「消化する」とは
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「消化する」とは
- 小学生男の子の質問 -
年末年始の新聞を読み返していたら、
こんな記事が目に留まった。
生物学者の福岡伸一さんが
書いていたコラム。
旧年からの記事で恐縮だが、
紹介させていただきたい。
福岡伸一の動的平衡
他の生物を「消化する」とは
(以下水色部、2016年12月29日の
朝日新聞の記事から引用)
しっかりかんで食べましょう。
消化がよくなるように。
消化とは、食べ物を細かくして栄養を
取り込みやすくする作業だと
思っていませんか。
実は、消化のほんとうの意味は
もっと別のところにあるんです。
「消化のほんとうに意味」とは
いったい何だろう。
そもそもは他の生物の一部。
そこには元の持ち主の遺伝情報が
しっかりと書き込まれている。
遺伝情報はたんばく質の
アミノ酸配列として表現される。
アミノ酸はアルファベット、
たんばく質は文章にあたる。
他人の文章が
いきなり私の身体に入ってくると、
情報が衝突し、干渉を起こす。
これがアレルギー反応や拒絶反応。
それゆえ、
元の持ち主の文章をいったん
バラバラのアルファベットに分解し、
意味を消すことが必要となる。
福岡さんらしい、
実にわかりやすいたとえだ。
他人(他の生物)の
文章(たんぱく質)は、
アルファベット(アミノ酸)に
分解する必要がある。
自分の身体の文章を再構築する。
これが生きているということ。
つまり消化の本質は
情報の解体にある。
他人の文章をアルファベットに分解し、
そのアルファベットを使って、
自分の文章を作ることが、
生きるということ。
食べれば消化されてアミノ酸になる。
一方、体内で必要なコラーゲンは
どんな食材由来のアミノ酸からでも
合成できる。
だからコラーゲンを食べれば、
お肌がつやつやになると思っている人は、
ちょっとご注意あれ。
それは、他人の毛を食べれば、
髪が増えると思うに等しい。
どんなにいいたんぱく質でも
食物として摂取する限り
それがそのまま自分の体の一部、
つまり自分の体を構成するたんぱく質に
なるわけではない。
一度はアミノ酸にまで分解し、
それを原料に、
自分自身のたんぱく質を作らないと
自分の体の一部にはならないわけだ。
消化は「良く噛む」といった程度の
小ささではなく、
まさに食物をアミノ酸レベルにまで
「小さく小さくする分解作業」なのだ。
この記事を読んでいたら学生時代の
ある景色が急に甦ってきた。
私は、理系学部の学生だったこともあり、
学生時代、
数学や理科の家庭教師をよくしていた。
小学生から高校生まで、
ずいぶんいろいろな生徒さんに
巡り合った。
ある時期、
小学校高学年の男の子ばかり5人、
グループ学習という形で、
理科を教えていたことがある。
ちょうど「消化」について
教えている時だった。
福岡さんのような
上手なたとえはできなかったし、
小学生にアミノ酸についてまでは
教えなかったと思うが、
とにかく、「消化とは」
口から胃、腸に移動する過程における
「食物を小さく小さくする分解作業」
だということは強調した。
たしか「唾液」の作用くらいまでは、
教科書でも触れられていた気がする。
ひととおりの説明を終えたあと、
最後に「ハイ、質問は?」と聞くと、
ひとりが手を挙げた。
「先生! 食物は、
小さくしないと体に吸収できない。
だから、消化は
小さく小さくする作業だ、は
よくわかりました。
でもぉ・・・
だったら、最後はどうして
あんなにデカいのですか?」
小学生の男の子5人、
爆笑の渦はよく覚えているが、
どう回答したかは全く覚えていない。
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≪…消化のほんとうの意味…≫を、数の言葉の自然数の創生過程にも、
『ながしかく』での≪…消化…≫は、
[÷] ⇔ [-] と [×] ⇔ [+]
の関係を明示している。
十進法の基での桁表示の西洋数学の成果の6つのシェーマ(符号)を『カオス表示』とすると、
「コスモス表示]としての自然数が観得る。
[1]は、さまざまな[カオス表示]の[ヒエラルキー構造]を観る。
[0]は、割る手続きを避け、[数の肩](冪算)に乗り[1]に化ける。
投稿: [高階述語論理](量化って) | 2020年6月18日 (木) 14時52分