女偏(ヘン)の漢字を思い浮かべて
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女偏(ヘン)の漢字を思い浮かべて
- 昭和24年の男子校で -
山藤章二 (著)
老いては自分に従え
岩波書店
(書名または表紙画像をクリックすると
別タブでAmazon該当ページに。
以下、水色部は本からの引用)
を読んでいたら、こんな話が出ていた。
山藤さんの中学校の授業の思い出。
国語の先生のこんな問いから話は始まる。
(女ヘン)の字を
片っ端から挙げてみなさい
と言い出した。
それを黒板に書いてゆく。
「好」「娘」「嫁」「奴」「妖」……
そこらへんで声がなくなった。
さあ、もう少し思い出してみよう。
このくらいしか思い浮かばないのか」。
おもむろに先生は
〈女へン)の字を書いた。
ついでに意味も。
「姉」あね。
「始」はじめる。
「妬」ねたむ。
「威」おどす。
「姦」かしましい。
「娼」あそびめ。
「媚」こびる。
「妨」さまたげる。
「婦」かかあ。
「妊」はらむ。
「奸」よこしま。
「どうだ。ざっと読んで
大方のイメージが湧くだろう。
女というのはな、
ねたんで、おどして、うるさくて、
こびて、さまたげて、よこしまで、
すぐはらむ生物だ。
これからキミらはこういう生物と
つき合うことになるのだから、
くれぐれも注意するように。
漢字は嘘をつかん。
え? (男へン)は無いのかって?
無いのだよ。部首に男は無い。
そういう意味もおいおいわかる」
このときの授業は
ものすごく印象的だった。
まだ中学生の男子に、
漢字のカを借りて、
女性なるものの真髄を
教えてくれたのだから
この先生、よほど身にこたえるものが
あったのだろう。
今となっては
教育上ふさわしいかどうかはともかく、
人生勉強としては、
後世とても役に立った。
昭和24年の男子校。
今なら問題になりそうな内容だけれど、
当時の男子校で、これはウケたことだろう。
ところで、ほんとうに
部首に男ヘンはないのだろうか。
すぐに思いつくところでは「男女男」と書く
「嬲」(なぶる)
私が愛用する
漢和辞典「新字源」で調べてみると
なんとこの字も「女ヘン」に分類されている。
ところで、
「部首に男は無い。
そういう意味もおいおいわかる」
と言った先生。
中学校を卒業してウン十年、
残念ながら私、
いまだに「男ヘンのない意味」は
わかっておりませぬ。
ご存知の方、いらっしゃいましたら
ぜひ教えて下さい。
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漢和辞典で調べると、「男」は「田」部で出ていて、田+力⇒男となっています。つまり、耕作や狩りに力を出すのが男という訳です。最初から単独で出来た字ではなく、田から派生した字なのでヘンになれないということでしょうか。「女」の方は、なよなよとした感じを表す象形文字として出来たとされます。独立した字形として出来ている分、女の方が地に足が付いているとも言えそうです。さらに女ヘンとして色々な字を派生する(生み出す)点で、漢字の上では男より女の方がエライということになりますかね。
投稿: 平戸皆空 | 2015年12月 1日 (火) 15時48分
平戸皆空さん、丁寧なコメントをありがとうございました。
なるほど、そうかもしれませんね。
どんな意味の漢字を持とうと、本質的な意味で女性にはかなわないので、
ヘンな対抗意識は男の負け惜しみを助長するだけのような気もするのですが、
それでもどこかで別な理屈というか意味を探そうとしている自分がいます。
たとえ漢字の正当な解釈からはかけはなれた、トンデモ論だとしても、
先生が口にした「おいおい」に、その自由度が許されているようで。
投稿: はま | 2015年12月 1日 (火) 23時03分