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2015年7月19日 (日)

花や果実の美しい色が守っているものは

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花や果実の美しい色が守っているものは

- 人間は分けてもらっている -

 

一気に真夏の日差しになってきた。

最近は、小学校のプールで
日焼け止めクリームを許す許さないが
話題になることもあるらしい。

いつのまにか、紫外線や日焼けは
すっかりワルモノになってしまった。

私が子どものころには、
日焼けは元気の象徴のようなところがあり、
夏休みの後半、
だれが一番黒いかを競う、
「日焼けコンテスト」のような
イベントまであったのだから、
まさに隔世の感だ。

紫外線による「害」と言われる部分と
それによって誘発される「活性酸素」の話は
いまや至るところで目にするので、
詳しい説明はそちらに譲りたい。

 

今日は、その「紫外線」から
逃げることも隠れることもできない「植物」が
どんな仕組みをもっているのか、
甲南大学の田中修先生
話を聞いてみたい。
(2013年6月2日放送、NHKラジオの録音の一部)

 

植物は紫外線に当って日焼け、ってしません。

植物が紫外線に当って
葉っぱにシミができているという話聞かないし、
葉っぱがシワだらけになったという話も聞きません。

だから私たち人間からすると、
紫外線って植物にはやさしいンじゃないか、
と思いがちです。

でもこれは人間のヒガミです。

紫外線はやっぱり植物の葉っぱに当たって
活性酸素を生み出すンです。

ですから植物は
活性酸素を消去する物質っていうのを
持たなければなりません

 

抗酸化物質 ビタミンC & ビタミンEの登場だ。

活性酸素を消去する物質っていうのが
「抗酸化物質」と呼ばれるものです。

近年は健康食品のカタログなんかにこの言葉は
しょっちゅう出てきます。

で、これ代表は何かって言うと
ビタミンC、ビタミンE
が抗酸化物質の代表です


ビタミンEというのは
若返りのビタミンと言われて
アーモンドとか落花生とかカボチャなんかに
かなり多く含まれています。

植物の中にビタミンCやEを多く持っている
というものを私たちはよく知っています。

ところが、
「なぜそう言う植物が
 ビタミンCやEを多く持っているのか」

という問いかけはほとんどしません。

「なぜ、そういう植物に
 ビタミンCやEが多く含まれているのか」

答えは至極当然で簡単なものだが、
意外と忘れがちな視点でもある。

それは、植物は
自分が生きていくために
ビタミンCやEを作っているンです


ですからその植物が作ったもの、
それは自分たちの体を守るものですが、
私たちもおんなじ悩みを持っていますから、
それを利用させてもらっているだけなんです。

特に私たち人間の場合には紫外線だけじゃなくって、
激しい呼吸をしていますから、
活性酸素は呼吸から発生してきます。

だから植物が作ってくれている
抗酸化物質を利用させてもらって

健康に注意している、
という言い方ができると思います。

植物が、自分を守るために作ったものを、
分けてもらって人間が利用している...

 

植物は実はビタミンCやE以外に
もっと強力な抗酸化物質を持っています。

そのひとつが
「アントシアニン」という花の色の色素です。
これはポリフェノールという物質群のひとつなんで、
「ポリフェノール」っていう言葉で
代用されることもあります。

アントシアニンというのは
この赤い花の色がだいたいそうです。

それから
朝顔とかツユクサとかりんどうとか桔梗とかの
青い色もアントシアニンの色なんです。

もうひとつ植物が持っている色素で抗酸化物質、
それが「カロテン」という黄色、橙色の色素です。

これはカロテノイドという物質群のひとつなんで、
「カロテノイド」という言葉で
代用されることもありますが、
強力な抗酸化物質です。

菊とか菜の花とかマリーゴールドとかの
黄色、橙系の色の中にこれが含まれています。

花の色は、抗酸化物質の色なのだ。

 

ですから
「花がなぜきれいな色なのか」
という問いかけに対する答えは、
ひとつは虫を引き寄せるためです。

でも、もうひとつは
花の中で子どもが生まれてくるわけです。
ですからその子どもたちを
紫外線から守らなければなりません。

ですから植物の花びらというのは、
そこにアントシアニンやカロテンという
抗酸化物質をたくさん含んで
赤ちゃんを守っている
、と考えてもらったら、
植物の花の色がなぜきれいなのかということが
よく理解してもらえると思います。

なので、花の色は強い太陽の光にあたると、
「種(たね)を守るために」
ますます濃いきれいな色になっていく。

例えば、高山植物の花の色っていうのは
原色で非常にきれいです。

それは高山っていうところは紫外線が多い、
だからその紫外線の害を消すために
きれいな色の色素をたくさん作っている、
ということになります。

だから、太陽の光が強いっていう
逆境に出逢うとますます植物たちは
魅力を高めてきれいな花になっていく

ということです。

 

「種(たね)を守る」のは、
もちろん花の時だけではない。

花だけじゃありません。
これらの色素は実になってもまだ、
実の中にある種を守り続けています


ですから、ぶどうの回りアントシアニン、
それから、ナスの回りに濃いアントシアニン、
ブルーベリーの回りのアントシアニン、
中の種を紫外線の害から守っています。

カロテンの赤から黄色の色も
パプリカとか、トマト、柿なんかの色となって
守っています。

ですから色づいた野菜や果物というのは、
最後まで自分の子どもを守っている姿

と思ってもらったら
もっとおいしく食べていただけるかも
わかりません。

 

「果物、果実は、なぜきれいな色なのか」
というひとつの答えは、
動物に「もうおいしくなったよ」って知らせて
食べてもらうためです。

動物が食べてくれたら、
その中にある種を一緒にどっかに持って行ってくれて
フンとして撒き散らしてくれます。

そしたら
新しい生育地を植物は獲得することができるので、
自分は動きまわることなく
新しい生育地を獲得するために、
この「動物に食べてもらうため」
というのは大切なことなンです。

もう一つは、果実の中の子孫、
すなわち「種を紫外線から守るため」
と考えていただいたら
果物、果実がきれいな色をしている意味は
よくわかってもらえると思います。

 

動物が自由に動き回れることに対して
「植物は動き回れなくてかわいそう」
という人がいるが、田中さんは、
「動き回れないのではなく、
 動き回る必要がないのだ」と言っている。

動物が動き回る理由は大きく3つ。
 (1) 食べ物を得るため。
 (2) 生殖の相手を探すため。
 (3) 危険から身を守るため。

これに対して、植物は、
光を使って水と二酸化炭素から
炭水化物を作り出す「光合成」で(1)を満たし、
「受精に風や虫を利用する」
風媒花、虫媒花で(2)を満たし、と
動き回る必要がない理由を、講演の中では
ひとつづつ丁寧に説明してくれている。

今日紹介した抗酸化物質は
(3)に対する対応のひとつだ。

 

ですから、動物が動き回る理由、っていうのは、
食べ物を探し求めて
そしてふたつ目が生殖の相手を探し求めて

いま、ご紹介したのは3つ目、
体を守るために動物は影に行ったりしますが、
植物はそんなことはしない。

きちんと自分が紫外線の害を消去するものを作って
健康に生きている。
しかもそれは人間の健康も守ってくれる
っていう植物のすごさまで示しています。

 

 

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コメント

確かに昭和の頃には、「日焼けをすると、皮膚の表面が鍛えられ、次の冬に、風邪を予防する」といわれましたね。

んもえラドさん、
コメントをありがとうございます。

日焼けに対する感覚はほんとうに変わったと思います。
化粧品会社のポスターですら
「小麦色の肌」を強調していた時代もありましたから。

今の「美白」も、*十年後
「あのころは、」なんて言って
振り返られる時代が来るのでしょうか?

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