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2015年4月 5日 (日)

スリムな体型は脂肪のおかげ

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スリムな体型は脂肪のおかげ

- 脂肪はワルモノではない -

 

京都大学教授の伏木亨(ふしきとおる)さんが、
「からだで味わう動物と情報を味わう人間」
という題のエッセイの中で
次のような話を紹介していた。
(以下水色部、
 PR誌「学鐙」2002年11月号からの引用)

 

全くカロリーがなくて
しかもおいしい脂肪が作れたら爆発的に売れるに違いない。

と昨今の低カロリー志向から話を始めている。

ところで、
「体にとってカロリーにならない」とは
ミクロに見るとどういうことなのだろう。

 食品中の脂肪は脂肪酸という分子が
三つグリセロール分子に結合したものである。

小腸の中でこの結合が切断されてから体内に吸収される。
結合が切れなければ
吸収されないからカロリーはない、ゼロである。


この夢のような素材は
実は米国の食品会社によって開発されている。
米国の一部の州には、ポテトチップスなどの形で
試験販売されている。
少し前に、これを輸入して食べてみたが、
普通のポテトチップスと変わらない。

脂溶性のビタミンを排泄してしまうことなどが
指摘されているが、味の面ではうまくできている。

 

さて、こういったカロリーにならない油を使って、
動物実験をしてみると...

 これとよく似た原理で試作された
別の脂肪が手に入った。見た目は普通の油である。

熱にも安定で、天ぷらもフライもうまく揚げられる。
実験動物は、この試作品の油を最初喜んで食べた
市販のコーン油と比較しても実験動物の嗜好性には
差が見られないほどよくできている。
しかし、30分を過ぎる頃から事情が変わってきた。

実験動物が次第にこの油を好まなくなったのである
それからは動物はコーン油ばかりに群がって、
試作品の油を選ぶことはなかった。

わずか30分で見破られてしまったのである

実験に関する詳しいことは
この文章からではわからないが、
要は「30分後にはバレちゃった」ということらしい。

なぜバレたのか、
どうして30分後なのか。

 動物実験で30分というのは、
深い意味のある時間である。

油を摂取して30分ほど経つと、脂肪は消化吸収され、
からだの中でエネルギーに変わる。

ここで、
おそらく内臓からネガティブな信号が出たのである。
油としてはおいしいけれど、
エネルギーにならないぞ、という情報が、
一挙に実験動物の嗜好性を失わせたと考えられる。

舌は騙せても、からだには嘘はつけない

この時点ではまだ推測の範囲という感じだが、
おそらくそういうことなのだろう。

 

 動物は本来、脂肪に対して執着する。
モルヒネなどの依存性のあるドラッグと同じメカニズムで
本能の快感を生じ、もっと食べたいという執着を
抱くことが明らかになっている。

おいしさの快感はβエンドルフィン、
もっと食べたいという欲求はドーパミンが
主に関係することも明らかになっている。

 同じ方法で実験すると、
この試作品に動物は執着の行動を示さなかった。
本能はこの油に執着することを許さなかったのである

理由は一つ、
食べてもカロリーがないものは役に立たない、
こんなものに執着すると
カロリーが不足して命が危ない、である。

(中略)

動物にとっては
ノンカロリーなんてとんでもない食品
なのである。

言うまでもなく我々は
カロリーを摂取するために食事をしている
「ノンカロリーなんてとんでもない」が
生物としてのそもそもの自然な反応で、
「爆発的に売れるかも」と思うのは、
全く別な力の作用、というわけだ。

 

そう言えば、脂肪については
柳田理科雄著「空想科学読本5」メディアファクトリー

 

に、こんなユニークな記述もあった。

炭水化物やタンパク質は1gあたり4キロカロリー、
脂肪は9キロカロリーのエネルギーに変わる。
逆に言えば、
同じエネルギーを蓄えるのに、
炭水化物より脂肪のほうが量が少なくて済む


脂肪は、エネルギー貯蔵能力が高いのである。

おかげで人間は、食物が豊富なときに食い溜めし、
食べ物が少ないときの飢餓に耐えてきた。

食べ物が常に豊富な現代の先進諸国では、
美容その他の大敵と言われる脂肪だが、
見当違いも甚だしい

もし炭水化物が脂肪に変わらなかったら、
同じ量を食べても9/4=2.25倍も太るわけである。

つくづくありがたい自然の摂理といわねばならない。

 

今、体重70kg、体脂肪率24%の人がいたとする。
この人の脂肪量は (70x0.24=) 16.8kg

この16.8キロの脂肪と同量のカロリーを
炭水化物で維持しようとすると
 16.8 x 2.25 = 37.8kg
実に38キロ近くの炭水化物が必要になる。

(言うまでもなく、全部を「炭水化物で」は、
 現実的にはありえないので「仮に」の話だ)

その差 (37.8-16.8=) 21kg
つまり、70kgの人は91kgになってしまう。

 

逆に言うと、
91kgの体重になるかもしれない人が、
70kgの体型でいられるのは、
「脂肪」のおかげ


55kg体脂肪率24%の場合で計算しても、
炭水化物体型なら71.5kgになってしまう。

脂肪はワルモノではない。
スリムな体型は脂肪のおかげなのだ。

 

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