ストランドビースト(砂浜の生物)
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ストランドビースト(砂浜の生物)
- 生きているような足の動き -
オランダの彫刻家・物理学者テオ・ヤンセン氏が生み出した、
風を食べ、砂浜を歩く巨大アート
ストランドビーストが、
東京都世田谷区の二子玉川ライズショッピングセンタに
約10体もやって来ている。
ストランドビーストとは、
オランダ語で、
砂浜を意味する"Strand"と
生命体を意味する"Beest"の2語を繋げた
テオ・ヤンセン自身による造語。
特に今回は大型作品3体の
デモンストレーションもあるというので
早速観に行ってきた。
テオ氏自身も来日中だったため、
ご本人への簡単なインタビュー付き。
巨大なうちわで風を起こして、は
単なる演出だが、
歩く様子はほんとうに面白い。
どんなふうに歩くのか?
人混みで動画のほうはうまく撮れなかったので、
YouTubeから紹介したい。
どの作品も基本的には、
風や空気圧のみを動力としており、
モータやエンジンは一切使っていない。
動きをよく知っていても、
やはり「大きなものが動く」というのは
それだけで魅力がある。
今は動かないものの、
これまでの開発の歴史や、
短命に終わった生命(?)の展示も含まれており、
10体それぞれにゆっくり歩きながら眺められる。
そもそも私がテオ・ヤンセンの作品の
実物を見たい、と思ったのは、
「大人の科学」の「ミニ・リノセロス」を作ってから。
この模型、リノセロスは
ほんとうによく出来ていた。
こんな感じで、
どちらから風が吹いても、
同じ方向にゆっくり歩き続ける。
テオ氏の作品の魅力は
やはりあの生きているような足の動きだ。
サイラボ(Scilab)という数値計算ブログラムを使い、
足の動きをわかりやすくシミュレーションしてくれている
動画があったので
足先の動きに注目して見てみたい。
まずは一本足と二本足。
元の部分は単純な円運動しかしていないのに、
足先が複雑な軌道を描くようすがよくわかる。
二本足の組を位相を120度ずつずらして3組(青・赤・黒)配置。
これがテオ氏のビーストの基本形となっている。
6本の足先はまさに生きているように動いているが、
センタはあくまでも単純な円運動。美しい!
コンピュータシミュレーションでは、
様々な組合せ、応用が可能で、
こんなに面白いアイデアもあった。
前半は上記と同じ基本動作の説明だが、
後半のアイデアがすばらしい!
思わず「作ってみるか!」という気にさせられる。
二子玉川での展示は、2015年5月6日まで。
どうやって運んだのだろう、と
思わずにはいられない大きな作品は、
コンピュータシミュレーションのように
滑らかに動く、というわけにはいかないけれど、
ミシミシ音を立てながら動く、あの大きさの迫力は
実物以外では味わえないので
ご興味のある方はぜひ。
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