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2016年3月27日 (日)

36年前の青函トンネル

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36年前の青函トンネル

- 二度びっくりする -

 

昨日(2016年3月26日)、
北海道新幹線の新青森-新函館北斗間が
開業した。

このニュースを聞いて思い出した
古い古い新聞記事があったので、
サンゴの話の途中だが、
ちょっと割り込みたい。

 

記事はこれ。
1980年9月18日の朝日新聞夕刊、
今から36年前!の記事
だ。
(以下、水色部、記事からの引用)

A800918seikan

工事の進む青函トンネル、この時点で、
あと3kmのところまでは来ているものの、
まだ貫通はしていない。

 青函トンネルの掘削現場を見学した。
 北海道側の吉岡建設所から、
登山電車のようなトロッコで急な斜坑を下り、
海面下300mの先進導坑の基点に出る。

本坑より一歩先行して掘られている
細いトンネルだ。

 そこでトロッコを乗り換え、
薄暗い坑内をさらに約10km近く走る。

途中でバッテリー交換があった。
火災と空気汚染防止のため、
トロッコはすべて電池式である。

トロッコは電動トロッコだったようだ。

 

 約一時間で先端に着く。
現場は、長ぐつがくるぶしまで埋まるぬかるみで、
わき水は塩っからい。

津軽海峡の真下にいるのだなあ、という実感が
あらためてわいてくる。

 そこでは、さらに前方へ地質調査の
水平ボーリングが行われていた。

本州側から掘られているトンネルの
先端まで残るはあと3km余という。

この先進導坑を追うような形で掘られている
本坑の切り羽では、
まず両側部、次いで上部、中央部という
独特の順序で掘削が続けられていた。

三階建てのビルがすっぽりおさまるような
本坑の広さには目をみはる

塩っからいわき水によるぬかるみの中、
三階建てのビルが入るほどの大きさの
本坑の工事が続いている。

 

 

 ここでは、岩盤の割れ目や軟らかい部分に
高圧でセメントミルクや水ガラスを注入して
周囲を固め、その真ん中を堀り進んでいる。

世界でも注目の新工法である。

 深い地下の掘削現場だが、
そこには余裕と自信があふれていた


四度の大出水事故にもめげず、
水との闘いを切り抜け、
最新の工法をこなしている余裕なのだろう。

(中略)

 現場の関係省も、破砕帯突破の苦心談や
新工法の話では目を輝かせる

どんな分野であれ、
プライドを持ち、創意工夫を怠らない
仕事人たちの姿は美しくて、かっこいい。

 

だが完成後の話になると、
とたんに表情が翳る。

せっかくのトンネルが
どう生かされるか決まっていないからだ


一応、新幹線と在来線が両方通れるように
三本のレールを敷く設計になっているが、
新幹線が通るのはいつのことか見当もつかない

16年前に着工したころは
「輸送力増強のため」という
トンネル建設の目的もはっきりしていたが、
高度成長の行き詰まりと航空路の発達で
事情が変わった。

最近では「北海道防衛のため」といった
取ってつけたような意味づけさえ聞こえる。

「新幹線が通るのは
 いつのことか見当もつかない」
と書かれたその新幹線が、
この記事から36年たって、
ようやく、ようやく実現された

 

そして記事はこう結ばれている。

 総工費約6千億円。
外国からの見学者も絶えない。
が、日本の技術力に驚嘆したあと、
どう使うか決まっていない、と知って
二度びっくりするそうである

この最後の行があるがゆえに、
今も捨てられずにいる。

 

上の記事から36年後、
今朝(2016年3月27日)の新聞には
「青函トンネルの工事に関わった人たちは、
 念願だった開業を感慨深く迎えた」とある。

A160327seikan

「ようやく夢がかなった。長かった」
26日朝、北海道知内町の展望台を
訪れた角谷敏雄さん(81)は、
本州からの下り一番列車を見て、涙した
・・・
着工から24年かけて88年に開通。
事故で作業員34人が死亡した。
・・・
「ようやくみんなの苦労が実ったよ
 と伝えたい」

 

新函館北斗-札幌間の開業は、2030年度末、
これからさらに「15年後の予定」と言う。

 

【オマケ】
「新幹線の開業」と聞くと
東日本大震災の翌日、2011年3月12日に
全線開通した九州新幹線のCMの音楽
マイア・ヒラサワさんの「Boom!」

なぜか頭の中でループしてしまう。

このCM、
2011年にアップロードされたYouTubeの動画のうち
音楽、震災関連動画を除く再生回数で
総合ランキング1位(11年12月時点で350万回)に
なったらしい。

久しぶりにもう一度見てみたい、と
検索してみたのだが、
残念ながらその時の動画は公開を終了しているもよう。
CM自体は下記で見ることができる。

  0:30-3:30の部分。
  最初と最後のタイトル(message・・・)は
  オリジナルのCMにはなかったもの。

ニコニコ動画のアカウントをお持ちであれば、
下記リンクからオリジナルのまま見られます。

【ニコニコ動画】【高画質版】祝!九州 九州新幹線全線開業CM

 

 

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