地図二題
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地図二題
- 北方領土と日本海 -
ロシアのプーチン大統領が
2016年12月15日,16日訪日。
安倍首相と日露首脳会談が開かれたが、
昨日17日の朝日新聞一面は、
相変わらずこんな見出しになっていた。
「領土交渉は進展なし」
手もとに米国で買った
HAMMOND
ODYSSEY ATLAS OF THE World
という地図帳がある。
米国産のこの地図に、
北方四島を含む国境は
どんなふうに描かれているのだろう?
ちょっと見てみよう。
国境線は国後島の南側。
すぐ北側にはRUSSIAの文字が。
やはりロシア領になっている。
ただしコメントが添えてある。
(ご興味があればクリックしてご覧あれ)
こちらにも。
コメント部だけを書くと
claimed by Japan.」
「1945年からロシアに占領されており、
日本がクレームしている」
うーん、なんとも冷静で客観的な記述だ。
外国の地図は、
その国からの視点を教えてくれる。
グーグルマップ等、
Web版の地図の登場と
スマホやカーナビの普及で
地図帳の大きな制約だった、
「固定縮尺」と「ページ割」からは
今はすっかり開放された。
技術的な改革が進む一方で、
「編集の意図」を前面に押し出して
興味深い「形」を見せてくれている
地図もある。
佐渡市が、
「環境にやさしい歴史と文化の島」として、
東アジア諸国との交流に視点をおいて
平成22年3月に刊行した地図
逆さ日本地図「東アジア交流地図」
もそのひとつ。
佐渡を中心に、
北の札幌市と南の福岡市を結ぶ線が
水平方向になるように回転。
大陸を下部に、
日本列島を上部に配置している。
そうするとこんな姿が現れる。
たったこれだけのことなのに、
見慣れた日本列島を見失ってしまうほど。
日本海がいかに閉じた海なのかもよくわかる。
この地図、
購入はこちらから簡単にできる。
なお、「日本海」については、
今年出版された
蒲生俊敬 (著)
日本海 その深層で起こっていること
講談社ブルーバックス
(書名または表紙画像をクリックすると
別タブでAmazon該当ページに)
がたいへんおもしろい。
日本海を取り囲む4つの海峡
間宮、宗谷、津軽、対馬は
幅が狭いだけでなく、どれも浅い。
そのため、日本海は
まさに海洋としての閉鎖性が高い。
そのことにどういう意味があるのか。
内容については、
改めて別な機会に紹介したいと思う。
お正月の読書に向けて、
本を探している方にはお薦め。
直接は見えないけれど、
「その深層で起こっていること」に
思いを馳せることができる。
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