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2015年12月27日 (日)

越冬芽

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越冬芽

- 桜の蕾(つぼみ)はいつできる? -

 

先日、京都の紅葉の写真を
ここここにUpしたが、
紅葉の写真を撮ろうと
木々を見上げていると、
紅葉した色とりどりの葉だけでなく、
越冬芽も目につく。

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今日は、「越冬芽」について、
甲南大学の田中修先生の話を聞いてみたい。
(2013年6月23日放送、NHKラジオの録音の一部)

まずは、蕾(つぼみ)の話から。

桜の蕾(つぼみ)はいつできるか、ご存知だろうか。

「春」「夏」「秋」「冬」

さていつだろう?

 

来年の春に咲く桜の蕾は
今年の夏には作られています

それは
秋になったらどうなっているのかというと
秋の桜の芽、硬い芽がありますが、
あの芽の中に、
ちゃんとできた蕾は包まれて、
隠されています。

咲く前の年に蕾を作るのは桜の特徴?
と思った方、それはそうではないようだ。

 

多くの春に花咲く花木というのは、
夏に蕾を作り終わっています。

例えば、

 モクレン 5月中旬、
 サツキ、ツツジ 7月、
 クチナシも7月、
 梅も7月、
 りんご、桃は8月、
 ハナミズキは9月、

いうふうに
みんな前年の夏ごろには、
その次の春に花咲く蕾を
もう作っているンです。

ずいぶん早くに蕾は用意されているのだ。
では、どうして秋に咲かないのだろうか。

それは
「咲いても、すぐに寒くなって
 冬前に種子を作り上げることができないから」

菊やコスモスは、
花が咲いてから種子を作るまでの期間が短いから
秋に咲いてもOKというわけだ。

蕾を持った植物は、
冬の寒さを通り越すために
夏にできた蕾を
越冬芽で包み込もうとする。

ところが植物の成長はゆっくりしたもの。
冬になってから越冬芽を作ったのでは
間に合わない。
なので、秋から準備を開始する。

では、どうやって
これから寒い冬が来ることを知るのだろう?

 

秋の間にもうすぐ寒い冬が来るから
越冬芽を作らにゃいかんのやないかって、
樹木は知っているか、という疑問ですが、
それはさっきの復習で思い出して下さい。

知ってるんです。わかるんです。

どうしたらいいか。
夜の長さを測ったらいいんです。

夜の長さを測るのは葉っぱ。
夜がだんだん長くなってくると
葉っぱはアブシシン酸という物質を作り、
それを芽に送るようになる。

芽にアブシシン酸が溜まってくると
越冬芽になる、という仕組みだ。

なので普通は蕾があっても
秋に咲くことはない。

なのに・・・

よく、「秋に桜の花が咲いた」
というニュースが流れます。
で、珍しい、不思議だ、言われます。

確かに、春に花咲く桜の蕾が
秋に咲いたらそりゃ不思議、だし
珍しいです。

でも、今のお話よく理解してもらったら、
どんな時、秋に桜の蕾は咲くか、
わかってもらえると思います。

もしも葉っぱがなかったら、とお考え下さい。
葉っぱがなかったら夜の長さが測れません。

夜の長さが測れなければ、
アブシシン酸を芽に送ることはしません。

そしたら芽には蕾があるわけで、
秋と春の温度はほとんど一緒ですから、
芽の中にある蕾はアブシシン酸が届かなくて、
暖かくなってきたらそのまま咲く、
ということになって咲いてしまいます。

葉が夜の長さを測り、
越冬芽を作り、
冬が来る前に冬の支度を終える。

ですから
「秋に桜の花が咲いた」って聞かれたら、
必ず、そこよく読んでみて下さい。

葉っぱが夏に毛虫に、
ほとんど全部食べられてしまった、
いう前歴があります。
季節を勘違いして、って言われますが、
別に季節、勘違いしているわけじゃありません。

葉っぱが何かの理由で、
大抵の場合は毛虫なんですが、
毛虫に全部、ほとんど全部食べられてしまったんで、
秋に夜が長くなってくるということを
測れない、そして、アブシシン酸を芽に送れない。

だから秋に咲いてしまう、というのが
桜の花が秋に咲く理由、
そしてその裏返しには、
植物が越冬芽を作っていく仕組み
というのがちゃんと存在している
とわかってもらえると思います。

 

光合成による有機栄養分の合成、
蒸散による根からの水分の吸引、の他に
葉にはこんな大事な役割もあったのだ。

 

 

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