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2015年7月26日 (日)

「ここで働きたいとは思わない」

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「ここで働きたいとは思わない」

- 3日やそこら休める社会に -

 

先日、欧州、数カ国の人と
日本についていろいろ話をする機会があった。

皆さん、日本のことをベタ褒め。

どこに行っても、清潔だし、安全だし、
電車は正確だし、
商品は多彩で溢れているし、
人はちゃんと列を作って並ぶし、
店員は笑顔で親切だし、
約束は守るし、相手のことを気遣うし。

まぁ、お世辞もあるだろうし、
日本で巡りあった人が、たまたまよかった、
ということもあるとは思うが、
褒められれば悪い気はしない。

 

ただ、一方で、
皆が口を揃えて言ったのは

「日本はいい国だし、
 住んでみたいとも思うけれど、
 ここで働きたいとは思わない」


だった。

長時間労働、長時間通勤、満員電車、
残業の多さや休暇の少なさ、
仕事自体のアウトプットよりも、
会社への忠誠心を見せることのほうが、
評価される傾向にある違和感。

体調が悪ければ、
本人のパフォーマンスは落ちるし、
場合によっては近くの人に
感染することもあるのだから、
仕事の成果を中心に考えれば、
どう考えてもちゃんと休んだほうがいいのに、
すぐに休まずに、無理して働くことが
「がんばって働いている」と
思われる価値観の不思議さ。

その場でいちいち確認を求めてきたが、
日本の労働環境・価値観・倫理観の情報は、
興味深い対象として、かなり詳しいことまで
伝わってしまっている。

そりゃ、ぜんぜん違うよ、と
完全否定出来ないところがつらい。

 

それにしたって、

「ここで働きたいとは思わない」は

あまりにも悲しいじゃないか。

 

ちょうど、一昨日(7月24日)から苗場スキー場で
2015年のフジロックが始まった。
規模も多彩なアトラクションも
他のフェスとは一線を画す大イベントだが、
このフジロック、以前
「3日間通し券」しか発売せずに
話題になったことがある。

そのことについて、
「フジロックフェスティバル」を
1997年に始めた会社、スマッシュの社長
日高正博さんはこんなコトを言っていた。

2006年7月22日の朝日新聞の記事から紹介したい。
(以下水色部は記事からの引用)

A060722_1s

日高さん、

高校へ通ったのは一週間ほど。
その後は
近くの公園で寝泊まりするホームレス同然の生活だ。
ただ、都会の景気は右肩上がり。
「工員求む」と掲げた働き口には事欠かず、
寮にも入れた。

(中略)

部品工場、氷屋、野菜市場、運転手・・・。
全国を転々とし、21歳までに100近い仕事を経験した。

というすごい経歴の持ち主だ。

A060722_2s

-社員も激務ですね。

日高
   ほんとにきつい仕事をさせている。
   でもそれを通して、
   よそから引き抜かれる人間をつくりたい。
   そうすれば会社がつぶれても大丈夫だから

なんておもしろいことも言っている。

で、3日間通し券について。

-04年には3日間通し券だけを発売、論議を呼びました。

日高 
   日本の夏って高温多湿なのに、
   みんな無理やり会社に行き、
   まとまった休暇はなかなかとれない。

   生意気なようだけれど、
   「休みを取りなさいよ」と言いたい

   いまだにロックフェスに行くために
   会社を辞めなきゃいけない子がいる。

   音楽好きな人たちが、
   3日やそこら休める社会にならないと

 

生きるために仕事はしないといけないし、
そこにはつらいことばかりではなく、
達成による充実感ももちろんある。
それでも人間は、
仕事をするために生きているわけではない

「3日やそこら休める社会にならないと」

 

 

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コメント

hama-1987さん、こんばんは

「この国では働きたくない」・・・否定出来ないだけに辛いですね。

仕事人間の私が言うのもおかしいのですが、今はライフワークバランスを考えながら事業も進めないいけないと思っています。

日本が高度成長時代にヨーロッパなどを旅しながら思っていたのは、「こんな働き方で給料がもらえるのが不思議」と日本的な感覚でものを評価していた時期がありました。しかし年齢を重ねて「人生って一度きりだよね、人生一人一人に合った生き方があるよね」と思えるようになったのです。

私自身は仕事人間から変われそうもありません。それは「自分の不勉強が患者さんの不利益になる」と今でも考えているからです。勉強しなくなったらこの仕事辞めようと思っているのです。

これは自分自身に対してだけです。やっと他の人に対して自分に合った人生設計をして生きてゆきなさいと言えるようにはなりました。

日高正博さんのこと初めて知りましたが、興味の尽きない方のように思いますね。

hama-1987さん こんにちは
いつも、おもしろい視点の記事を読ませています。
「いい国だけど、ここで働きたくはない」は厳しい言葉ですね。
何のために働くのか、何のために生きるのか?という価値観、これまでの財産の積み上げみたいなものが違うのかもしれません。
ちょうど多くの国の人が集まる会議から帰ったばかりですが、会議を進めるにあたり、日本人的に考えれば、時間を守って効率的に話を進め、なんらかの結果を(妥協して)出したいと思うのですが、多くの人は、まずは自分(自国)が何を言いたいのか、そのことによって自分にとって何が最大のメリットかを考え(一見わがままのように)自分の主張を続けるのには、驚かされます。逆に、相手からすれば、何故日本人は自分の立場を譲ってもすぐにまとめようとするのだろうと不思議に思うのかと思います。
突き詰めていくと、人のために(あるいは全体のために)、自分の主張を取り下げるような国では働きたくないということになるのでしょうか?

omoromachiさん、
khaawさん、

丁寧なコメントをありがとうございます。

やはり、基本は
「人生を楽しむために働く」なので、
日本のように、一週間程度の休みすらなかなか取れないンじゃ、
いつ楽しむンだ、と思っているのかもしれません。

特に欧州の人は毎年、夏休みが長く取れますからね。
(金曜日の帰宅時間も早いけれど)


>「こんな働き方で給料がもらえるのが不思議」
思わず笑ってしまいました。
確かに、まさにそう思える勤務態度に出逢いますよね。
いろいろ変わってきたとは言え、
日本人の勤勉さ、緻密さは、
欧米と比べると、やはり群を抜いていると思います。

でも、米国はともかく、
欧州では全員が2~3週間の夏休みをとっても、
ちゃんと回っているのだから、
日本でもできないはずはない、とも思うのですが。

>勉強しなくなったらこの仕事辞めようと思っている
いずれにせよ、omoromachiさんのような
責任感と向上心にあふれるお医者さんに
診てもらっている患者さんはほんとうに幸せだと思います。


>すぐにまとめようとするのだろう
痛いほどわかります、その気持ち。
でも、自分の主張をするのも上手ですが、
問題が発生したとき
「オレのせいじゃない」という責任回避のコメントも
ほんとに上手ですからね。
このあたり、体験談を語りだすとキリがない。


労働においても、人生の楽しみ方においても、
それぞれの価値感があり、
一方的にどちらがいい、悪いがあるわけではもちろんない。

ただ、仕事の成果ではなく、
長時間労働で忠誠心を示すようなバカなことは
やはり改善したほうがいい、と思っています。

同じ言葉を繰り返してしまいますが、
「3日やそこら休める社会にならないと」

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