大岡川遡行 (3)
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大岡川遡行 (3)
- 大岡川分水路の驚き -
ここから始めて
ここまで来た
横浜市の大岡川遡行の3回目。
南太田駅の手前で別れた
京急本線と上大岡駅手前で再会。
今回は交差している。
ちょうどいい時間となっていたので
上大岡駅前で昼食をとることにした。
歩き通しだったので、
「食事+休憩」ですっかりリフレッシュ。
体力の方は回復して元気になったのだが、
このころからカメラの調子が
怪しくなる。
写真は撮れるが露出がヘン。
強制的に露出補正しながら
騙し騙し使っていく。
【青木神社】
社殿前には、掲示があり
"九十九曲り"の異名をとったように
激しく蛇行する大岡川は、
しばしば洪水氾濫を繰り返した。
とある。
内容を読むと、
* 宝永4年(1707年)
富士山噴火による降灰は、
大岡川流域でも60cmにも達し、
それが雨で押し流され
川筋を埋めて
甚大な被害をもたらした、
* 享保16年(1731年)
蛇行の修正や河道の拡幅、
* 天明6年(1786年)
大洪水により大岡川の流れが変り
社地が川の両側に分断、
* 昭和30年以降もしばしば洪水に、
などなど、
洪水関連の記録が並んでいる。
小さいながらも、
ずいぶん暴れん坊の川だったようだ。
【大岡川と日野川の合流点】
左側から大岡川、右側から日野川が
手前に向かって流れ合流している。
これまで通り大岡川の方を追うが、
この先、だんだん川幅も狭くなり、
同時に川沿いが歩きにくくなってくる。
川沿いの道がない部分は、
できるだけ川から離れないルートで。
突然ですが、ここで【問題】です。
下の写真、左手の長い長い高い塀は
さてナンでしょう?
正解は「横浜刑務所」。
橋から見下ろすと
鯉をよく目にするようになる。
住宅街の中を行く。
河口から歩きだして初めて、
水門が見えてきた。
【大岡川水門】だ。
水門の向こうには取水庭が見える。
「大きいのは大きいけれど
この程度の大きさで、
洪水が迫っているとき、
どの程度役に立つものかねぇ」
などと言いながら、
取水庭側に回ってみて驚いた。
「おぉ、これは!」
なんと直径10mにもなる
大きな穴が見える。
近くにあった
「大岡川分水路建設之碑」を見ると
神奈川県と横浜市は、
このような災害を防止するため、
日野川と大岡川の洪水を
直接根岸湾に放流する
大岡川分水路計画を樹立し、
昭和44年に着工いたしました。
以来、
家屋の移転、用地の提供など
多くの市民の方々の
絶大なるご協力のもとに、
12年の歳月と
166億円余の事業費を投じ
昭和56年3月
ここに完成したものであります。
大きな穴はトンネルとして、
そのまま根岸湾、つまり
海にまで通じているという。
これはすごい。
日野川の水も
大岡川の水も
大トンネルを通って、
海に注ぎ込む仕組みがあるなんて。
「大岡川分水路建設之碑」は
立派なものだったが、近くにある
地図の方は劣化がひどく
ちょっと悲しい。
横に走る赤いラインが分水路。
トンネルなので
詳しいルートはよくわからないが、
地図上の直線距離で見てみると、
日野川から大岡川まで約1.4km
大岡川から海まで約2.1km
合計約3.5kmの分水路ルート
(上の地図の赤いラインの総延長)のうち
約2.7km程度は
トンネルになっているようだ。
取水庭を振り返りながら先に進む。
奥に水門。大きなトンネルは
この写真の右手になる。
左手には、このあたりの土地が
室町時代から代々続く
北見家の居住地「川嶋」(かわじま)
であったこと、などが書かれている
石碑(かわじまの碑)もある。
屏風浦バイパスをくぐったあたりから
川に寄ったり離れたりの道になる。
基本的には
「笹下釜利谷道路」に沿う方向。
橋も時代を感じさせる短いものが多い。
橋には、
「事故や安全を考慮して、
あとから追加でつけました」
といった感じの
まさにとってつけたような
補強された柵や手すりが
目立っている。
河口から10.2kmの表示があった。
もう10km以上は
歩いてきたということになる。
川幅がいよいよ狭くなってきた。
次回は、いよいよ最終回。
源流はいったいどんなところに?
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今日は。
私は週3日上大岡でマンション管理のアルバイトをしてまして、この
大岡川もよく目にしています。最戸橋やその下の橋なんかで鯉に餌を
やる時もあります。このあたりを詠んだ短歌もあり、例えば‥
「最戸橋まなかいの瀬にぽつねんと鯎(うぐい)ついばむ白鷺ひとり」
他にもありますが、とにかくいい景色ですよね。
投稿: 平戸皆空 | 2017年6月19日 (月) 07時37分
平戸皆空さん、
コメントをありがとうございます。
上大岡や大岡川に実際に接している方からのコメントは、
その偶然に驚くと同時に、
記事にある種のリアルな風が吹き込む感じがして、
ほんとうに嬉しく思います。
それにしても短歌を詠んでいる人がいる、
には思い至りませんでした。
歌人のセンスには頭がさがります。
白鷺は見かけませんでしたが、
あの景色でこんな歌が詠めるなんて。
歌できくと、景色がちょっと
違って見えてくる気がするから不思議です。
投稿: はま | 2017年6月21日 (水) 23時37分