのボリュームで再生を。

まずはこの歌。

These are a few of my favorite things.
の部分をバスの中の声だけにしている。

【私のお気に入り(My Favorite Things)】

繰り返しながらどんどんノってくる。
3回目のあと、ここは大合唱。
When the dog bites
When the bee stings
When I'm feeling sad
I simply remember my favorite things
And then I don't feel so bad


P7117818s

車窓を楽しみながら、
映画の中の名曲を
もう待ちきれない、という感じで
まさに次から次へと歌っていった。

そんな中、最も盛り上がったのは
やっぱりこの歌だった。

「レ」から「ラ」までは
バスの中の合唱のみ。

【ドレミの歌】

Doe-a deer, a female deer
Ray-a drop of golden sun
Me-a name I call myself
Far-a long, long way to run
Sew-a needle pulling thread
La-a note to follow sew
Tea-a drink with jam and bread


Img_9971s

隣には妻が小さくリズムをとりながら
にこやかな笑顔で座っている。
車窓には
ザルツカンマーグートの美しい山々が
次々と流れていく。
耳からは
サウンド・オブ・ミュージックの
名曲の数々が、
その歌を愛する人たちの生の声、
大合唱で流れこんでくる。

まさに夢のような時間だった。

あのとき、歌声と共に
身体(からだ)の芯からこみ上げてきた
ほんのりと温かい、おだやかな幸福感は、
ふたりの旅の一シーンを
特別なものにしてくれた気がする。

 

ところで、
この有名な「ドレミの歌」は、
ドレミと歌っていながら、
実際は「♭シドレの歌」に
なってしまっていることをご存知だろうか。

つまり、ハ長調ではなく変ロ長調。

えっ、ホント?
という方、両方の調で
ワンフレーズ貼っておくので
ぜひ聴き比べてみてほしい。

上のサントラ盤【ドレミの歌】に
自然に繋がるのはほら。

【変ロ長調】

Bd

 

【ハ長調】

Cd

 

「よくわからん」という方のために
テンポが合ってはいないのだが、
強引に両者を繋げて聞いてみよう。
音の高さだけにご注目あれ。

【「サントラ」 から 変ロ長調のドレミ】

変ロ長調だと自然に繋がるが、
強引にハ長調で始めてしまうと・・・

【「サントラ」 から ハ長調のドレミ】

 

原曲ではロジャースが
ハ長調で書いた楽譜が残っており、
舞台版の録音でもメアリー・マーティンは
ハ長調で歌っている。

映画の子役俳優に配られた楽譜も、
ハ長調で書かれている。

ところが映画で聞かれる同曲は、
変口長調になっているのだ。

主演のジュリー・アンドリュースが
一音高いハ長調で歌えなかったはずはなく、
もし理由があるとすれば、
一緒に歌う子どもたちの
音域の問題だったのだろう。

 

ちなみに、車内が大合唱となった
ツアーバスはこんな大型のものだ。

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ロケ地巡りの話、もう少し続けたい。

 

 

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