ただあなたにGood-Bye
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ただあなたにGood-Bye
- ラジオは言葉を探す間(ま)も -
前回に引き続き、
2016年11月23日放送の
井上陽水の歌の世界を読み解く特別番組
『ミュージック ドキュメント
井上陽水×ロバート キャンベル
「言の葉の海に漕ぎ出して」』
というTOKYO FMのラジオ番組から
陽水さんの言葉を紹介したい。
まずは、テレビのニュース番組の
エンディングでも使われていた
「最後のニュース」を。
最後の、
♪ただあなたにGood-Bye
の歌詞を意識してお聞きあれ。
作詞・作曲 井上陽水
♪
闇に沈む月の裏の顔をあばき
青い砂や石をどこへ運び去ったの
忘れられぬ人が銃で撃たれ倒れ
みんな泣いたあとで誰を忘れ去ったの
飛行船が赤く空に燃え上がって
のどかだった空はあれが最後だったの
地球上に人があふれだして
海の先の先へこぼれ落ちてしまうの
今 あなたにGood-Night
ただあなたにGood-Bye
♪
ある映画の最後にこの曲が使われ、
その部分の英語字幕を頼まれたキャンベルさん。
一度訳して、陽水さんに送るのだが、
最後の♪ただあなたにGood-Bye
の部分で、ダメ出しを食らってしまう。
ぼくはね、無意識にですね
ただあなたにgood-bye
というのは、
あなたに向けてgood-bye
というふうに思って、
just for you good-bye
just for you だと。
陽水:
あなた、そうか
あなただけに。
キャンベル:
あなたに向けて。
陽水:
じゃないんじゃない、
ていうこと言ったのかな。
キャンベル:
うん、そういうふうに言われて
ハッとしたんですね。
ぜんぜんそのことに気がつかなかった。
陽水:
ただ、あなたに、
ちょっと違うかもね。
さて、陽水さん、
「just for you」が、
どう違うと言いたかったのだろう?
キャンベルさんが
「どんなふうに?」と再度問う。
ラジオは、
言葉を探す、迷う間(ま)も伝わるからいい。
えっと、どんなふうに?
陽水:
うーん、
たくさんいるけれど、
ただあなたに、ではなくて、
なんかいろいろかける言葉も
いろいろあるかもしれないけど、
まぁ、good-bye
ただこの言葉ぐらいかな、
みたいなニュアンスですかね。
キャンベル:
そうか、そうか。
多くの人の中の「あなた」ではなく、
多くの言葉の中の「good-bye」。
just for you good-bye
ではなくて
ぼくはそれを書き換えて
また送り返したのですけれども
simply to you good-bye
というふうにさせてもらったんですね。
たぶんそれはそのまま映画のエンドロールの
字幕になってたと思うんですけれど
simplyですね。
いろんな人がいる中でひとりじゃなくて
いろんなことが、ここでほんとは言えるし、
言わないといけないかもしれないンだけど、
でも、いまそっとgood-bye、
そっちだな、という。
陽水:
まぁ、いろいろ言葉もあるけれど。
キャンベル:
すごく、
今日のニュースにもいろいろなことがあり、
この歌の中に歌われている
いろんな環境の問題であったり、
暴力、戦争、いろんなことがあるけれど、
あなたにGood-ByeというGood-Night
いろいろ言葉もあるけれど、
ただgood-bye。
どこをどう切っても、
陽水さんらしさが溢れている。
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